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シュテン童神  作者: 追川矢拓
第五章
61/61

もふもふアイドル誕生


 先程まで非難の嵐だったコロシアムは、今や大爆笑の嵐に呑まれていた。


 それもそのはず、女児のパンツを剥ぎ取るという大罪を犯したシュテンに天罰?が降っている真っ最中なのだから。


「わはははーっ!お似合いだぞーっ!」

「結婚式は是非、呼んでくれよなっ!」

「なんか微笑ましいぞ!応援してやるからなぁ!」

「わっはっは!俺は独身だけど、こんなカップルなら嫉妬も湧いて来ないぜ!」


 これまでの鬱憤を晴らしてやろうと、観衆も容赦なしの冷やかしモードである。


「お前等、他人事だと思ってぇ!おい、離れろって!」

「うふふ、嫌ですの~♡ 責任をとって、お嫁さんにしてもらうんですのっ!」 


 片腕をがっちりホールドされたシュテンは、しがみついたセレスティアを引き剥がそうと四苦八苦していた。

 まだ色を知る歳では無い上に、赤子の時から絶世の美貌を見慣れているシュテンである。ちんちくりんの物騒な女児に引っ付かれたところで迷惑なだけだった。

 こんな事なら策など弄せず、素直に殴られておくべきだったかも…と、後になって後悔していた。


「このマセ餓鬼ども~!お姉ちゃんは許さないぞぉ~!」


 抗議の声をあげているのはミュルンくらいだが、飛び出そうとしたところをルシュルゥとガーグにしがみつかれて揉みくちゃになっている。

 ここで第三者が乱入しては余計にややこしくなるだけだ。



 これまで傍若無人に振る舞ってきたシュテンが困っている姿を見て留飲が下がったのか、司会のお姉さんの口上も饒舌だった。


「さて、波乱と非難が吹き荒れた第600回・獣皇武闘会でしたが、最後はこうして笑いながら締め括れるかと思うと私も感慨でいっぱいです。何でこんな事になったのか今でも疑問ですが、大安売りな奇跡の連続の果てに今回の優勝者は自称テイマー?のシュテン君となりましたーっ!」


わあああああああああっ!!


 なんだかんだ愉しんだ所為か、観客からは肯定的な反応がほとんどだった。

 歴史的な番狂わせの連続とウイニングライブでかつてなくエキサイトしたこともあり、一生話のネタに出来る二日間となった。

 このまま綺麗に終われば、皆が笑って帰宅できるだろう。

 破天荒で卑怯な幼児の活躍とライブの歌を口ずさみながら、家族団欒が出来たはずだ。誰もがそんな晩餐を思い浮かべていただろう。

 

 しかし…唯一人、まだまだ終われない幼児がここにいた。


「なあ、猫耳姉ちゃん…まだ、ガオレスとの試合があるんだよな?」


……し~~ん…


 ルシュルゥの風魔法&司会のお姉さんのマイクが拾った声に、コロシアムに一瞬の静寂が訪れた。


「ちょ…ちょっとシュテン君ッ!宰相ガオレス様との勝負は自由選択であって、最強の名に憑りつかれたおバカさん達のただの自己満足なのよ!幼児にとっては無駄な争いなの!」

「くっくっく…武術なんて知らんけど、要は…勝てばよかろう?なのだ」

「国家の権威が懸かってるから、これまでのようなギリギリアウトなチート行為は絶対に赦されませんからねっ!」

「ちぇっ…なんだよ、ケチくさい…」


 チートなんて言葉があるとは、さすが転生者モドキに迷惑を掛けられてきた世界である。

 ちなみにこの場合のチートとは、テイムと称して強い助っ人を投入したり、ウイニングライブで追及の矛先を有耶無耶にしてきた事だろう。

 武闘会において邪道という言葉さえ生温いチート行為の数々だったが、幼児が非力を補うための策だと思えば少しは聞こえが良くなる…かも?


ヒュゥ~…ドズンッッ!!


 突然、上空から落下した人物が大舞台に降り立った。

 それは三十メートル離れた三階の貴賓席から跳躍した…宰相のガオレス皇子だった。

 その手には太く猛々しい朱色の剛槍が握られている。


「なっ、なんだぁ!?」

「…で、ですの!?」


 衝撃でセレスティアとともに尻餅をついたシュテンを見下ろし、ガオレスは冷徹な声で言う。


「その幼さで私と戦いたいという度胸は認めよう。だが、小僧…身の程を知らぬ蛮勇は勇気とは違うぞ?死にたいのか?」

「へんっ!こちとら勝ち目があるから言ってんだよ。まあ…そんなに俺が怖いってんなら、辞退してやってもいいぞ?今、ここで土下座するならな!」


 不敵な面構えで見上げてくるその眼差しに、かつてのトラウマと宿敵を思い出したガオレス。

 その口元におぞましいほどの笑みが浮かび上がる。


「ああ…そう言ってくれて嬉しいよ。貴様を見ていると、無性に踏んでしまいたくなる。姉上の膝はさぞ柔らかかったんだろうなぁ…」

「なっ!?」


 ガオレスの顔や肌を白い獣毛が覆い、より戦闘に適した形へと変形していく。

 紅い長髪はそのままに、人狼へと獣化を果たしたガオレスがそこにいた。


 吹き付ける怒り混じりの殺気も、とても五歳の幼児に向けるとは思えないほど強烈だ。観衆の存在と予め気構えが出来ていなければ、まず間違いなく普段のシュテンならお洩らししていただろう。


「だが、宰相である私と戦うなら、今までのようにチート行為を許すわけにはいかないな。次に出す従魔には、後で皇城の鑑定台でステータスを確認させてもらおうか。もし、そこに偽証があれば、五歳の子供とて断罪の可能性もあり得るぞ?」

「……ふふん!俺は全然構わないぞ。好きなだけ確認すればいいんだぜい。確認できれば、な…」


 幼児相手に心理戦を仕掛けたガオレスだったが、返ってきたのはこちらが不安を覚えるような不穏な言葉だった。


「おい、それってどういう意味…」

「という事で、みんな戦闘態勢だぜーっ!」


にゃあああああん!!

わおおおおおおん!!


 大舞台の周りに控えていた子供達が舞台に飛び上がり、一部はシュテンを護るように大部分はガオレスを取り囲むように配置する。

 どれもシュテンとあまり年齢の変わらない、四歳~七歳くらいの子供ばかりだった。


「おい…ま、まさか、この子たち全員が…」

「おう、俺がテイムした従魔たちだぜい!」


「「「「「「…ッ!?!?」」」」」


 一万人の観衆も絶句する、本日一番の爆弾発言だった。


「まさか!…じょ、冗談だよな?魔物ならいざ知らず、知性ある我が国民をテイムなんて出来るはずが…」

「え…そうか?一緒に歌って踊ってお昼寝して美味しいオヤツを食べてたら、いつの間にかテイムしてたぞ」

「「「「「そんな事があって堪るかあああぁーっ!!」」」」」


 無邪気に答える邪悪な内容に、コロシアムが怒声に包まれた。


 どれだけ可愛く言おうと、実質は幼い子供等の洗脳である。そりゃ同世代にこれだけ器のデカい面白ガキ大将がいれば、あっさり軍門に降る事もあるだろう。

 しかし、ソレにテイマーという要素が加わると、とんでもない人権問題に発展する。


 ただでさえ三百年前の獣人は奴隷扱いされていたというのに、魔物扱いの従魔にされたなんて論外である。普通に両親の立場から見ても、息子や娘が他人に従属させられるなんて悪夢以外にない。

 そして政治的にも、迂闊に鑑定台で確認なんてするわけにはいかなくなった。もしそんな事実が発覚すれば、他国からの侵略の口実にだってされかねないのだ。


「この鬼畜野郎っ!俺の息子に何しやがったぁ!」

「お願い、私の娘を返してぇーっ!」

「俺ら祖獣を魔物扱いするつもりかっ!」

「お前の血は何色だーっ!」


 親としての正当な非難である。

 しかし、今回すっかり罵詈雑言に慣れてしまった五歳児には、全く露ほども効かなくなっていた。

 この幼児…胆力と狡猾さだけは英雄クラスなのだ。


「ワンニャン忍舞団よ。ミツバチ戦法だ!かかれぇーっ!!」


「うにゃぁあああん!!」

「わふぉおおおおん!!」


 幼いモフモフ(猫人十五人、犬人十八人、獣人七人)の子供達がガオレスに向かって飛び掛かって行く。

 子供達はガオレスに飛び付くと、ひっしとしがみついたり噛み付いたりした。


 ガオレスも槍を手離して怪我をさせないように引き剥がしていたが、ほぼ幼児ばかりとはいえ運動能力に優れた祖獣や獣人である。すぐに一人二人としがみつかれ、あっという間にもふもふフレッシュゴーレムと化した。


 お日様の温もりとミルクの匂いに包まれたガオレスは、子供の怪我を恐れて倒れるに倒れられずプルプル震えながら立ち尽くすしかなかった。

 

「ふはははーっ、見たか!これぞ、巣を襲うスズメバチに纏わりついて蒸し殺すという、ミツバチの必殺戦法だぜい!あと、子供に傷の一つでも付けたら親御さんが黙ってないぞ~」

「ふもっ…ひ、卑怯者…むぐッ!?」


 姉の所為でロリコンを拗らせたガオレスである。普通の人間より子供好きだという自覚はあるが、シュテンへの敵意はどうしようもなく膨れ上がるばかりだ。

 テイムという迷惑なスキルで、父が築いた獣人の楽園を根底から壊しかねない存在。そしてこのまま成長すれば、あの首狩り兎(ラスティ)のように最大の恋敵となる可能性も高い。

 初対面の瞬間から、かつての宿敵とダブらせた自分の直感は正しかった。


 しかし…非力な鬼子が、幼さを免罪符に卑怯な手を遣うことは知っていたが…


「まさか…友さえも人質にとるとは…」

「はあぁ!?人聞きの悪いこと言うなっての!俺は皆に頼まれて主君をやってるだけだもーん。ほら、こういうを指す言葉があったじゃん。えーと…”やりがい搾取”?」

「完全ブラックじゃないかッ!」


 年齢の割にボキャブラリーは多いが、難しい言葉を遣おうとして墓穴を掘るところは子供らしい。やはり、年齢詐称しているわけでもないのか?

 ならば、大人が拳骨を落としてやらねばなるまい!


「小僧…お前は大事な事を見落としている…」

「ん、何のこと?」

「こんなふわふわな攻撃は何のダメージにもならんということだ。そして、子供の腕力では長時間しがみついてられるものでもないぞ?」

「あ…」


 確かに…噛み付いてまで必死に喰らいついているが、甘噛み程度の咬筋力では腕が痺れたら脱落するより他はない。

 今でも…少し揺さぶるだけで何人か脱落しては、周りに控えた交代要員が飛び掛かってくる。

 明らかに時間の問題なのだ。


「うーん…これはちょっとマズイかもなぁ。そんなら今の内に…」


 腰の巾着から何かを取り出そうとするシュテンに、ガオレスは我が意を得たり!と笑い始めた。


「ふはははっ、俺を拷問する気か?とうとう邪悪な本性を現したなっ!だが、数多の戦場を経験した私を屈服させられると思うなっ!」

「…あん?なんで俺が拷問なんて怖い事しなきゃならないんだよ。俺はただ…」


 取り出した手に握られていたのは…先端の丸まった子供用の小さな鋏だった。


「ハ…ハサミ?」

「おうさ。人狼の姿で紅い長髪ってさあ…なんか無性に気に障るというか、生理的に受け付けねえんだわ。もしかして、そういうスキルでも発動してんの?」


シャキ!シャキ!


 幼児というものは偶にとても些細なことに拘って、全身全霊で駄々を捏ねる時がある。他人の目も気にならないほどに。

 まさに、今がそんな事態だった。


「ま…待てっ!貴様は何を言っている!?今は勝負の最中であって…」

「そんなのどうでもいいんだよ!白い人狼なのに紅い長髪ってキモいんだよ!そんな奴は男らしく丸刈りじゃーっ!!」

「うわぁあああーっ!!こ…降参!降参するからーっ!!」

「うっせーっ!俺が落ち着かんのじゃッ!とにかく切らせやがれえええぇーっ!」


 もはや、お互い勝負はそっちのけである。

 幼児の宿癖を満たさねば気が済まないシュテンと、拷問には耐えられても丸刈りの恐怖には一瞬も耐えられなかったガオレス。


 子供達を巻き込んだ二人の仁義なき戦いは、その後もしばらく続いた。






        ◇






「うぅ…あとちょっとで刈れたのにぃ…ぐすっ…」

「……ハァ、ハァ…もう司会じゃなくて、保母さんに転職した気分…」


 シュテンを羽交い締めで吊り上げたまま、司会のお姉さんが荒い息でぼやく。


 子供達から解放されたガオレスも、四つん這いで呆然としていた。


 一瞬で降参宣言した後、司会のお姉さんに捕まるまでシュテンの狂気は続いたが、獣化を解いた途端大人しくなった。どうやら本気で人狼&長髪の組み合わせがダメだったらしい。


 地面に下ろされてからもまだ未練がましくガオレスの長髪を見つめているシュテンを余所に、観衆のざわつきはどんどん膨れ上がっていた。


「なあ…経緯は滅茶苦茶だけど、これって…」

「建国以来、三百年無敗の皇家が敗けた…ってことになるのか?」

「……五歳の幼児に?」

「疑惑を突き詰めれば、全試合アウト判定だけどな…」

「こ、こんな灰色な奇跡…俺は認めんぞーっ!」

「そうともッ!ほとんど詐欺みたいなもんだし!」

「俺も同感だ。しかし、なあ…」

「ああ、なんか丸め込まれちまうんだよなぁ…」

「まあ、なんだかんだ愉しかったし…」


 不正を許せない大部分の観衆の中、一部というには結構な数の人々がシュテンの次の行動に期待の目を向けていた。


「え~…記念すべき600回目の獣皇武闘会はテイマーのシュテン君が優勝&皇家にまで勝利を治める結果となりました!いろいろと物申したい方も多いでしょうが、それは今後のテイマーの扱いを厳格化することで対応していきたいと思います!」


 かなりお疲れ気味なお姉さんも、さっさと大会を終わらせたいようだ。


「それでは大会の締めをガオレス様…は未だ余裕が無さそうなので…シュテン君、最後に一曲イケるかなー?」


 結構な無茶振りだったが、迷惑を掛けて掛けられた所為かすっかり仲良しな二人である。


「ふふん…猫耳の姉ちゃんに頼まれたら、期待は裏切れないなぁ。お前等ぁーっ、最後のウイニングライブやったるぜい!」


 右手を挙げて号令するシュテン。


「にゃあああーっ!!」

「わほぉおおーっ!!」 


 五十人のモフモフちびっ子が大舞台いっぱいに拡がり、均等に配置する。


「最後のトリはグループアイドルアニメの元祖”THE IDOL M@STER”の『READY!!』だぜい!」


 シュテンがパチンと指を鳴らすと、お馴染み観客席の仲間達が演奏を始めた。



『♪ ARE YOU READY!!

 ♪ I'M LADY!!

 ♪ 始めよう

 ♪ やれば出来るきっと

 ♪ 絶対私NO.1


 ♪ START始まる今日のSTAGE

 ♪ CHECK!! マイク・メイク・衣装

 ♪ IT'S SHOW TIME♪TRY CHALLENGE!!

 ♪ STARDOM光り光るSPOTLIGHT

 ♪ 眩しい輝きまっすぐDEBUT


 ♪ 夢は叶うモノ

 ♪ 私信じてる

 ♪ さあ位置についてLET'S GO☆ ♪』



 このアニソンはアニメ”THE IDOL M@STER”のオープニング曲『READY!!』である。アニメのグループアイドルの元祖として有名だが、実はそれより先に同じキャラをロボットアニメにぶっ込んだ”アイドルマスターXENOGLOSSIA”が製作されている。なので、初めてを奪われた正統派信者には黒歴史扱いされていたりするのだが、ロボットアニメとしては結構出来が良いので根強いマイナーファンが偶に出没しては掲示板に混乱コメントを投げて愉しんでいる。



『♪ ARE YOU READY!!

 ♪ I'M LADY!!

 ♪ 歌を歌おう

 ♪ ひとつひとつ

 ♪ 笑顔と涙は夢になるENTERTAINMENT

 ♪ ARE YOU READY!!

 ♪ I'M LADY!!

 ♪ 始めよう

 ♪ やれば出来るきっと

 ♪ 絶対 私NO.1 ♪』



 祖獣の子供はまだ言葉が覚束ない子が多いのだが、たとえニャンとかワォンしか言えなくても今の彼等は輝いていた。

 それこそがアイドルであり、歌やダンスで元気や希望を分け与える天職なのである。


 それが証拠に、我が子の晴れ舞台を見た両親の全てが、感動の涙を流して笑っていた。



『♪ 好きな未来目指してLESSON

 ♪ 辛くキツくてもPEACE?

 ♪ HURRAH♪HURRAH♪NEVER GIVE UP!!

 ♪ FREEDOM描き描くSUPER STAR

 ♪ 険しい壁飛び越えてON AIR


 ♪ 何があったって

 ♪ 何かなくたって

 ♪ 自分は自分だからFIGHT☆


 ♪ ALREADY!!

 ♪ WE'RE ALL LADY!!

 ♪ 踊り踊ろう

 ♪ 一歩一歩

 ♪ 出逢いや別れは愛になるAMUSEMENT

 ♪ ALREADY!!

 ♪ WE'RE ALL LADY!!

 ♪ 始めたい

 ♪ ()けばなれるもっと

 ♪ 全体みんなONLY 1 ♪』



 シュテンの隣では、ちゃっかりセレスティアも弾けるように元気なダンスを披露している。

 練習でシュテンが振り付けを教えていた時も、ぐいぐいアレンジ意見を出しまくっていたくらいだ。お淑やかなのは表面だけで、抑圧された本質は常に爆発の危険を秘めている。

 シュテンに出遭わなければ、悲劇の侵略者でいられたのに…。


 早々に舞台を降りたガオレスと司会のお姉さんも、キラキラと光るような子供達のダンスを羨望の眼差しで見上げていた。

 姉にしか興味がないとはいえ、ロリコンの魂を持つガオレスがこの原石の輝きに惹かれないはずがない。



『♪ HOP全力で走って

 ♪ STEP全開で踏み出そう

 ♪ JUMP全身で翔ばたけ

 ♪ TOPを抱きしめるMY HEART


 ♪ ARE YOU READY!!

 ♪ I'M LADY!!

 ♪ 歌を歌おう

 ♪ ひとつひとつ

 ♪ 笑顔と涙は夢になるENTERTAINMENT

 ♪ ARE YOU READY!!

 ♪ I'M LADY!!

 ♪ 始めよう

 ♪ やれば出来るきっと

 ♪ 絶対 私NO.1


 ♪ ALREADY!!

 ♪ WE'RE ALL LADY!!

 ♪ 踊り踊ろう

 ♪ 一歩一歩

 ♪ 出逢いや別れは愛になるAMUSEMENT

 ♪ ALREADY!!

 ♪ WE'RE ALL LADY!!

 ♪ 始めたい

 ♪ ()けばなれるもっと

 ♪ 全体みんなONLY 1 ♪』



うおおぉおおおおおおおっ!!


 ライブが終了した途端、ミュルンの時のような大歓声が新しいアイドル達を全力で讃えた。


 こんな空気にされたら誰もシュテンの悪口など言えるはずもなく、純真な子供達に混じって手を振る鬼子に観客と国家権威が敗北した瞬間でもあった。


 ワンニャン忍舞団の子供達も闇に死す忍道だけでなく、光と生きる忍道もあるのだと実感している事だろう。唯一つの気懸かりは、彼等の中でシュテンの株がまたも爆上がりしてしまった事。テイムを解除できる日はいつになるのやら…。

 これまでこの国のアイドルとは、ミュルネシアやガオレスのような特別な人間だけに与えられる称号だった。しかし、このライブによって”人種・年齢関係なく、誰もがアイドルになって希望を与えられる”という事が実証された。


 シュテンが切り拓いた歌とダンスのアイドル文化は、ヴォルセニア獣皇国に瞬く間に拡がっていくだろう。

 元祖である幼児の嘘みたいなハチャメチャ伝説を、苦々しく語りながら…。


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