第5話 史に思いはせ そりゃ呼ぶよね まんまだもん
なるほど。
中学までで習った歴史って実は氷山の一角みたいな出来事で全然歴史として後世に伝えるという意味ではほとんど書き記す事ができない事が多かったのか。
いや、そりゃそうだよね
かつて日本を割った鬼がいたり、国を滅ぼしかけた狐だったり、はたまた他国の人を吹き飛ばした天狗がいたり、猫バスが震災時に救援活動してたなんてそりゃ歴史の教科書に書けるはずないよね。
そんなの物語みたいな事としか捉えないもんな。
はぁー真実の歴史ってすげー。
これから1年間学ぶ教科書を手渡され、その中にあった歴史の教科書と思われる史記と書かれた本。
つい気になってぺらぺらと捲って読んでみると止まらなかった。
へぇ・・・ほぇ・・・。
ええ、これってそうだったの!?武将って人じゃない方が多かったの!?
織田ってホントに魔王だったんじゃん。
てか魔王って種族なの!?
豊臣の猿ってバカにしてじゃなくてホントに猿だったのかよ・・・。
うわぁ、イメージ崩れた。
うわぁ・・・・・。
机に突っ伏して悶々。
「おまえ、なにしてんだ」
「いや、僕の歴史のイメージが崩れただけ」
「んな、歴史にイメージもくそもないだろ」
「あるんだよぉ、全然今まで習ってきた事と違うんだもん」
「ああ、そうだ、俺の先祖も歴史に載ってるぞ」
「え!?偉人の孫だと!?」
ガハハ
「悪い方でだがな」
「歴史に名を遺す悪い方って何したのさ」
「ちょっと国を割っただけだ」
「いや、ちょっとで国は割れないでしょ」
「割れたんだよ、夫婦喧嘩でな」
「どんな夫婦喧嘩だよ!!」
「知らん、俺もそう聞いてるだけだしな」
夫婦喧嘩で国割られたらもう日本なんてなくなってるよ。
とんでもない常世人エピソードだしてきやがって。
あれ、でもさっき国割りの鬼の歴史があったけどまさかね・・・?
「ねぇねぇ、牛鬼君」
「なんだ?」
「言いたくなかったら言わなくてもいいんだけどさ、どうしてあのパンデミックのタイミングで表舞台に現れてきてくれたの?」
「わりいが俺は知らん」
「やっぱりかー、ずっと気になってるんだよねぇ」
「変な事気にする奴だよな、結果として人は助かったら良かったんじゃねーのか?」
「いや、勿論感謝しかないよ?でもさ何で助けてくれたのかを知った上で恩を返していくことが大事でしょ?」
「そんな恩なんて話か?」
「恩だよ!おばあちゃんにも善くしてもらった恩は必ず返せって教わったもん」
「なるほどな、言葉をもってしての輝きか」
「ええ、なにが?何でそうなるの?」
「なんでもねーよ、そうだなぁ、そのうち会えるかもしれないぜ。いろはが知りたい答えを教えてくれる人にな」
「そうだといいなぁ」
正直ウカノミ先生も神なんだろうなって思ってるし。
あとで時間を貰ってこの際色々聞いてみようかな。
「牛鬼君」
「なんだ?」
「僕ここに入れて良かったよ」
「っけ、世の中はな為るようにして為るんだよ」
「そっかー」
「いや、そっかーってお前そんな軽く」
「ええ、いいじゃん。牛鬼君とこうして出会えて友達になって話してるんだからそれでいいや」
「おおう」
「あれ照れた?ねえ照れた?」
「照れてねーっつうの眩しすぎんだよ、お前は」
「なーにそれ」
「これだから無自覚は・・・」
はいはい、どうせ無自覚ですよ。
分からない事は知っていけばいいだけだもんね。
知りたい事がどんどん増えていく。
魂の色と純度って何だろう。
加護って何だろう。
牛鬼君ってどんな人なんだろう。
それに、白葉さんの事も知っていきたいなって思う。
ふと目線をやった先には5人ほど彼女の周りにたむろして話し込んでいる。
時折見せるふわっとした笑顔がかわいい。
うわー、ゲコタ君目がハートだよ。
あんなに好意を前面に出すなんてほんと凄いなぁ。
「白葉さん、人気だねぇ」
「狐のご令嬢で格式高いし、純度も飛びぬけて高いからな玉の輿になりたい奴らも多いだろうし、それが許されているしな」
「それ目的にしていいの?」
「いいんじゃねぇか?多種族との交わりなんてあって困る事なんてないだろうしな」
「ええ?でも格式高いとそれこそお相手にも求めるものなんじゃないの?」
「普通はな、ただ今までの普通は普通じゃなないんだろ?」
「あー、そういう事か」
「最終的には狐んところはご母堂がどう判断するかだし、いろは嬢の気持ちしだいだろうよ」
「家柄が言いと大変だねぇ」
「まぁ、いろはも大概な事にはなると思うぞ」
「え、なんで?」
「それこそさっきの話だが、魂の色と純度、あとは加護か」
「それ結局良くわかってないんだけど」
「純色だと凄いんだよ、それだけは分かっておけ」
「?まぁ分かった。とりあえず濡場色の黒だとは覚えておくよ」
「そうしておけ、あと暫く俺の傍にいておけよ」
「???なんで???」
「いいからだ、トイレ行くときも声かけろよ」
「ええ?わかった」
まさかの初日から行動制限がかかると思わなかったが隣にいるのが牛鬼君だと心強いな。




