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グリッチファンタジア〜チートでエロゲー化された世界をデバッグで救う件  作者: 黒船パイ
序章:改変されたゲームワールド
10/21

■10:北の森を抜けて…

 北の森の魔女ソフィアを落ち着かせて、薬草のイベントを元の形に戻す。


「キュアリーフの葉を20枚」「ヒールライフ草を30束」「活力のキノコ10個」…形や色さえ間違えなければ、見つけることはそこまで難しくない基礎的な薬草を採取して、魔女のソフィアが調合してアイテム化する。


 こうして、王都に納品する薬品含めて僕たちはクエストの成果を受け取り、北の森を抜けて更なる北部、【城塞都市フォルティス】を目指す。

 ちなみに、ソフィアはしばらく箒に跨りたくない…と言っていた。まあ、トラウマだよな…と余計なことを想像してまたしても睨まれつつ、魔女の工房を離れた。


「一応、俺たちが追うべき奴の名前は判明したな…」出発して森を抜け、北の平原に出てから一応目指すべき目的が何かを確認するために僕が口にすると

「レイドだっけ…女神でさえ禁忌として口にしなかったのによく話してくれたよな…」ロジカルに叶わないという点においてケンタも気になる様で話に乗って来た。

「世界改変がその人のせいなら、随分歪んでいる性格だよね…」ヨーコさんは赦す気は既に無いようである。まあ、女性の視点からしてもその気持ちが強くなることは分からなくは無いが…

「ソフィアはイベント初期キャラなので、単純に呪いだのの類が弱いか、忘れられているか…はありそうだけど」


 北の草原はなだらかで森からはずっと下っていく広々とした大地だ。稀に登場する平原のモンスターを狩り、調理して食べつつ北上する。


「どうでもいいけど…デバッグモードでイベントフラグ直前までワープしたいな…」冗談で言ってみたが、そもそもこのゲームはリリース直前のベータ版という訳でもなく、一通りのシステムとベーシックな基本的なクエストのシステム、第一章分の敵やイベントしかそもそも実装されていなかった。

 なので、「比較的素直に進めば、オープンワールド系の大作でもないので、割とスピーディーにクリアできるのではないか…と思っていた時期もありました」


「何ブツブツと言ってるの?」ヨーコさんが話しかけてきたので応える。

「いや、この平原、経験値詰みながら進んで次の都市に向かわせるために設定したけど…実際リアルで歩くと…遠いねって思って無駄に広いし、何もないし…」

「それは…レベルデザインの話…だよね?」ヨーコさんは割と真剣に話をしてくる。「そ、そうなるかな…何か気になる?」

「私たちにはこの世界を修復する力が与えられている…まあ、そもそも私たちが作った世界だけどね」「うん、そうだね…ちょっと不思議な気分だけど」

「サトルが気になるなら、直そうよ」「え?」「だって、自分の目で見て気になるんだったら直さないと…私は直したい」

「いや、どうだろうか…俺たち世直しデバグの旅をしているけど、ゲームバランスの調整まですると、一生ここから出られなくならなくね?」

「そんな極端な…」ヨーコさんが反論しようとするが…「確かにね…調整を入れちゃうとテストしてFB(フィードバック)だして再調整してたら年単位で時間がかかりそうだね」と事実を僕が告げる。


「とりあえず、レイドという奴を止める。この世界が歪んでいることは間違いなく、僕らはそれを修復するために召喚されたというのは間違いない。おそらくだが、レイドという奴は僕らと同等かそれ以上の力を持っていそうだ」

 それを聞いたケンタが疑問を口にする「何でそう思うんだ?」

「これを見れるかな…」ステータス画面を呼び出し、先の北の森の魔女イベントを書き換えた際の元のイベントフローのバックアップを共有する。

「こ、これは…」「そう、レイドという奴は、例えば魔法や薬といったこの世界に存在する力を遣って洗脳や改変をしていない」

「つまり、どういうことだってばよ?」某忍者漫画のセリフで疑問を呈するケンタに本質を話す「新しいイベントフローがスクリプト内に追加されている。つまり、この世界の理であるスクリプトにアクセスして書き換え変更追加している」

「レイドも開発者?!…でも…」ヨーコさんはそこで言い淀む

「僕ら以外には開発者は居ない」「そうだよ…あ、でも…」

「そうだ…鬼喪崎ならソースを持っているからアクセス可能だ」

「にしたって…彼はプロデューサーでしょ?プログラムとかデザインだって…」

「北の森の魔女のソフィアが言っていた『10年前くらいかな』って」

「成程…時差があってヤツには時間が十分あったということか…」ケンタも納得。

「つまり、奴の妄想に付き合わされているってこと?うーわ、最悪…」ヨーコさんがみるみる凄い顔になっていく…こ、コワイ…


「ともかく、兎にも角にも、慌てず騒がず顧みず、改善作業は二の次で、イカれた改変問題だけは本来あるべき姿に戻しつつ、レイドってヤツを止めればいい訳だ…まあ、最終目標としては現世への帰還だが、女神の依頼を鑑みても、世界の救済というのはつまりレイドを止めるに他ならない」


「そういや、お前が最初に設定した魔王はどうなったよ?」ケンタの疑問はもっともだ…だが

「おそらく居ないか無力化されていると思う」何となく構図を想像してみる。

 クエストファンタジアのアルファ評価版は魔王は登場するが、倒すところに到達はしないで終了している。

 だが、その「登場する」のだから存在はしている。だが、世界は歪んでいるということは、恐らくレイドの支配が及んでいるということなのだから、魔王はその勢力を拡大できない、つまり既に滅んでいるか、掌握されている可能性が高い。


「そういえば…女神に呪いをかけた『エロリーナ』って誰?」

「よく覚えていたな…そんなこと言ってたか…」何となく鬼喪崎さんに言われてサキュバスのキャラを四天王に設定した気がする…お色気大事とか言って。名前まで設定したか覚えていないが…つまりどうでも良い形でしか未だ実装されていないはずだ。

 いずれにしても、この先でいずれ遭遇することになるだろう。今は前を向いて進むしかないのだ。

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