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鉄と炎の盟友

徴税隊との一件から数日後、太一は村の鍛冶場で村人たちと新しい台車の改良作業をしていた。

そんな中、村の外れから見慣れない姿の集団が現れる。


小柄だが屈強な体格に、長い髭を揺らしながら歩く一行。

その腰には立派なハンマーや工具がぶら下がっている。


先頭の一人が大声で叫んだ。


「おい、この村にタイヤ職人がいるって噂は本当か? オレたちはドワーフだ! お前に会いに来た!」


村人たちはその迫力に圧倒され、ざわめき始めたが、太一はむしろ興味津々だった。


「ドワーフか……面白そうじゃないか!」



広場に集まった村人たちを前に、ドワーフのリーダーであるグレインが話を始めた。

「噂で聞いたんだ。帝国の徴税隊を、妙な車輪と技術で追い返したヤツがいるってな!」


太一は肩をすくめながら答える。

「追い返したっていうか、まあ、交渉でね。でも、わざわざこんなところまで来た理由は?」


グレインは真剣な表情で語る。

「オレたちドワーフは鍛冶の名人だが、最近、鉱山への道が崩れて荷物が運べなくなって困ってるんだ。どうやらお前の技術がその問題を解決するんじゃないかと思ってな。」


太一はしばらく考え込み、それから笑顔を見せた。

「なるほど、鉱山への道ね。それなら力になれるかもしれない。」


ドワーフたちの案内で、太一とエリーザ、そして村から選ばれた数人が鉱山へ向かうことになった。

道中、グレインはドワーフの文化や技術について話してくれた。


「オレたちが掘り出す鉱石はどれも貴重だ。特に、この土地に眠るミスリルは帝国も欲しがる代物だが、道が荒れちまって輸送が滞ってるんだ。」


鉱山に到着すると、そこには荒れ果てた道と、巨大な岩がいくつも散らばっていた。

太一はその光景を見て腕を組む。


「なるほど、これが問題か……よし、まずは道を整備するための計画を立てよう。」



太一は持ち前の「タイヤ生成スキル」で頑丈なタイヤ付きの運搬車を作成。

一方、ドワーフたちはその車両を改良し、鉄とミスリルを使った強化フレームを取り付けた。


グレインは太一のスキルに感心しながらも、負けじと新しいアイデアを出してくる。

「お前のタイヤは軽くて便利だが、これをもっと効率よく動かす仕組みが必要だな。例えば――」


こうして、ドワーフの鍛冶技術と太一のスキルが見事に融合した結果、これまでにない性能を持つ「全地形対応台車」が完成した。



試運転の日、太一とドワーフたちは山道の岩を避けながら新しい台車を走らせた。

驚くほどスムーズな動きに、エリーザも目を輝かせる。

「これなら重い鉱石も簡単に運べそうね!」


だが、その時――山奥から低い咆哮が響いた。


「なんだ、この音は?」

グレインが鋭い目つきで周囲を見渡す。次の瞬間、巨大な影が岩陰から姿を現した。


それは、長年鉱山を守っていたとされる「岩石の魔獣」だった。


「くそっ、こんな時に出てくるなんて……!」

ドワーフたちは武器を構えるが、魔獣の圧倒的な大きさに怯む者もいる。


太一は台車を見つめ、ニヤリと笑った。


「おいおい、せっかくの新兵器だ。使わない手はないだろ?」



太一は新型台車を操り、魔獣の足元を狙って突進させた。

頑丈なフレームとスパイク付きタイヤが岩肌をえぐり、魔獣の動きを封じ込める。


「ドワーフたちは援護を頼む! エリーザ、こっちでサポートだ!」


エリーザの機転で魔獣の弱点が見つかり、グレインたちの強力な武器が炸裂。見事、魔獣を撃退することに成功する。


「お前、ただのタイヤ職人じゃないな。」

戦いの後、グレインは感謝の言葉とともに、太一に手を差し出した。


「お前の力は本物だ。この鉱山の復興に協力してくれるなら、オレたちドワーフも全力で力を貸すぞ。」


太一は笑顔でその手を握り返した。

「俺のタイヤが役に立つなら、いくらでも力を貸すさ。」


こうして、太一とドワーフたちの強い絆が生まれ、新たな技術革新が始まることとなるーー。

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