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第1話 下駄箱はどこですか 

ちょうど年号が変わったタイミングだったと思う。

世界的パンデミックが起きてどんどん身近な人すらも倒れていって

もういつ自分が倒れるかも分からず人との関りが絶たれていたあの時。

まるでそこにいつもいたかのように表れて事態の鎮静化をしてくれた者たちがいた。

歴史に習えばそれはかつて「人ならざる者」「人外」「化け物」あるいは「神」と呼ばれていた。

病に伏せた人に薬を。

飢えに苦しむ人に食を。

文字通り大混乱だった。

いきなり現れた人じゃない風貌の者や神を名乗る者なんて誰が信じれるって話だった。

彼らは古くからの隣人の様に、それが当たり前だというかの様に尽力してくれた。

そんな世界的に大混乱を起こしたパンデミックは更なる大混乱をもって制されいつしか彼らの事をこう呼ぶようになった。

常世人(とこよにん)と。



4月7日。


「いってきまーす」


僕よりも皆早く出ているので誰もいない家だが必ず挨拶しなさいとおばあちゃんと両親に習った。

挨拶や感謝の気持ちは必ず口に出して言いなさいと。

誰かが必ず見ているって口酸っぱく言われた子供の頃。

家から10分ほどで駅の改札に着き、これから2駅先の門に向かう。

だいぶ見慣れたがどうしても見慣れない風貌だと好奇心を抑えれずどうしてもチラ見してしまう。

牛みたいな角がある人、紙みたいにぺらぺらな人、鬼みたいな真っ赤な人、河童みたいな人。

常世人特有の妖艶さだなぁって。

ちょっとした社会的混乱もあったし、たくさんデモもあったみたいだけど

共存するのに時間はかからなかった。

今では社会に常世人がいるのが当たり前でスーツ姿も多く見かけるようになった。

両親も仕事が大分忙しいらしく夜のご飯の時くらいしか話す機会がない位には慌ただしい。

前に同僚だって連れてきた雪女さんと鍋を囲った時も仕事の話が飛び交ってたなぁ。

人じゃないからだけどめちゃめちゃ美人さんでちょっとドキドキしちゃった。

鍋を取り分けたあとに凄いふーふーして食べてるんだもん。

思春期には目の毒すぎる。

妹の冷めた視線が雪女さんの冷たい吐息のせいだと信じたい。

あ、そう言えば・・・おばあちゃんもよくよく考えると年の割に若々しいよなぁ。

何してたかは教えてくれないけど、もう高校生だし教えてくれるかなって考えていると目的に着く。


昨年設立されたばかりの新設校「天照学院」

古くから日本を守ってきた天照大御神から加護を受けた新設校で常世人の同年代の子と日本の同年代の子の異文化交流校として作られたらしい。

一応国からの推薦で受けれる学校みたいなので由緒(とはいえまだ2年目だが)ある学校の敷居を跨げる事に嬉しさはある。

これがあのTVでも紹介されてた門かぁ。

石組された門は何でも常世門と言われ常世人が世渡りをするための特別な門を礎に今見えている学院が本物の様に見えているだけでそこには存在しないらしい。

常世の中でも神が統べる幽世とこの門が繋がっているらしく神様パワーってやつだ。

なんか学院のパンフレッドに色々書いてあったけど忘れた。

あ、でも確か最初に門をくぐるときにそれぞれ神がついて加護となんちゃらみたいな事があったような気がするが途中で読むのを辞めてしまった。

眠かったんだ。

まぁそんな門が普通にあるが誰でも通れる訳はなく門番がいる。

一目見ただけで普通ならもう無理やり通るのはやめよってなる位の門番が。

筋骨隆々な門番が二人、かの有名な阿形吽形らしい。

あれって実在しただなって思った、そして再現された彫像もめちゃめちゃ似てたんだなって。


「おお、そこな青年よ」

「おんしも学院生じゃな?」


ムキッムキッとまるで音が聞こえそうな程のサイドチェストを左右対称で決める筋骨隆々な二人。

普通に怖いです。

変質者です。

筋肉が照り照りしててぴくぴく動いてます。


「あ、はい!今日からこの学院に通うことになっているのですが・・・」

「おうおう、待っておったぞ」

「その輝きはヤタの御仁のお眼鏡の子じゃのう」

「輝き?ヤタ?えっと・・・?」

「まずは行けばわかる」

「とくと進めい」

「「筋肉(天照大御神)のご加護があらんことを」」


なんか大変失礼なことを言ってる気がした。

進めと言われたが流石に一瞬立ち止まり常世門を見つめる。

蜃気楼のような揺らめきがあるそこにあってそこにないもの。

怖さはあるが両脇でサムズアップしてる筋骨隆々な二人に比べたら・・・

ええい!男は度胸だ。

境界に踏み出した時どこか懐かしい匂いと声が聞こえた気がした。


正直、拍子抜けな位普通にもやもやとした空間を歩いたらありました。

ほんとに比喩表現なくもやもやした空間だった。

なんか気持ちでかくね?って位のカラスっぽい鳥がもやもやした空を旋回していた位で特に迷うことなくまーっすぐ歩いて着いた感じだった。

直接教室に。

ぼやーっと見えた先にある扉を開けたら教室だった。

教室だったんだ。


「へ?」


むしろ素っ頓狂な声がへで済んだのを褒めてもらいたい位混乱した。

門くぐってもやもやしたら教室だよ。

もっとおおこれが学校かー!とか下駄箱どこかなー!とか教室どっちかなー!とかあるだろって。


「おお!?直通系か!?」

「えっと、すいません全然わからないです」

「はは、まあそうだよな」

「あの、とりあえず下駄箱どこですか?」


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