プリンセスライブ
(シュテン視点)
『それでは、これより獣皇武闘会・準決勝第一試合を始めま~す!』
猫耳お姉ちゃんの溌溂な声がコロシアムに響き渡る。
『東より入場しますは今回一番の話題の人、大会史上最年少の五歳児テイマー・シュテン君でぇす!』
「どこがテイマーだっ!」
「ひっこめーっ!」
「インチキ仔豚っ!」
「あ、でも…歌だけはまた聴かせろーっ!」
俺は独りでとことこ大舞台に上がりながら、俺に罵声を浴びせる観客を確認している。
お前等、後でうちの狂犬娘をけしかけてやるからな。覚えてろっ!
『テイマーの割に一人での入場ですが…また召喚ごっこをすると思いますので、皆さん温かく見守ってあげて下さいね♡』
司会の言葉にブーイングで返答する観客。
くそっ、アイツ等…完全に俺をネタにして愉しんでやがる…。
『そして、西から入場しますは、前回優勝者のザンカン選手ですっ!』
ざんばら長髪で幽鬼みたいな雰囲気の狼耳のオッサンだ。老人にも見えるが、引退してもおかしくない歳なら実際は四十半ばってところかもな。
そんなだからか、観客席からはまばらな拍手が起こる程度だった。
ふむ…良い悪いは別にして、人気は俺の方が圧倒的みたいだ。ちょっとだけ気分がいいぜ。
今回は従魔の正体についてツッコまれたくないので、召喚という形式をとるつもりだ。出来れば、試合が終わるまで正体に気付かれなければいいんだが…。
陰気オッサンは今までと違い、俺にちょっかいを掛けて来なかった。じっと俺を見据えているだけだ。まさか、いきなり幼児に斬りかかるような真似はしないと思うが…なんとなく不気味だぜ。
『さあ、それでは準決勝第一試合…始めっ!』
「出でよ!第二の僕、ミュルン召喚ッ!!」
合図とともにハッタリ呪文を唱えた。
「おおーっ!」
ッダアアアァン!!
また石舞台を割って現れると考えた観客の意表をついて、人影は天から舞台に降臨した。
いつもの短パン・ヘソ出しルックに、短いローブのフードを被っている。ケモ耳や尻尾は消しているのですぐにはバレないだろうが、小さな身体で人外のスピードやパワーを魅せていたらすぐに気付かれるだろう。願わくば瞬殺して即退場して欲しいんだが…アイツ、絶対に戦いを愉しむだろうしなぁ。
陰気オッサンが腰の剣をいつでも抜けるように構え、初めて口を開く。
「ほう…お前が二番目の従魔か?拙者はそこの坊主がテイマーであるかなどどうでもいいが、自称従魔の実力には興味がある。当然、拙者の実力を知って舞台に上がったのだろう?」
「ふふん、もっちのろんだよ!アタシは武器なら何でも扱えるけど、オジサンくらいならギリギリ素手でもイケそうだし?」
「…っ!?」
うわ…陰気オッサンのこめかみに青筋が…。
ひとまず、挑発の鞘当てはミューの圧勝のようだ。ちなみにさっきのあの言葉は、ミュー基準で結構な誉め言葉なのだ。アイツが武器を持って戦うのなんて、A級以上の魔物からなんだぞ。
物凄い速さで両者が間合いを詰めて激突…はせずに、無数の互いの拳と剣が空を切った。
斬撃特化の薄い刃がヒュンヒュン飛び交う中を、ミューはありったけの防御技術で躱していく。
当然、余裕が無いのは勝手にハンデを付けたミューの方なんだが、それでも刃の下を潜り抜けて愉しそうにしているのは変人だと思う。あの分じゃ絶対に神気も使わないだろうし、俺なら絶対洩らしちゃうだろう。
「フッ!うわっ!ハッ!?」
やはり自分でギリギリと言った通り、躱し切れずにロープの端から千切れ飛んでいく。
ミューの白い肌には幾つか切傷が生まれ、赤い血が滴り落ちている。
勿論、ミューの蹴りや拳も何発か入っているのだが、上手く鎧で受けられていた。
短剣の一つでも持てば剣戟を受け流す余裕も生まれるだろうに、敢えて不利な状況を受け入れるのはミューの悪癖だ。まあ、誰よりも才能や力に恵まれているからこそ、それに依存した勝利に価値を感じないんだろうな。非力な俺から見れば、ただのムカつく舐めプ行為である。
「………」
終始優勢に戦いを進めていた陰気オッサンだが、何を思ったのか剣を鞘に納めるや片膝をついてしまう。そして、観客席全体に届くような大声をあげた。
「拙者の名はザンカン。我等が獣王国の真月、ミュルネシア姫に御挨拶を申し上げる!」
「「「「「…ッ!?!」」」」」
コロシアム全体が激震に見舞われた。
ぅぇえええええぇぇええええぇえ~~っ!?!?
騒々しいコロシアムの中心で、ミューが大きな溜息を吐く。
次の瞬間、ミューはボロボロになったローブを脱ぎ捨てた。
そして、消していた白いケモ耳と尻尾を顕現させ、ちょっとぎこちないアイドルスマイルを振り撒いた。
「やっほ~!みんな、ただいまーっ!!」
ッドオオオオオオオオオオオオオオオオオ~~!?!?!
うおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉ!!?!?!
「ミュルネシア様が戻ってきたあああああっ!!」
「おぉ、おかえりなざぁあああ~~いっ!!」
「姫さまあああっ!うおおおおおおおぉん!!」
「幼女姫が少女姫になって帰って来たぞおおおっ!!」
「さ、さらにお美しくなられてっ!うおおおおおんッ!!」
うわっ!もう熱狂的というかキモイくらいの人気だな。
ミューも内心うんざりしてそうだ。生まれながらにこんな国でアイドルやらされてりゃ、そりゃ家出したくもなるよなぁ。
俺が他人事のようにそんな事を考えていると、ふとミューと目が合った。
そして、何故かニタァ~と厭らしい笑みを浮かべやがった。
あ、なんか凄く嫌な予感が…。
「みんなぁ、ごめんね!実は本当に帰って来たわけじゃなくて…今はこの鬼畜なボスにテイムされちゃってるから、もう皆のプリンセスじゃないんだよ。しくしく…」
「なっ!?お、おま…この状況で洒落にならん悪戯を…」
そう…冗談でもやってはならない事を平気でやるのが、ミュルンという快楽主義の馬鹿女なのだ。
「こぉの白豚饅頭めぇ!今、お前は全ての獣人を敵に回したぞっ!!」
「うおおおおっ!たとえ幼児だろうが絶対に許さあぁああ~ん!!」
「俺達の姫様を返せえええええっ!!」
「ヤバイ!奴が性に目覚める前に殺ってしまわねば…」
「ぶっ殺ッ!ぶっ殺ッ!」
「お、俺の姫様を……呪ってやるううぅぅ~~っ!!」
「頼むッ!今すぐ死んでくれえええぇぇえええっ!!」
凄まじいヘイトの嵐が俺を襲った。
「うえ、ひぐっ……お、お前等…幼児にそこまで言う?ギャン泣きしてやんぞ!」
幼気な五歳児にトラウマ植え付けたぞ、ごらぁ!
俺に涙目で睨みつけられても、裏切者は明後日の方を向いて口笛を吹いていた。
とはいえ、本気でミュルンの言葉を信じているのは一割くらいで、九割は敢えて悪ノリに乗っかっているだけだと思われる。でも、俺…そんな嫌われる事したっけ?
ミューは俺を揶揄って満足したのか、大振りなジェスチャーで観客を黙らせた。
そして、未だ膝をつく対戦相手に向き直る。
「それで?せっかくの試合を中断してまで、オジサンはアタシに何をして欲しいのかな?」
「はっ…ミュルネシア様にはフェンリルの力で相対して頂きたく!」
「ふ~ん…」
あれ?ミュー、もしかして…怒ってる?
雰囲気が…なんかマジっぽい。
「オジサンさあ…アタシに掠り傷をつけたくらいで傲っちゃったのかな?ガオレスにも勝てなかったくせに?」
「ぐぅ……さ、宰相殿には今年こそ勝つ予定でした…」
今になって己の失態を察したのか、オッサンの頬を脂汗が滴り落ちていた。
「あらら、そこから間違えてたの?ウチの家系は結果より過程を大事にするんだよ。せっかくの戦いを一瞬で終わらせる事ほど、シラける事はないからね。なるべく良いバトルが出来るように獣化を封じ、神気を封じ、武器を封じて戦闘力を調整してるんだよ。どうせなら地道に積み重ねてきた人の努力には、出来る限り報いてあげたいからね」
「…そ、それではっ!?」
「ガオレスの時は得意武器の槍を使わなかったんじゃない?アタシの見立てでは、オジサンの実力はアタシが神気を遣わず素手で戦ってちょっとキツイかなってレベルだもん。せめて、剣を持ってくれと言うなら判るけど、フェンリルと戦おうだなんて慢心以外の何物でもないと思うよ」
「…っ!?」
ミューにちょっとキツめに窘められ、陰気オッサンは恥に堪えるように俯いてしまった。
観客席もやらかしたオッサンに同情したのか、しーんと鎮まり返っている。
そして…柄にもない説教をかましたミューが、内心一番焦っているのが丸判りだった。
へんっ!俺からしたら鼻で嗤う話だぜい。偉そうに建前を言ってるけど、ミューが舐めプするのは半分以上はバトルを愉しむためなのだ。一瞬のスリルのために、たとえ負けても後悔しないギャンブラーである。非力な俺から見れば、金持ちの道楽と大して変わらないね。
情けない部下が視線で「助けて!」と訴えてきたので、俺は仕方なくフォローした。
「おい、オッサン。あんたはミューの見立てが間違っていたことを勝って証明する義務がある!そして俺は、ミューの全力を引き出してオッサンを迎え撃ってやるぜい!」
俺が右手を挙げて指パッチンすると、お馴染みの仲間が観客席で演奏準備を始めてくれた。
「これはミューの最推しテーマソングだ。曲名は『烈の瞬』だぜい!」
このテーマソングはアニメ”エアマスター”オープニングであり、俺の『LIVE for LIFE ~狼たちの夜~』やガーくんの『勇者王誕生!』と同じく、ミューの生き様や目標を象徴するアニソンだ。
伴奏はバンドセットに座ったガーくんの拙いが激しい打撃音から始まり、ルゥ兄ぃの超絶テクが加わっていく。
『♪ 満ち足りた月の夜に 今より遠く願う
♪ この眼に映る世界へ 勇み旅路開いた
♪ 誰にも見えぬ先へ 誰よりも遠く速く
♪ されど行く来しれたもの それでも想い走りだす ♪』
アニメ”エアマスター”は身体が大きくなり過ぎて体操選手をやめた女子高生が、ストリートファイトで天才的な空中殺法を駆使して超個性的なファイターや武術家と戦っていく物語である。このストーリーの何がミュルンに響いたかというと、空中殺法と喧嘩し放題のシチュエーション、そして余計なものを削ぎ取って戦闘マシーンのように研ぎ澄まされていく主人公への共感だ。
俺の歌唱スキルによるバフも、ミューの要望でこの”|研ぎ澄ます(精神集中)”に一点掛けしている。
そして、その対象だが…
「こ、これは!?拙者にまでバフが…!?」
「アハハッ、やっぱりボスは判ってるぅ!これから戦う相手に落ち込んでられちゃ、超つまんないもんね♡」
「ミュルネシア様……判り申した!今度こそ自惚れを捨て、この滾りに身を任せましょうぞ!」
俺の歌は受け取り方によって戦闘マシーンにもなれるし、野生の本能を滾らせた餓狼にもなれるのだ。
極まっていく各々の感覚に身をゆだね、戦闘態勢をとる二人。
「ハアアアーッ!」
「ぜいやぁーっ!」
対称的な闘志を燃やし、精密な戦闘マシーンと猛る餓狼がぶつかり合った。
『♪ 紅く燃え盛る 今この内に
♪ さすれば開いた 道があるだろう
♪ 貫く息吹は 烈なる風の如く
♪ 今過ぎ去る この瞬間 この時を僕は知ってる
♪ 淀みいく虚構の中に 影を潜め研ぎ澄ました
♪ 今はまだ見ぬ場所を探して 劈んざく想いを胸に潜めてるーっ ♪』
先程よりも速く力強くなった刃がミューを襲う。
ミューは刃の下を掻い潜り蹴りを出すが、オッサンはあっさり身を引いて躱した。
やはり、体格差の所為で全くリーチが足りないのだ。
お返しにオッサンの足元薙ぎ払いが襲い、ミューが仕方なく飛んで躱す。
ぎゅるぎゅると回転するミューを斬り飛ばそうとしたザンカンの剣が、すり抜けるように空振った。
あ…あっぶな!
あのバカ、遠心力の重心変化だけで白刃を躱しやがったっ!神気を遣えば防げるのに、アニメ技の再現に命まで賭けてんじゃねえよ!
『♪ 満ちた月が僕を照らしてる 突き刺す想いが烈の風に吹く
♪ この今が翔ける 瞬きの中で
♪ それこそ求めた 生き行く瞬間
♪ 刹那の時を 翔け行く瞬間 ♪』
アクロバチックな動きで刃を避け、時には剣の腹を叩いて難を逃れる。
目まぐるしく動き、跳び、回転する。どれもギリギリであり、偶に反撃が入ってもパシパシと軽いジャブが当たる程度だ。
見てるこっちがヒヤヒヤさせられるが、やがて趨勢が…というより、”獣の猛りVS極限の集中”の違いが顕著になり始めた。
野生の力を増した陰気オッサンは一撃で勝負を決められるが、ミューはずっと精密な判断力と動きを必要とする。一見、明らかにミューの消耗が激しいようだが、必殺の剣を何度も避けられるオッサンの方も間違いなく自信とプライドを擦り減らしている。
威力と本能の宿る切っ先には、徐々に鬱憤と迷いが蓄積し始めていたのだ。
『♪ 今過ぎ行くこの瞬間が 鳴りやまぬ内想いを馳せて
♪ 騒き立てる想いの丈の 矛先には何が見える ♪』
少しずつオッサンの反応が遅れ、少しずつミューの打撃に威力が乗っていく。
速さが支配する世界の中で、濁った者と澄んだ者の差が徐々に開いていく。
そして、崩れかけた野生は…ついに決定的な隙を生み出してしまった。
焦りから理性を完全に塗り潰してしまった豪剣が空を斬り、ガラ空きとなったオッサンの膝にミューの渾身の蹴りが入った。
「ぐあっ!?」
関節こそ外れなかったが、かなりのダメージに身体がぐらついた。
オッサンはミューを遠ざけるために剣を薙ぐが、膝を踏み台にしていたミューは更に上で身体を捻っていた。
変則的な踵落としがオッサンの脳天…ではなく後頭部に叩きつけられた。
「おごあっ!?」
思いもよらぬ角度から後頭部を蹴られたオッサンは、顔面から舞台に激突し…沈黙した。
♪ 今過ぎ去った今から過ぎ行く 時は誰も何も待ちはしない
♪ 故に儚なく故に美しく 烈の想いと一陣の風
♪ まさにその瞬間 僕は風となろう ♪』
俺の歌が終わった時には、コロシアム内はしーんと鎮まり返っていた。
十年前、常に会場を沸かせていた天真爛漫プリンセスの戦闘スタイルが、戦闘マシーンのように地味で冷徹になっていれば然もありなんだろう。でもな、お前達のミュルネシア姫はそんなに変わってないんだぜ。昔はいろいろと我慢していただけ。本当のアイツは国民の事よりも自分の趣味に没頭したい快楽主義者だし、常にギリギリな戦いを好むバトルマニアでもあるのだ。
「あ…じゅ、準決勝第一試合はミュルネシア様が…じゃなくて、テイマーのシュテン選手がザンカン選手に勝利しましたーっ!!」
司会のお姉ちゃんが仕事を思い出し、勝利宣言をする。
その途端、観客も一斉に騒ぎ出した。
「さ…さすが姫様っ!めっちゃ強いぜ!」
「凄くカッコ良くなってたよおーっ!」
「可愛いだけじゃなく、とても美しいですぅ!!」
ウオオォオオオオオオオオオオオッ!!
昔ならこの辺でアイドルよろしく愛想を振り撒いていたんだろうが、今は戦いの余韻に浸っているのかミューは俯いたままだ。意外と、どんな顔して観客に向き合おうか悩んでたりして?
「な、なあ…姫様の様子が…まさか本当にテイムの呪縛に!?」
「いやいやいや、あれは建前だろ。そんなはずは…」
「姫様が従魔って、あまりに不敬過ぎて無視していたが…」
「鬼畜小僧ぉ!俺達のミュルネシア様を解放しろーっ!」
「お前だけズルいぞーっ!」
「この国から無事に出られると思うなよーっ!」
アイツ等、好き放題罵倒しやがってぇ!
馬鹿な観客の大半は、ヤジを飛ばすためにここへ来ているに違いない。
「お前等ぁ、無垢な幼児に言い掛かり付けてんじゃねえぞっ!!」
「「「「「どこが無垢だっ!!」」」」」
「てめえのような幼児がいて堪るかっ!どうせ年齢詐称してんだろ!」
「実はホビットとか…?」
「普通の人間の十倍くらいは生き急いでそうだけど…」
「あの悪名高い転生者だったりして…」
うぐぐ…言い返したら数十倍の口撃で返ってきやがる。
幼児の心は繊細なんだぞ。マジで泣くぞ!
さしもの俺もこの空気には堪えられず、苦し紛れに伝家の宝刀を抜くことにした。
「ウ…ウイニング・ラ~イブッ!!」
「「「させるかぁ!!」」」
「もう誤魔化せると思うなよっ!」
「早く姫様を解放しろっ!!」
「さもなきゃ国家反逆罪だっ!!」
駄目だった!
すでに一曲歌って慣れたのと皇女への畏敬の所為で、この場の掌握が難しくなっている。
だがな…甘いぜっ!
こんな事もあろうかと、俺達はとっておきの切り札を用意してきたのだ!
「ふっふっふ…良いのか?お前等が騒いでると、大好きな姫様の歌が聴けなくなるぞ?」
「「「「「…っ!?!?」」」」」
風魔法で拡がった俺の呟きに、妨害じみた観客の声は一瞬で凪いだ。
そして、この一瞬の隙をルゥ兄ぃは逃さない!
超絶的なギターテクが瞬時に観客の耳を奪い、ガーくんの拙いバンド演奏も必至にそれに喰らいついていく。
その間、俺は未だふらふらしている陰気オッサンの手を引きながら大舞台を降りて、司会のお姉ちゃんからマイクを強奪していた。
「さあ…今回のウイニングライブは、お前等の大好きなお姫様が熱唱するぜいっ!曲名は『GIRLS’ LEGEND U』だ!」
俺の紹介によって…輝くようなアイドルスマイルを浮かべたミュルンが顔をあげる。
『♪ (Wow Wow Wow Wow…)
♪ やっとみんな会えたね
♪ Don’t stop! No,don’t stop ’til finish!!
♪ (Wo oh oh)
♪ Don’t stop! No,don’t stop ’til finish!!
♪ (Wo oh oh)
♪ たかたった 全力走りたい
♪ 芝と砂と キミの追い切りメニュー
♪ Turn Up!(Turn Up!)
♪ 声出せ叫べ(Wo oh oh)
♪ トレセーン! ファイ!(オー!)ファイ!(オー!)
♪ たかたった 全力上がりタイム
♪ ゆずれない夢の途中(Wow Wow)
♪ 始めよう ここから最高 STORY
♪ (Wow Wow Wow)
♪ (o oh o oh…おっおっおーー!)
♪ あこがれの地へ(勇気すこし借りて)
♪ 語り合ったMEMORY(二度と来ない今を)
♪ もう ドキドキもトキメキも
♪ 抑えられない たまんない
♪ 熱いハラハラが止まらない ♪ 』
俺の仕事はマイク音源で合いの手&バックコーラスだ。
ついでにサビも一緒に歌ってやるぜい!
本当はもっと多数で声を重ねたいが、そこは俺の歌唱力でカバーしてやんぜ。
『♪ キミと 走り競いゴール目指し
♪ 遥か響け届けMUSIC
♪ ずっとずっとずっとずっと想い 夢がきっと叶うなら
♪ あの日キミに感じた何かを信じて
♪ 春も夏も秋も冬も超え 願い焦がれ走れ
♪ Ah 勝利へ
♪ Don’t stop! No,don’t stop ’til finish!!
♪ (Wo oh oh)
♪ Don’t stop! No,don’t stop ’til finish!!
♪ (Wo oh oh) ♪ 』
この曲はアニメ”ウマ娘 プリティダービー”の代表的なウイニングライブ曲『 GIRLS’ LEGEND U 』である。集団アイドル用のアニソンであり、十数人のウマ娘が踊りながら歌う姿は圧巻だ。勝利に懸ける執念がミューと相性が良いと考えての選曲である。運動量の多い華麗なダンスも、ミューのイメージにぴったりだろう。
そう…只でさえ大人気のプリンセスがアイドルソングなんて歌ったらどうなる?
ウォオオオオオォォオオオオオオオオオオオオオオオーッ!!!
コロシアムが…爆発したかのような嬌声と熱狂に包まれた。
『♪ たかたった 全力はじけたい
♪ 期待 出会い 決意 キズナになった
♪ Hands Up!(Hands Up!)
♪ 本気で叫べ(Wo oh oh)
♪ トレセーン! ファイ!(オー!)ファイ!(オー!)
♪ たかたった 全力笑いたい
♪ ターフのど真ん中(Wow Wow)
♪ リアルに ここから上昇STORY
♪ (Wow Wow Wow)
♪ (o oh o oh…おっおっおーー!)
♪ 駆け抜けた日々(昨日よりも今日を)
♪ 語り合ったGLORY(強くなれる理由)
♪ いま 応えたい「生きてる」と
♪ 背中押す声 熱くなる
♪ 夢は夢のまま終われない
♪ キミと 未来描きゴール目指し
♪ 狙え挑め掴めWINNING
♪ ずっとずっとずっとずっと想い
♪ 夢はきっと叶うから
♪ あの日キミが流した涙も信じて
♪ 雨も風も雲も闇も超え 願い焦がれ走れ
♪ Ah 勝利へ
♪ 揺るぎない覚悟決して
♪ 1つ2つ共に綴る記録
♪ 背中に迫る迷い振り払え
♪ 今の自分追い越すだけ
♪ 勝ちたい 勝ちたい 勝ちたい キミと勝ちたい ♪ 』
短い間奏の間に大舞台の外周を走って、ミューは手を振りながら観客の声援に応えた。
ウオオオオォォオオオオオオオオオオオオオーッ!!!
この後はソロでサビを任せるぜい。
今のミューは俺でも見惚れるほど輝いてるぞ!
『♪ 未来描きゴール目指し
♪ 狙え挑め掴めWINNING
♪ ずっとずっとずっとずっと想い
♪ 夢はきっと叶うから
♪ あの日キミが流した涙も信じて
♪ 春も夏も秋も冬も超え雨も風も超え雲も闇も超え 勝利へ
♪ キミと 走り競いゴール目指し
♪ 遥か響け届けMUSIC
♪ ずっとずっとずっとずっと想い 夢がきっと叶うなら
♪ あの日キミに感じた何かを信じて
♪ 春も夏も秋も冬も超え 願い焦がれ走れ
♪ Ah 勝利へ
♪ 未来描きゴール目指し
♪ 狙え挑め掴めWINNING
♪ ずっとずっとずっとずっと想い
♪ 夢はきっと叶うから
♪ あの日キミが流した涙も信じて
♪ 雨も風も雲も闇も超え 願い焦がれ走れ
♪ Ah 勝利へ
♪ Don’t stop! No,don’t stop ’til finish!! ♪』
ダンスのフィニッシュポーズを決めて、ミューの単独ウイニングライブは終わった。
数秒後、地響きのような歓声がコロシアムに響き渡った。
ははは…俺も全力スキル全開で二曲歌ったから、もうヘトヘトだぜい。
ミューはもう全ての愛想を使い切ったのか、未練たらたらな歓声にも応えず大舞台を飛び降りた。
そして俺を抱えるや、退場出口へと一目散に走って行った。




