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第2話 間違ったデビュー め!しますよ

まさか教室から下駄箱に行くなんて経験するとは思いませんでした。

勿論靴は脱いだよ。

そんな土足厳禁な所に土足で上がったなんておばあちゃんと両親に知られたら

おばあちゃんに至ってはおよおよ泣き出すだろうし、両親は呆れ果てて正座コースだよ。

こちとら被害者みたいなもんだよ。

外靴持ちながら教室から出て下駄箱に向かう何だあいつムーブをかまして初日から浮いたなぁなんて思っていたけど周りの反応はちょっと違ってて

あいつ「直通系かよ」「やべーな」「いい男ウホ」なんてヒソヒソ聞こえていたけど何よ直通系って。

どうみても高校デビューを間違った方向で始めた痛い系だろ。


「おー、初日から有名人の仲間入りだな」

「それって悪い意味だよね?」

「いや、ここに限ってはいい意味だと思うけどな」

「ええ?いきなり教室に土足で来るのって結構やばいと思うんだけど・・・」

「まぁ土足で教室に入り込んできたらやべーけど、教室に繋がったとなるとまた話が違ってくるからな」

「あんまり変わらない気がするんだけどなぁ」

「人と俺らはちょっと感覚が違うからな」


自分の頭よりかなり高い位置からガハハと豪快に笑う。

律儀に教室から下駄箱まで案内してくれている牛もとい彼は常世人、人牛種の牛鬼君だ。

僕の2倍は大きいから3m後半位なんだろうね。

この人も筋骨隆々なんだろうなって容易に想像がつくくらいにはムキムキ感がある。

ブレザー破れないの?位ムチムチしてる。

ぱっと見だとマジで怖い。

鼻と耳にバリバリ銀のリングついてるし目は金色ベースでギロッてしてるし。

ちっちゃい子供みたら泣くって。

でもめっちゃ親切で優しい。

でもたまにガハハと笑って肩を叩いてくるのが痛い。

直観的にこの人とは仲良くなれそうだなって思った。


「えーっと、僕のやつは・・」


おお・・・。

これ牛鬼君の靴入れか・・・。

デカすぎて僕の靴が子供サイズに見えちゃうよ。


うおおおおおおおお!?

うわあああああああ!?

きゃあああああああ!?


突如聞こえる黄色い悲鳴と歓喜の声。


「おお?いろは以外にも直通系がいるみたいだな」

「僕と同じ犠牲者が・・・でも反応違くない?」


こちらに向かってぱたぱたと走ってくる白い髪の女の子。

ちょっと赤みがかった狐耳がパタンと頭にくっついて手に外靴を持って走ってくる。


「狐の令嬢か」

「狐の令嬢?」

「そうそう常世人の種族ん中でも格式高い種族のご令嬢だ」

「へぇぇ」

「へええってあんまり興味ないのか?普通の男だと感情が揺さぶられてお熱になるって噂だぜ」

「うーん、今のところは特に?だとしても牛鬼君もじゃないの?」

「俺は肉付きが良くないとそそられないなぁ」

「あ、そこは結構外見主義なんだね」

「そりゃそうだろ?男なんてまずは見た目だ」

「お、おう、そんなもんか」

「そんなもんだ」


だんだん顔が見えるようになってきた彼女は確かに奇麗だった。

横を通った時に香った甘い女の子の匂いに一瞬くらっとしたが一瞬だった。

周りの男子の視線は釘付けでみな彼女の背中を追っていた。

僕は彼女の腰より低い位置に生えていた奇麗な白い毛並みのもこもこの尻尾に釘付けだった。


「・・・尻みてただろ?」

「・・・尻尾見てたの!」

「いろは、尻も尻尾も獣人種からすると大差ないし、種族によっては尻尾の方がセクハラだからな?」

「え!?」

「ちなみに狐族は尻尾は親族ですら滅多に触らせない位だからセクハラを超えていくからな」

「セクハラを超える!?」

「ちなみに牛族は女性の鼻を見つめることがタブーだからな、変態って殴られるぞ」

「殴るの!?あぶな!?」

「まぁそういうのがあるから気を付けろよ」


ガハハとまた肩を叩かれた。

あぶねぇ興味本位で見たらセクハラに殴られるってマジ一歩間違えると終わるじゃん。

気を付けていこう・・・。


教室に戻るとこれまた先ほどは気づかなかった事に気づいた。

机と椅子が人種によって違っていて

よーく見ていくと色々な人種がいるし人もちらほらいるが如何せん人同士でもうグループ形成ができつつあって取り残されてる感が否めなかった。

初日からぼっちになるんかなって思った。

ただ隣にはバカでかい机と椅子に座った牛鬼君がいるしでまぁ何とかなるかとは思ってる。


「ねー、牛鬼君」

「なんだあ」

「さっきから言ってる直通系とかってなんなの?」

「あー、それはな・・・」


パンッッ 

奇麗な柏手の音が響いた。

良く通った吹き抜ける様な音。


「始めますよ~」


黒をベースにした桜色の袴を着た美丈夫が壇上で声をかける。

奇麗だけどカッコいい系だった。


「はい、皆さん入学試験と無事合格おめでとう。何人かは来れてないみたいだけど、これも試験の一つだったので残念ですね」


手に持った日誌を見ながら空席を確認していく。

ふむふむと顎に手を当て日誌とこちらを交互に見比べていく。


「思ったよりもこのクラスは人の子が多いですね、初めての世渡りでしたが迷わずこれた子はよく頑張りました。今後はその力の使い方を教えていくので安心してくださいね。ん・・?ああ、中には規格外な子もいたみたいですね」


目が合った気がした。


「ふふ、さてさて楽しみですね。ああ、いけない自己紹介がまだでしたね。私はこのクラスを担任しますウカノミと申します。気軽にウカノミ先生と呼んでくださいね♪趣味は食べることと畑をいじる事ですね。年齢は秘密です♪」


指をピンと立ててポーズを決める。

奇麗な方だけどほんとにかっこいいが似合う先生だ。


「さて何か質問はありますか?なければさくっと自己紹介をしていってもらいますが」


ぐるーっとクラスを見渡す先生。


「あ、あの・・・」

「はい、どうしました?康太君」


壇上真ん前の席にいる背筋をぴっと伸ばした男子が手を挙げている。


「質問いいでしょうか?」

「はい、何でもいいですよ~?」

「あの・・門を潜ったあとのあれは・・・?」

「ああ、世渡りの神見ですね?」

「かみみ・・?」

「ええ、馴染みがないでしょうが神見です」

「えっと・・すいません全然うまく言葉にできなくて。不思議な道を歩いて声を聞いてずっと歩いたら学校に着いていたので全然何を言ってるか伝わらないかもしれないのですが・・」

「いえいえ、あってますよ。それが世渡りで本来通れない子たちを通れるように神が子を選ぶ儀式が神見です。聞こえたでしょう?神の声が。魂が見初められた証であり常世人と神と人を繋ぐ為の加護を授かるのですよ」

「・・・すいません・・・全然理解できてないです」

「大丈夫ですよ、何れ分かります。為すべきことも何を為すかも。」


まるで怖い夢を見た子供諭すように先生は諭していた。

愛おしそうに我が子を見るような優しい眼差しだった。


「ふふ、緊張してる子もいますが当校の本分は勉学と青春と想い出です。常世人を交えた異文化交流ですので普通とは違うかもしれませんが普通である必要もないです。3年後の卒業の時に、成人の時に、何かの節目の時に、皆さんが困らない様に迷わない様に堕ちない様に拓いて歩いていける様にするのが先生達の責務です。多少のおいたは許します。勉学に励んで青春を謳歌して下さいね。大丈夫酷くなったら滅しますから♪」


「「「滅します!?」」」

「はい、滅します!」

「め!じゃなくて滅します・・・?」

「はい♪跡形もなく滅します♪」


この時ばかりはまだ話した事もないクラスメイトと同じ事を思ったに違いない。

あれは本気だ。

分別をわきまえ様と。




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