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第3話 式部さん馴染む

式部さんがテレビを見て怒っている。


「式部さんどうしたんですか?」


「これは蹴鞠(けまり)ではありませんか」


「蹴鞠?ああサッカーですね」


「このようなものが、この時代まで残っているなんて」


どうも式部さんは蹴鞠が嫌いらしい。


そして「そういえば和歌の話を聞きませんが、


この時代の和歌はどうなっているのですか?」


「和歌?ちょっと調べます。現代でもあるにはあるようですね。


でも僕は聞いたことないなあ」


「そんな……」


式部さんはショックを受けている。


ポツリと


「忘るるは うき世のつねと 思ふにも 


身をやるかたの なきぞわびぬる」


「えっ?」


「人を忘れるということは、憂き世の常だと思うにつけても、


忘れられた身のやり場がなく、切ない思い泣いたことです」


「式部さん」


「時代が変われば色々変わるもの。でも寂しいものです」


光惺はせつない気持ちになった。


なんとか式部さんを元気づけたい。


ならばとパソコンで検索。


式部さんこれ見て下さい。


光惺が見せたのは鵜飼(うかい)の映像だった


「これは!鵜飼!」


「はい現代でもやってるところもあるんですよ」


「こっちも見て下さい」


「これは!相撲!」


「はい現代でも相撲は行われていますよ」


「現代の鵜飼や相撲を間近で是非見てみたい」


「言いましたね。今度見に行きましょうね。外に出て」


「やっぱり結構です。ねっとで見ますので」


式部さんを外に出すのは大変だ。



「光惺殿。そのう。かぷめんとぽてちがないのですが」


「えっ?あれだけあったのに」


「物の怪の仕業でしょうか」


「式部さんが全部食べたんでしょ」


「そのう、補充をお願いします」


「しょうがないですねえ。何味がいいですか」


「かぷめんは醤(ひしお 現在の醤油や味噌のルーツにあたる、


非常に歴史の古い調味料)に似たしょうゆ味がいいですね。


ぽてちはのりしお」


「同じのばかりで飽きないんですか?」


「そもそもいくつぐらい種類があるのですか?」


「そうですね。例えば大きいお店だと両方とも20種類ちょっと


あるんじゃないでしょうか」


「そんなに!是非全種類を」


「それは無理です。なんなら選びに行きましょう」


「外は怖いです。あの牛車(ぎっしゃ)みたいのが馬よりも速く


走っているのが怖くて。後、人が多すぎです」


「そんなこと言ってたらいつまでたっても外に行けませんよ」


「行けなくていい」


「たまには陽にあたらないと。あと太りますよ」


「えっ」


「藤原宣孝さんが見たらどう思われるか」


「光惺殿。その言葉はひどうございます」


「じゃあ行きましょう」


ようやく。式部さんは外に連れ出す事に成功した。


ジャージ姿だがしょうがない。


「牛車が人が」


「式部さんすぐ近くですから、頑張りましょう」


式部さんを時には励まし時には激励(げきれい)してなんとか


スーパーに着いたのである。


「ここが市ですか」


さっそく食料品コーナーへ。


まずはカップ麺。


「すごいです光惺どの。20種類どころではありません」


式部さんは興奮している。


「器の形が違うのですね。えっ!」


「どうしました。式部さん」


「越前カニ味!」


「期間限定ですね。てか越前って何処?」


「越前は父とともに1年住んでいました。懐かしい」


式部さんは泣き出した。


「ちょっと式部さん。これ買いますから泣かないで」


その後はポテトチップスコーナーへ。


「こちらも種類がすごいのですね」


「のりしおもメーカーによって味が違いますからね」


「めえかあ?」


「製造するところですね」


「ではのりしおの、発売めえかあを全部買いましょう」


こうして初めて式部さんを外に出す事には成功したが。


多分部屋の中にいては、式部さんが元の世界に戻れるとは


思えない。


外の世界で、なにかとっかかりがあればと思う光惺であった。



式部さんが外の世界に興味を持ってきたようだ。


ネットで現代の京都や越前(福井)やらを見ている。


この街のまわりも見ているようだ。


画面を見ると、位置が固定された映像を見ている。


「式部さん、何見てるんですか?」


「この街のらいぶえいぞう」


そんなことまで扱えるようになってるとは。


かなりびっくりした。


キッチンで、僕は麦茶を作ろうと、お湯で煮だした。


匂いを嗅いだ式部さんが震えている。


「式部さんどうしたんですか?」


「まさか麦湯(むぎゆ)を作っていられるのか?」


「麦湯?麦茶ですね」


「そんな贅沢品を」


「これですか?う~ん1パックあたりだと、


ポテチやカップ麺より安いですよ」


「なんと!」


「もしかしてぽてちやかぷめんは高級品だったのか?」


「まさか。平民の僕でさえ安いと思う値段ですよ」


「麦湯がこの時代ではこんなに安いとは」


「そうなんですか」


「貴族のための高貴な飲み物です」


「麦湯っていうぐらいだから、温かい飲みものなんですか」


「そうですが、違うのですか?」


「今の時代は、煮出した後に冷やして飲むんです。


冷たい水からも作れますけどね」


式部さんは言葉が出なかった。


「一緒にこれも食べます?」


光惺が出したのはスーパーで買ったかき氷だった。


「削りけずりひ!!」


「かき氷です。式部さんの時代にもあったんですか?」


「あった。ただ暑い時期に食べるのは、


限られた極々一部の者だけだ。もしかしてこれも値段が」


「そうですね。ポテチやカップ麺と同じぐらいじゃないですか」


「あっお店でちゃんとしたの食べるとそこそこしますが」


「そこそことは?」


「ポテチ3~5袋。高級店だと8袋ぐらい」


「それでも、そのぐらいで手に入るとは」


「自分で作れば5個ぐらい作ってポテチ1袋ぐらいかな」


式部さんが卒倒した。


「式部さん大丈夫ですか」


「光惺殿。この時代がわからない」


「僕はポテチ換算がわかりませんけどね」

次回最終回です

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