3話
それから数週間後、冬休みも終わり、みんな少しずつ正月気分が抜けてきた頃。
「ふぃー、疲れたー」
「私も疲れたわ。誕生日プレゼントで貰ったゲーム早くやりたい」
落葉は部活、私は補習を終え、2人で校庭を歩き帰路につこうとしていた。
夕方5時頃だが、外はまだ暗い。
電線や、家屋の屋根や塀には雪が積もっていた。
校門を出てすぐに声をかけられた。
「おい、姉ちゃんたち」
そこには、この間おぼっちゃまにカツアゲしていた不良三人衆が待ち構えていた。
「あんたたちこの間の」
「覚えててくれたか。ちょいと話がある。面貸せや」
落葉と顔を合わせる。
何かあったら僕に任せて。
って言ってる気がした。
「いいわ。ただし何かしたらタダじゃおかないから。この子が」
落葉を指さす。
「やっぱりそうなるよねぇ」
呆れたように呟く彼女。
「そっちが手を出さない限り、俺たちは何もしない。ただ話をしに来ただけだからな」
ジッと相手の目を見る。
向こうも見つめ返す。まっすぐ誠実な瞳だった。嘘では無さそうだ。
ザッザッザ。
積もった雪に私たちは足跡をつけていく。
着いた先はあの公園だった。
不良達が公園に入り、私達も後に続いた。
「それで、話って?」
開口1番私は問う。
すると不良たちは白く冷たい雪が積もっているのにも関わらず土下座をした。
「頼む!助けてくれ!」
「!?!?!?!?!?」
訳が分からず困惑してしまった。
「えっと、まず事情を説明してくれないかな?」
落葉が引き気味に言う。
「俺達には金が必要なんだ!」
「おぼっちゃまから金をせびってたからね」
「どうしても金が……!」
「とりあえず、冷たいでしょ?話聞くから立ちなさい」
お母さんのようだった。
3人は立ち上がり、理由を語り始めた。
「俺達には小五の妹がいるんだ」
「ふむふむ」
「けど、妹は病気で入院してるんだ」
「それで治療費を払ってくれって?」
「話を最後まで聞いてくれ。妹は修学旅行をすごく楽しみにしてる。けど今の病状じゃあ、とても無理だ。母ちゃんが頑張って仕事してるけど、父親は財産のほとんどを持って蒸発。俺たち3人を養って、更に妹ためにも頑張ってる」
「待って、あんたたち兄弟なの?」
「ああ、3つ子だ」
どおりで顔が似てると思った。
「ちなみに今更だけど、名前聞いていい?」
「鉄野頭だ」
「鉄野岩男っす」
「……鉄野斑葉」
おいこら作者。
「なんかどこかで聞いた名前だねぇ」
「万が一関係者にバレたら絶対訴えられるわね」
大丈夫!訴えられそうになったら、全力で土下座して、全力で書き直す覚悟でやってるから!
いや、全然大丈夫じゃないから。作者はこれ以上介入しないで。
はぁい……。
ジンジンと疼くこめかみを押える。
「その表現もまずいからね」
落葉が何か言ってるけど無視。
「未来三闘士のことはわかったわ。とりあえずあのおぼっちゃまに相談してみる」
「連絡先わかるのか!?」
「いや、学校に直接乗り込む」
「言い方悪いけど、要は連絡先わかんないから直接会いに行くってことだよね?」
「そのつもりよ?」