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2話

 次々と出される料理は、繊細な手仕事と、時間を掛けた結晶のような料理ばかりだった。歯が無くてもいいのではと思うほどに柔らかく、あるいは刻み、すり潰し、徹底的に体への負担と軽くしてある。調味料による過剰な味付けも無い、わざわざリリスのために用意されたような品々だった。


(なんておいしいの。食べる手が止まらないわ)


 品数が4つを超えるころ、リリスはようやく目の前の男の存在に意識が戻った。料理に夢中になり、そのことで疎かになりそうなマナーを戻すのに懸命で、男の存在を忘れていた。恐る恐る男の様子を伺うと、男もリリスと全く同じ料理を食べていた。量こそ違えど、同じ。リリスのような衰弱した身体にはもったいないほどのごちそうでも、健康体であろう男にはこの料理では物足りないのではないか。そう思い、けれど口に出すことはしなかった。


(あえて、同じにしてくれているのかしら?だとすれば、申し訳ないことをしたわ)


 こんなレストランに通えるような男が、自分の分だけ別の料理を作らせて増える代金を惜しむわけがない。わざと揃えている。リリスと男の分を別にすれば、リリスに別の料理をわざわざ用意させたと思わせてしまう。それを避けるための気遣いだ。それをわざわざ口に出すのは、男の気遣いを無碍にする行為。黙って男の気遣いを受け取ることが、男に対する気遣いだ。


 最後のデザートが出され、それを完食したことでリリスは肉体的な満足感と、そして不安を感じ始めていた。


(一体、いくらなのかしら……)


 令嬢時代であっても食べたことが無いような料理の数々。レストランの格式。目の前の如何にも高位の軍人である男が通いなれた店。

 料理の一つひとつは、大の大人なら一口で平らげてしまうほどの量でしかなかったが、こういった料理は量の問題ではない。

 こういった店に果たしてメニュー表があるのかは知らないけれど、きっとその額は今のリリスが何年働ければ払えるのか、分からない額だろう。食欲に負けてあっさり口に入れてしまった自分の愚かさを呪った。

 しかし、そんなリリスの不安を見抜くように男は言い放った。


「奢りだ」


 奢り。つまりリリスは払わなくてもいいということ。その言葉に一瞬安堵するが、それはいけないとすぐさま振り払った。

 どんなに落ちぶれようとこれでも元貴族の端くれ。今日餓死しかけるほどの資金難であっても、素直にその言葉に従うのは、リリスの矜持が許さなかった。


「そんなわけにはまいりません」


 お腹に食べ物が入ったことで活力が戻った身体は、かろうじてよどみなく言葉を紡げた。

 けれど、発した言葉が如何に身の程知らずか、分からないわけではない。奢られることを断ったところで、払える資産があるわけではない。男が自分の分だけ支払い、取り残されれば、残されたのは極わずかな銅貨を抱えたリリスだけ。どれほどの金額が請求されるかわからず、このような格式高いレストランでは、安宿ですら満足に働けないリリスを雇ってくれるはずもない。どうなることか、想像もつかない。

 先行きの見えない不安に押しつぶされそうになるが、それを男に気取られるわけにはいかない。無理やりレストランに連れ込まれようと、食べたのは自分。その行為の責任は、自分で取らなくてはならない。


(ダメよ。自分の分は自分で払わなきゃ)


 毅然と、奢ると言った男の目を見返す。男は目を見開かせ、信じられないものを見るような目だった。当然の反応と言える。行き倒れていたリリスが、奢られることを断るわけがないと確信していたところへの拒否。


 今のリリスに最適な食べ物を用意できる場所への案内。それだけで十分だった。これ以上、自分の人生の責任を、この見ず知らずの男に取らせるわけにはいかない。

 拒否の言葉を発してから数秒。

 その静寂を破り、男は堰が切れたように笑い出した。


「はっ、はははははは!!」

(えっ、な、なに…?)


 男の笑う姿は。軍服と冷たい印象を与える黒の出で立ちとは反する、まるで無邪気な子供のような笑いだった。見た目以上の落ち着いた印象から一転、見た目よりずっと幼い笑いを見せた男に、リリスは困惑するしかなかった。


「はははは……ふふっ」


 ひとしきり笑いが収まり、顔を手で覆い俯いた男。

 まさか怒りを買った?いや、笑ったからそんなことはないとリリスは思いつつ、沈黙してしまった男の次の動きを待った。

 そして、次に顔を上げた男の顔は、捕らえるべき獣を見つけたハンターのようなぎらついた瞳を輝かせていた。


「いいだろう、なら今すぐ払ってもらおう」


 ドクン。

 男の言葉に鼓動が大きくなる。

 当然のことだ。奢りを断る以上、なら次に取るべき行動は支払うしかない。だが、持ち合わせが無いことは、男も知っているはず。その上で払えというのだから、ずいぶんと質が悪い。

 男の言い分は正しい。今のリリスには何も言い返すことはできない。

 しかし、男の次の句にリリスは絶句するしかなかった。


「身体でな」

「…なっ!?」


 驚きの余り立ち上がりかけた体がテーブルにぶつかり、ガタンと音を立ててしまう。ぶつけた膝が痛みを訴え、思わず蹲りそうになるのをグッとこらえる。

 そんな驚くリリスの様子が楽しいのか、愉悦に口角を上げた男の表情が目に映る。


 身体で払え。


 そう言われて、何をすることになるのか想像できない程リリスも子供ではない。働いている場所が安宿なので、品の悪い客も少なくなく、働き始めた当初はそういった誘いをされることもあった。今のようにやせ細り始めてからはとんとなくなったけれど。


(そんなことを言う方だったのね…私が、愚かっただったわ)


 リリスの中に、戸惑いとそんな要求をしてくる男への怒りが渦巻いていた。強引に抱き上げて連れてこられ、身体に優しい料理を用意してくれたことに感謝し、優しい人だと思った。それだけに、正反対の行為を要求されたことは、失望と悲しさで満たし、それを怒りが塗り替えようとしていた。

 けれど、それしかないという冷静な声もリリスにあった。まともに働いて返せる当てもない。ならば、身体そのものを売るしかない。

 それだけは決してしないと誓っていた。そういった職業もあることは知っている。だけど、リリスはそれだけはどうしようもなく嫌だった。どんなに貧乏になろうとも、その手段だけはとらないと誓っていた。

 母の教えもあった。心から許せる相手にだけ、許しなさいと。


 戸惑いと怒りで言葉を紡げず、顔を俯かせるリリス。リリスは、男が愉悦に上げた口角を今度は自嘲気味に下げたことに気づかなかった。


(最初からそうだったとわかっていれば…)


 そう思い、だとして断れたのか?その選択で、拒否という選択肢が取れたのだろうか?

 それを考えたところで、もう時は戻らない。いくら考えても無駄。なら、ここでリリスが取るべき行動は何か?


「…わかりました」


 戸惑いも、怒りも、今は全て脇に置いた。

 父は言った。まっすぐ生きなさいと。それがどういう意味なのか、今はっきりとわかる。ここで、騙されたから抱かれた、という言い分は立つ。しかしその言い分を許せば、もうリリスはまっすぐ顔を上げることができなくなると悟った。どんな時でも、まっすぐ自分を生きる。厳しくも優しい両親は、流されて生きず、自らの足で踏みだすまっすぐな生き方だった。その生き方に恥じない生き方を自分もするのだ。その気概だけで、リリスは前を、男に向き直った。


「体で、お支払いします」


 リリスの見据えた瞳に、男の顔が映る。男の端正な顔が、何故か驚愕を浮かべている。その表情の意味が、リリスには分からない。自分から要求した形で、リリスがそれを承諾しただけなのに、その表情の意味するところは何なのか。


(どうしてそんな表情をするのかしら?ご自分でおっしゃったことでしょうに)


 そのまま、顔を向かい合わせて数分が経った頃。ようやく男の方が動き出した。


「いいだろう。ならば来てもらう」


 そう言って男は立ち上がった。リリスも男に続くように立ち上がった。しかし、いくら食べ物をお腹に収めたといえ、すぐに回復するわけではない。勢いで立ち上がった脚は、一瞬まっすぐになるものの維持することはできない。力の入らない脚はすぐさま崩れかけた。

 しかし、崩れかけたその体を、見覚えのある腕が支えた。


「まだ自力で立ち上がるには早い。焦るな」


 気づけば、対面にいたはずの男がすぐ横にいた。男の腕はリリスの腰を抱き、倒れぬようにしっかりと自分の方に抱き寄せられていた。このレストランに連れてこられるまでの間は、あまりの突然の出来事に深く考えることはなかった。

 しかし、今こうして男に抱き寄せられているという状況に頭が回り始めると、途端にリリスは恥ずかしくなった。


(気付かなかった。ちゃんと、人を見ている方なのね)


 年頃の男性を相手に触れたことは数えるほどしかない。それも、ダンスのパートナーとして、という程度。その中で、今ほど密着したことなどなかった。

 頭では、この男は払えないお金を体で支払えと言い放つような人だと思っている。けれど、こうして密着し、自分の身体を支える腕は力強いのに、その力強さが自分を害することがないことが分かるほどに優しさを感じる。また、まだリリスが満足に立ち上がれないだろうことへの心配りも感じる。

 頭と体で相反する感覚。頭は離れるべきと訴え、体はそのまま任せろと訴える。その二つの鬩ぎ合いに結論を出せないままでいると、男が屈む様子が見えた。


(このままじゃ……ダメ…!)


 男は満足に立ち上がれないリリスを、再び抱き上げて運ぼうというのだろう。今のリリスにそれを拒否する体力は無い。それは仕方のないことだと受け入れつつも、ただ黙ってそうされてはならないと声が囁いた。


「おね、がい、しま…す」


 男の手が膝から抱き上げようとした刹那、そこにリリスの声が割り込んだ。

 男の行動を、ただ受け入れるだけの存在であってはならない。流れに身を任せてはいけない。

 男がリリスを抱き上げると決めたのではない。リリスが男に抱き上げてほしいと懇願したのだ。

 リリスの言葉に一瞬男の動きが止まる。しかしすぐに動き出し、そのままリリスを抱き上げると、近くなったリリスの耳元に男の呟きのような声が届いた。


「仰せのままに、姫」

「っ!」


 声の吐息が耳にくすぐったかったのか、それとも『姫』と呼ばれたことがこそばゆかったのか、リリスの身体は一瞬身震いした。それは男にも伝わり、「くっくっく」という笑い声として降ってくる。


(恥ず…かしい…)


 男に抱き上げられたままレストランを後にすると、再び馬車に乗り込んだ。行きと同様に、当たり前のようにリリスは男の膝の上に載せられていた。立つことは難しくても、座っていることくらいはできる…そう思って離れようとしても、男の手はリリスの腰を掴んだままだ。


「あの……自分で座れます」

「どうせ抱き上げるのだからこのままでいいだろう」


 無碍も無く却下された。


(そういう問題じゃないのに)


 身体が落ち着いてしまったことと、どんな形であれこの男に抱かれるということは決まっているせいでリリスは目の前の男のことを、否が応にも『男』として意識してしまっている。そんな状態でこうも密着していては、今度は心が落ち着かない。


(ダメだわ。心臓の鼓動が、抑えられない)


 落ち着かない心は、徐々に体に影響し始める。こんなにも心臓の鼓動を意識したのは初めてじゃないか…そう感じるほどに、鼓動は高鳴る。目の前の男を、金の代わりに抱こうというひどい男だと錯覚させようとしてもままならない。

 そんな状態で男の顔を見ることなどできない。リリスは自然と顔を俯かせ、ただただ馬車の振動と自分の鼓動に耳を澄ませるしかできなかった。


 どうにもならない鼓動と格闘していると、徐々に馬車が減速しているのがわかった。顔を俯かせていたせいで、自分がどこに運ばれていたのか全く気にも留めていなかった。どこに着いたのか、今更ながらに不安が押し寄せてくる。

 馬車のドアが開き、さも当然かのように男はリリスを抱きあげて馬車を降りた。いくら餓死寸前だったとはいえ、人ひとりを抱えたままでタラップを降りれるのだから相当の筋力とバランス能力だ。今更ながらそんな現実逃避にも近い思考でぼんやりしていたリリスの視界に飛び込んできたのは、古めかしくも丁寧に整備されたタウンハウスだった。


(このお屋敷が、この方の住まいなのかしら?)


 丁寧に磨かれた石壁は、長年の経年劣化によるシミは隠しきれていない。しかしそのシミこそが、古き良き物であることを感じさせてくれる。今まさに開かれている扉も、重厚感を感じさせる音を響かせながら、元の色から大分日焼けした印象を受ける。しかし、全体的にはこじんまりとした印象だ。

 宿泊施設といった華やかさは無い。おそらくここが男の住居なのだろう。リリスは少し意外という印象を持った。軍としての階級、あるいは貴族としての位は相当高いであろうに、住んでいる建物はそれに見合わないサイズ感だ。


(そんなわけないわ。ここは多分別邸かも…)


 そう考えていると、男は堂々と門を通過していく。出迎えたのは老執事だ。ロマンスグレーの髪をオールバックに整えた、まさしく執事といった出で立ち。老執事は男に抱きかかえられたままのリリスを見ると、一瞬だけ目を見開くも、すぐさまその表情を微笑みに変えた。


「お帰りなさいませ、ジェラード様。ようこそ、お嬢様」


 男の名はジェラードというらしい。そして老執事は、見た目が明らかにみすぼらしいリリスのことも歓迎した。

 落ちぶれようとも元男爵令嬢。場に沿った礼儀で応じなければならない。そう思っても、抱き上げられたままの状態ではろくな行動がとれない。結局、リリスは頭をわずかばかり下げることしかできなかった。

 それに、どう答えるべきかも悩んだ。自分はここに抱かれにきたのだ。その程度なのにここで名乗る必要があるのか?なら、このまま黙っていたほうがいいのではないか?


(そうよ。今日だけなんだもの。名乗らないほうが、お互いにあとくされが無くていいことだわ)


「そういえば名を聞いていなかったな」


 リリスが考えていると、そんな声が頭の上から降ってくる。思わず見上げると漆黒の瞳とぶつかり合う。そのリリスの視界の外で、老執事の眉がぴくっと動いたことに誰も気づいていない。


(どうしてこのタイミングで?!)


 いっそ名前など聞かずにいてもらえた方が良いのに。有り得ないだろうけど、金の代わりに体で払った女の名前など覚えてほしくない。リリスは心の懇願を視線に乗せてジェラードを見るも、届くことはない。


「娘、名は?」

「…リリス…、です」


 一瞬、フェタリアと名乗りそうになり、思いとどまる。もうフェタリア家は無い。ここにいるのは、家名を持たない身寄りのない少女だけ。

 だが、ジェラードはまたしてもリリスの心中を無視した。


「家名は?」


(どうして聞くのよ…!)


 平民は家名を持たない。まさかそれを知らないわけではないはず。確かにリリスには家名があったが、今はもう無い。無いことが正しい。だからリリスははっきりと返した。


「ございません」

「前の家名は?」


(なんで…!?)


 否定した直後のジェラードの追及。いつまでもこんな問答を続けてほしくない。早く要件を済ませて解放してほしいのに、そんなリリスの願いは通らなかった。


「ですから、無いと…」

「…今はそうでなくとも、元はあったはずだ。リリス、貴様の立ち振る舞いが平民のそれに見えるわけが無かろう」


 ジェラードはしっかりと、レストランでのリリスの振る舞いを見ていた。それは決して平民にはできない振る舞いだ。それが、ジェラードがリリスを連れてきた理由でもあるのだが。


「………」

「………」


 既に失った家名。それを再び名乗ることへの口の抵抗が重い。

 自らの立場を自覚するため、既に平民であることを常とするため、リリスは没落したその日から『フェタリア』を禁句とした。名乗る意味も、聞かれることもない家名。

 …しかし、どこかで、名乗りたい気持ちもあった。それが唯一、今はいない両親との繋がり。同じ家名を持つ一つの家族。


(もう一度…名乗っても、いいのよね?)


「リリス…貴様の本当の名を教えてくれ」


 ジェラードの声は、優しかった。名乗ることを禁止した自らの戒めと、一人で生きる辛さに押しつぶされ、ただただ辛さだけでしかない毎日に、その声は雪解け水のように染みわたっていく。


「……リリス・フェタリアです」

「ああ、よい名だ」

「っ!」


 たったそれだけ。たった一言の賛辞が、リリスの心を激しく揺さぶる。どれほど求めていた言葉か。


(なんで、こんなに……うれしく、て……)


 瞳が潤む。まっすぐ見つめてくる漆黒が、どうしようも無く眩しい。その眩しさに耐えられず、リリスは自分の目を手で隠した。

 視界を閉ざした先で、ジェラードは優しい顔をしていた。リリスはそれに気づかず、そんな二人を見守る老執事の表情もまた優しい。


「ではジェラード様、リリス様。中へ」

「ああ」


 老執事に促され、二人は屋敷の中へ入っていく。

 屋敷の中は外観にそぐわず、華美な調度品は無く落ち着いた色合いと雰囲気でまとまっていた。ところどころに飾られた花がいいアクセントになっている。まだ会って数時間も経っていないが、ジェラードらしいとリリスは感じた。


「マリーア、いるか」

「こちらに」


 ジェラードがマリーアと呼んだのは、一人の侍女姿の女性だった。背筋を正した立ち姿、ひとまとめにして後ろに垂らした茶色の髪、少ししわが刻まれた始めた顔。その纏う雰囲気が、この屋敷に仕えて長い貫禄を漂わせていた。


「リリスに過ごしやすい服を」

「かしこまりました」

「えっ」


 主従のわずかな言葉のやり取りの内容に、思わずリリスは疑問の声を漏らした。しかし疑問はそのまま、「下ろすぞ」というジェラードの言葉にかき消される。だが、そこでさらに老執事の声が割って入った。


「お待ちください。今日はとても暑うございました。お二人とも汗をかいていらっしゃる様子。ここは先に湯あみをなされてはいかがでしょう?」


(そんな今日は暑くは……あ)


 老執事の言葉に疑問符を浮かべようとしたリリスは、すぐにその意味を理解した。そう、リリスはこの男に抱かれに来たのだ。であれば、行為の前に身を清めるのは当然。まして、リリスはお金が無く体は水で拭くのが精一杯だった。それも、最後に拭いたのは三日前か。

 そんな汚い娘をジェラードだって抱きたくはないはず。けれどそれをそのまま言わず、別の理由を付けてくる老執事の気遣いに感謝した。

 しかし、そこで別の疑問がリリスの頭をもたげる。


(ジェラード…様は、一体いつこの人にそのことを言ったのかしら?)


2025/5/15 加筆しました

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