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喫茶モンブランの相談窓口〜依頼料はコーヒーで〜  作者: pippo
第二話 消えるチョークの謎

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10/14

香織と紗奈

5月も後半に差しかかり、空が梅雨の空気を帯びてきた頃


夕方に差し掛かり、灰色の雲が空を広く覆っている。それまではなんとか耐えていた空模様も、ポツポツと小雨(こさめ)が降り始める。通りを歩く人たちは小雨から逃れようと小走りになったり、カバンから折り畳み傘を出したり。


喫茶モンブランでは、今日もいつも通り、茂さんがカウンターでマスターと話をしながらコーヒーを口に運んでいる。店内には茂さん以外のお客さんはおらず、2人のゆったりとした時間が過ぎている。それでも店内にはコーヒーの豊かな香りとゆったりとしたピアノの音色が満ちている。いついかなる時でも、喫茶店としての風格を。それが先代マスターからの変わらぬ唯一のこだわりだ。



チリンチリン


お店の扉が開く音とともに、二人組の女の子が喫茶モンブランへと入店する。1人はマスターの妹、香織。そして、


「いらっしゃい、紗奈(さな)ちゃん。」


肩先を少し濡らした女の子にマスターが挨拶する。


「こんにちはです。マスターさん。茂さんもこんにちは。」


その女の子は、少し濡れた前髪を整えながら、少し緊張したように2人へ頭を下げる。湿気のせいで前髪が上手く決まらないのか、(くし)を使いながら綺麗に整える。


その隣では、香織が折り畳み傘についた水滴を拭き取りながら、きれいに折り畳んでいる。香りも髪が少し濡れているようだが、あまり気にしていない様子だ。2人とも急いで来たのだろうか、少し息を切らしている様子である。大方、後少しで店に着くというところで雨が降ってきて、傘を取り出しながら走ってきたのだろう。


撫牛子紗奈(ないじょうしさな)は、香織と同じ高校に通う高校2年生で、香織と同じ部活動に所属している仲間でもある。長い黒髪と歯ブラシのように綺麗に揃えられた前髪を持つ色白な美少女で、身長も高校生女子の平均身長よりも高く、すらりとした体型の女の子である。(まと)う雰囲気は穏やかな優しいものであり、校内の男子たちからも高い人気を誇っている。香織とは小学校からの友達で、よく喫茶モンブランにも来店する。そのため、マスターと茂さんともそれなりの関係値があるのである。


「急に雨に降られちゃったのかい?」


茂さんが、少し雨に濡れてしまったのであろう2人の方を向き、話しかける。


「そうなんです。急にポツポツ降ってきて。紗奈が傘持ってないって言うので2人で傘に入って、ここで雨宿りしようって、走ってきたんです。」


香織が答えると隣で紗奈が小さく頷く。


2人は濡れた制服を軽くタオルで拭き、そのままカウンターまで進むと茂さんの横に2人並んで座る。香織は手鏡を取り出し再度前髪を整えている。少女にとっての前髪は、命くらい重要なのであろう。なぜか少し緊張した表情を見せて、席にちょこんと座っている。


「何か飲むかい?」


マスターが2人に問いかけると、紗奈が口を開く。


「マスター。今日は『お悩みブレンド』を注文したいんですけど。」


少し申し訳なさそうにしながら、マスターへと話すその姿は愛らしさを感じる。その紗奈の表情を見て香織は少し頬を緩めている。


「珍しいね。紗奈ちゃんが『お悩みブレンド』を注文するなんて。」


マスターも少し驚いた表情を見せる。


「ここ一ヶ月ほど学校で不思議なことが起こっていて、香織ちゃんと2人で考えていたんですけど全然わからなくて。マスターなら解けるんじゃないかなって。」


紗奈と香織はお互いに顔を見合わせる。その後、香織はマスターを見ながらうんうんと頷く。


「学校で不思議なことねえ。何があったんだい?」


茂さんが紗奈と香織に質問する。すると、紗奈が一息ついてから、茂さんに答える。


「はい、チョークが消えるんです。」

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