姫と闇の影
真血の、赤。
漆黒の、黒。
このキルート大陸では2つの部族により、分かれていた。
北に真血の赤を部族の色とする、吸血鬼・トルート族。
南に漆黒の黒を部族の色とする、狼・ウィンソ族。
元をたどれば、この2つの部族は同じ血族だったが500年前の争いで2つの勢力に割れた。
その間、トルート族は寒さに強い肉体に変化していき、逆に南に位置するウィンソ族は熱さに強い肉体に変化する。
互いの勢力は力を増していき、土地の境目で争いがいや、戦いが始まる。
戦いは何百年間も起きる。
その戦いには、肉親を殺された憎しみ、悲しみ、恨みからくる争い。
永遠に終わらない戦い。
まるで呪いのように、暗示のように、打ち切られることはなかった。
そして部族の人々は神に祈るのだ。
「闇神よトルート族をお守りください。そしてウィンソ族に裁きを・・・・。」
「光神よウィンソ族をお守りください。そしてトルート族を滅ぼさんことを・・・・。」
キルート大陸に木魂する、祈りの数々。
だが、どちらにも神は微笑まなかった。
そのかわりその土地には、神の特色である性質が逆転し始める。
だがその変化には誰も気が付かなかった。
そう、まだ誰も・・・・・・・・。
ー神を知る者は誰もなし
天に聞こえし声を持つものよ
我に死を
我に生を
永遠を知るものよ
この縁を打ち切っておくれ
神を知るものよ天に聞こえしものよー
北の最果ての宮殿に一人の少女が生まれる。
その子はトルート族の希望であり、一族で一番力のある者として大事に育てられてきた。
その少女の名を、(シンラ)となずけた。
シンラは、トルート族の現代の長・トウリヨの1人娘。
父は偉大なる戦いの王呼ばれ、母は経済すべてを生かす大臣として働いていた。
そんな両親をシンラは尊敬し、敬愛していた。
そんなシンラが大きくなり14歳になると絶大な美女になった。
髪は緩やかなカーブを描き、黒曜石のような黒い髪。
目は、部族の色ともいえる真っ赤な赤。
肌は、透きとおるほどの白。
部族の男たちはこぞって求婚した。
シンラはすべてきたものを片っ端から断っていった。
「はぁ、なんでこんな無駄なことするのかしら・・?」
侍女であるコキに訴えるシンラ。それに答えるように
「シンラ様が美しいからですよ。さすが私の姫!!一生ついてまいりますわ!!」
満笑の笑みで跪く。
「そ、そんなことしなくていいわ!わかってるわよ外見がいいのわ!コキ、聞いてる!?」
驚きながらコキに手を差し伸べる。さりげなく、自分の自慢が入っていたが・・・。
「聞いてますわぁ~。突っ込みどころが多いですけど・・・。」
ふふふと笑うコキに、驚くシンラ。コキの周りにはピンクが、ぽわんぽわんしていた。
あえてそこは、突っ込まないと心に決めた。
「失礼します。シンラ様。族長がおよびです。」
息を切らしながら、跪き話す伝令。
「ありがとう。今行くわと父上にお話ししておいて。」
早々に話を伝えると、軽く頭を下げ立ち去っていった。
いなくなるのを確かめると、コキの方角をグルッと見て
「なな、なにかしら・・・??なにか悪いことした!?父上のお金をくすめたこと・・?
それとも、鍵を盗んで非蔵書見ちゃったこと・・・???」
素直に日々の悪い行いを吐いているシンラ。
「そんなことやってたんですか!!?悪いことしてますね・・・。」
感心して聞きこむコキに対して
「いやぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!
怒られるわよ!やっぱり、女の持つものじゃないと言われてた剣の稽古を、8年前から始めてたのかばれた・・・??」
ますます混乱していく。
「8年!?私気が付きませんでした。でもそんなこと言ってる場合じゃないですね。族長のもとに、行きますよ。」
そう言って混乱してるシンラを連れて行った。
「父上参りました。シンラです。」
長の間に来て、背中の背筋が自然に伸びる。
カーテンの奥からびりっとくる声が、頭の上から降る。
「シンラ・・・・。」
怒っている、いや苛立っている声だった。怒られるのを覚悟してたシンラは自ら口を開いてしまった。
「父上すみません!剣の稽古してました!もうしません!!」
大声で宣言してしまった。実はシンラのお気に入りのストレス発散法だった。
「今はもう良い。側近のライクに聞いていた。
それではないのだ。
実は、ウィンソ族からお前宛に手紙が来てるのだ。」
静かにただ、事実を伝える父。
唾を飲みながら、唇を噛むと決意したように父の方に顔を上げ尋ねる。
「なんと書かれていたのです・・??」
「・・・。お前が開けてみよシンラ。」
側近のライクに手渡される。
金色の淵に黒をメインとした封筒を開けるとこう書かれていた。
ーシンラ姫ー
あなたと話がしたいと思います。
従者を連れてこないでください。
私も1人で行きます。
ケルの地であいましょう。
ーソダン=ウィンソンー
内容を読みあげると後ろにいるコキが、ひっと声を上げた。
その声には、憎しみと恐れがにじみでていた。
この丹念な分にシンラは、母を連れて行かれた思いが憎しみが心の奥からあふれてきた。
静かだった部屋に声が響く
「父上はどう考えですか・・??」
「いや、これは騙しているのかもしれない。あの日のように。お前の母のように」
いつも、自信のある態度の父が迷っていた。
「罠でも行きます。私に武術の教育係を付けてください!
これは願いでなく絶対いきます。」
と決意を述べるとトウリョも決意したように顔を縦に振った。
そうして、シンラの武術の試練が始まった。
これには、深い意味と陰謀が隠れていたのだ。
表現が悪かったり、曖昧な所がありますがあったらすみません!
是非、感想等ください。