↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アイテムBOXに北海道丸ごと入っているので、異世界でも食べるものには困りません  作者: 柚木 冬


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
1/85

0*プロローグ

「火魔法を撃ってみて」

 異世界に来て初めてのギルド。魔法ギルド長が的を指さして言う。


 構えて、心の中で「火弾」と唱える。火の弾が的を貫いた。

 火弾はやっぱり迫力あるけど、水ほど慣れていない分威力が弱いな。


「はぁ?!」

 後ろから大声がして、慌てて後ろを振り返る。大勢が私を見ていた。


「何あのスピード」「え?詠唱は?」「魔道具じゃないの?」「あり得ないでしょ」「ど真ん中だよ」「貫いたよ」「さっきの水魔法も同じだったよ」

 みんな一斉に喋り出して、私に掴み掛かりそうな勢いで寄って来る。うわー。


「こらこら、お前ら下がってろ。魔道具は持ってないぞ。魔石を持っていないか確認した筈だ。おい、魔石確認してるよな?」


「しましたー! 持ってませーん!」

 ギルド長の質問に、受付のお姉さんが遠くから答える。


「だそうだ。この子の実力だ。お前らもこの位撃てるよう頑張れ」

 ギルド長煽らないでー。

 町に来た初日に大勢から反感買うのは嫌です。

 転校初日に先生から褒められると、イジメの対象になったりするんだよ。


「でも! 詠唱は?」


「はい! 詠唱します! もう一発撃ってもいいですか? お姉さんもうちょっと避けて下さい。はい、では土魔法いきます。土弾!」

 詠唱しないとダメっぽいから、口に出してみる。


 実は土弾は威力が半端ないので、途中から封印していた。

 最初は森の小石をそのまま飛ばしていたのだが、弾の硬度を高めていったら、水晶位の固さになってしまい、魔獣も貫通して周囲にまで損害を与えてしまったので、しばらく使っていなかった。


 今日は少し柔らかい弾を想像して発射する。

 ……筈だったのだが、詠唱を思い切り口にしたことで、魔法の威力が上がってしまったらしい。


 あっという間に的を貫き、的の傍にいたお姉さんは思わず尻餅をつき、遠くにあった大木がメリメリと音を立てて倒れた。



 あ……やらかした。



 グラウンドに倒れている一本の大木。なんかシュールな光景だ。


 それ以上は被害は出ていないようだ。裏がすぐに民家じゃなくて良かったー。


「わっはっは、すっごいなーお嬢ちゃん!」

 私の腕をバンバン叩いて、ギルド長が笑う。バンバンやめてちょっと。


「なあ、これ合格でいいよな? こんなに目撃者いるし十分だろう」


「はい、私も合格だと思います」

 お姉さんは大木の様子を確認に走って行った。

 本当申し訳ないです。


 他の皆さんは、さっきからずっとフリーズしていてまだ起動していない。


「あと、範囲魔法は何か使えるか?」

「範囲魔法、ここで撃って大丈夫ですか?」


「わっはっは、ギルド燃やされても困るしなー」

 また私の腕をバンバン叩く。バンバンしないでってば。


「あ、いいのがあります。これなら問題ないと思います。範囲浄化魔法!」

 アニメの様にキラキラしたエフェクトは残念ながら無い。でもグラウンド中の人はキレイになった筈だ。


「どうですか?……ぶほっ」

 言葉の途中でギルド長の顔を見て、思わす吹き出してしまった。


 厳つい顔をしたギルド長の髪の毛がツヤツヤサラサラ。

 特に髭がツヤツヤサラサラ。

 やばいっ笑い死ぬっ。耐えろ、私。


 周りの人たちも再起動して、一斉に騒ぎ出した。

 みんなサラサラの髪をしている。


 そしてまたギルド長を見て……ああっ、ダメだ、笑いが止まらない。


 そんな私の状態に気付きもせず、ギルド長はまた私の腕をバンバン叩きながら話し掛ける。


「おーし、合格だ! ちょっと書類作るから部屋に戻ろう」

 笑いを必死に堪えて死にそうになっている私を引っ張って、ギルド長が歩き出す。


 後ろからお姉さんが、私のバッグを持ってついて来てくれたようだ。

 忘れてました。ありがとうございます。でも今喋れる状況じゃないので、すみません。


◇◇◇


 ギルドの部屋に戻って、なんかさっき来たときより明るいなと思ったら、壁の木材がキラキラしている。

 まさかと思って床を見たら、沢山踏み荒らされた筈の床材もキラキラしていた。見上げると天井もキラキラだ。


 あー、これはもしや範囲浄化魔法の影響?


 グラウンドにかけたつもりだったんだけど、ここまで影響するとは。

 そっか、口に出して言ったからか。やっぱり無詠唱に限るね。


 全員髪の毛もサラサラで肌艶も良さそうだ。


 さっきまで私の魔法を魔道具じゃないかと疑っていた人も、私を見る目がニコニコに変わっている。

 浄化魔法が嬉しかったようで、良かった良かった。


 メテオとか撃たなくて良かったよ。

 一度くらい撃ってみたいけど、この町吹き飛ばしそうだから無理だな。


 深呼吸を繰り返して、ようやく笑いが収まった。

 何とかギルド長の顔が見られるまでに戻った。ああ、良かった。


 ギルド長とお姉さんが向かいに座る。


「それでえーと、ギルドの登録に来たんだよな。登録は勿論OKだ。そして上級試験合格ということで、上級魔法使いに認定する。学科は免除だ。認定証とかバッジは十日位かかるから、また取りに来てくれ」


「とりあえず登録証と、バッジ出来るまでの仮の認定証発行しておきますね。冒険者ギルドとか登録してます?」


「えーと、これから登録に行こうと思ってましたが。えっと……上級?」

 初級スタートなんじゃないの?


「それなら冒険者ギルドにはこれを見せて下さいね」


「魔法使いには初級・中級・上級・特級の階級がありますが、カノンさんは他の受験生より高い得点を出して、複数種の魔法も条件をクリアし、更に範囲魔法も使えることが証明されたので、十分上級魔法使いの資格ありと認定させて頂きました。特級には実務経験が必要なので、また挑戦してください」


「はぁ」


「それで上級の年会費ですが、30万デナリになります」

「はい? 初級2万デナリでは? 初年度無料って話でしたよね?」


「初年度無料は初級の場合のみなので、一年以内に昇級するとその時点で解除されます。大丈夫ですよ、分割できますので。ちゃんと支払えるお仕事も紹介するので、心配ありません」


 えー。


「あと演習場の大木ですが、撤去費用はカノンさんの年会費から引いておきますので、ご心配なく」

 お姉さんの笑顔が怖いよ。


「ありがとうございます」

 さっさと退散しよう。

 これ以上いると、もっとお金を取られそうだ。


 おっかしいなー、あんなに森で準備してやっと来た異世界だというのに、何故初日からこんなことになった?

 大人しく目立たないようにするつもりだったのに、『あれ? 僕何かやっちゃいましたか?』系主人公みたいになってんじゃん!

 今後普通に生活できるのか心配だわ。


◇◇◇◇◇◇◇



 そんな訳で、転生してはじめての町のギルド登録で、いきなり上級魔法使いにさせられて入会金ぼったくられそうになっています。


 この町に来るまでも色々大変でした。

 最初からいきなり魔法が使えた訳ではなく、魔獣が沢山いる森の中でひたすら練習を頑張った結果です。

 そして普通の異世界転生とは違って、実は私には課せられた使命があったのです。


 なんでこんなことになったか。

 それは、イタリア語と水泳と頑張り過ぎた就職面接のせいでした。


 はい? って感じですよね。うん、私もそう思う。


 それをお話するために、私の前回の人生が終わった直後まで、少し話を戻しますねー。


 アイテムBOXに北海道丸ごと入ってる件も、何があったのかそのうちお話しますね。

 とりあえずホッケとか食べます? いっぱいあるんで。


初めまして。柚木冬(ゆぎとう)です。

初投稿なので緊張しています。


死からのスタートで、最初のうちはなかなか壮大な話が広がりますが、こんな感じのマイペース女子のゆるい楽しい異世界モノです(ちょっと主人公暴走しがちですが)。


今日は6話公開予定です。


良かったら今後も御贔屓に。

またのお越しをお待ちしております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。