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シュテン童神  作者: 追川矢拓
第五章
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”鬼畜童児”厳戒令


「この壁画のモデルは”勇者王ガオ〇イガー”。パイロットはサイボーグだから安心しな。そして、まさしくその宿敵が機械生命体なんだぜいっ!」

「あ、あなたは……もしかして、同志ですのッ!?」

「ん、同志…?」


 異世界アニメとリアル…初っ端から認識のズレが発生した出遭いだった。

 セレスティアのいう同志とは、同じくニルヴァウム星帝国から送り込まれた”同志”の意味だ。


 シュテンは肩に乗ったスラリンと顔を見合わせ、ちょっと首を傾げたが…


「ああ!オタクという意味ならそうかも。お前もSFには造詣が深いようだしな。まさか、俺とSF設定で語り合える奴がいるとは思わなかったぜい」

「…?オタクやSFというのは存じ上げないのですが、この壁画について何か知っているのなら教えて欲しいですのっ!」

「へへん!この壁画は俺が描いたんだから、俺以上に知ってる奴なんかいないぜ」

「ええーっ!?ほ…本当ですのっ!?」

『に、俄かには信じ難いですな。これほどの作品を手掛けられる芸術家など、我が帝国においてもどれだけいることか。それをこんな幼児が…』


 耳元で囁く爺や(光学迷彩中)の声に、内心ではセレスティアも同感であった。


「……むむ…どうやら疑ってんな。仕方にゃい。今から証拠を見せるから、ちょいと待ってろよ~」


 そういうとぽっちゃり男児は落ちていた小枝を拾って、道端にカキカキお絵描きを始めた。


 その幼い行動に最初は鼻で笑っていたセレスティアだが、迷いなくガリガリ描き上がっていく絵にやがて開いた口が塞がらなくなっていった。絵はすぐに通りの半分以上を埋めつくしたが、通行人が感心したように立ち止まり、または文句も言わず眼を丸くして通って行く。


 その絵は先の壁画とは別の必殺技であり、右腕が分離して飛び出すという常識を逸脱した技だった。そして、それは向かい側の宿屋の壁に描かれた作製途中の下書き、ソレの別視点ヴァージョンでもあった。

 その完成度と描画速度(約三分)を見れば、壁画の作者が誰なのか誰でも察しは付く。


「……ほ、本当にあの絵の作者だったんですのっ!?」

「ふひひ…だから言っただろ。ちなみにこの必殺技名は”ブロウクン・マグナム”と言ってな、あっちの第一作品は”ヘル&ヘブン”だ。攻撃と防御のエネルギーを一つに合わせて放つ、最強の超必殺技なんだぜい!」

「ほわあ~!」


 一部真実が混ざったために、セレスティアはすっかりシュテンの言葉を信じてしまった。幼児の想像力だけでは補えぬ完成度の高い情報に、疑う余地が見つけられなかったのだ。

 まあ、あくまでも異世界アニメの設定であって、リアルとは何の関係もないのだが…。


「爺や!この世界の科学力は私達の予想を遥かに越えてますのっ!これじゃ、侵略なんて…」

『むぅ…性質の違うエネルギーを一つに…ロボット単体の戦闘力にそれだけのテクノロジーを積めるというのですか?いったい、この世界の文明はどうなっているのでしょうか?』


 まさか情報元が異世界のエンタメ&”異世界記憶”というユニークスキルだとは、分析力の高い爺やでも予想の範疇を完全に逸脱していた。


 混乱する主従が疑心暗鬼に陥りそうになった時…


「ちょっとボス~!そんな所に落書きしてないで、さっさとお仕事してよね!」

「うっせい、ミューの怒りんぼ!今は”同志”と大切な話があるんだよ」

「あ~っ!ミュル姉ぇ…勇者王さまを踏んでるッスよ!線が消えちゃうッス!」

「ガーたん、これは只の落書きだからね。無駄に上手過ぎて通行人が歩けなくなってるし、アタシ達の作業の邪魔にもなるでしょ?」

「でもでも…このまま永久保存で、地面に色塗りするのは駄目っスか?」

「だぁ~め!もぅ~…いつもは聞き分けがいいのに、推しになるとグダグダになるんだから…」

「そりゃ、最推しがこんなにド迫力で皆に注目されてるんスよ。オイラ、今も感動でうるうるが止まらないッスぅ♡」

「はぁ~…ゴーレムの身体でどうやって涙を流してんだか…」


 フードを被った少女は無情にも巨匠の男児を追い立て、箒で落書きを消していく。

 巨匠は背の低い鎧戦士と一緒になってブーブー抗議するが、全く相手にされていなかった。


 一方、巨匠な男児(シュテン)の謎知識に疑心暗鬼になっていた主従は、歳相応にお姉さんにあしらわれる男児を見てちょっと安心していた。


『やはり我々の取り越し苦労だったようですな。謎の知識は気になりますが、ちょっと?絵が上手いだけの現地人のようですし…』

「うん…獣耳は生えてないけどね」


 二人がコソコソと疑問に折り合いを付けようとしていた時、それを見た男児がぷんぷんしながらこちらに八つ当たりを飛ばしてきた。


「……おいそこ!さっきからコソコソしやがって。ちゃんと姿を見せろっての!」

「なななっ、何のことですの?」

『まさか、私の存在に気が付くはずが…』

「くけけけ…あくまでも白を切るというのか?ならば…ゆけい、スラリンっ!」

「ぴっきゅ~!」

「きゃあ!?」


 男児がセレスティアの左肩上を指差すと、肩に乗っていたスライムが飛び掛かった。


『うわっ!?これっ、離しなさいっ!』

「爺や!?」


 ややデジタルっぽい老人の声とともに、突然スライムに重なるように10センチ角のキューブが宙に現れた。

 半透明のスライムに半ばまで埋もれて、必死に藻掻いている。


『ぐぬぅ…光学迷彩を見抜いたばかりか、歪曲力場(ディストーションフィールド)で守られた私を捕まえただと!』

「わっはっは!光学迷彩なんてアニメじゃお約束だっての。ディストーションなんとかは知らんけどな!」

 

 ディストーションフィールドは外部からの力を空間を歪めて受け流すバリアの一種だ。激流の中の木の葉のように、負荷が強いほど強力な反作用を生み出す。ただし、スライムのように触れるように貼り付かれては意味を為さなくなるのだが。


「ちょっとぉ、爺やを放してあげてよぅ~!」

『これっ、離さんかっ!老人はもっと労わるべきですぞ~』

「ぷっぷぷ~♪」


 セレスティアが半泣きになりながらスライムを引き剝がそうとするが、弾力あるボディをぐにょぐにょするだけで幼女の腕力じゃどうにもならない。

 キューブの方は抵抗する術が無いのか、必死にスライムの説得を始めている。

 そして、それを見て悪戯が成功したと大笑いする男児。

 

 近くで現場監督ばりの指示を飛ばしていたミュルンが、そろそろ拳骨を落とすべきか…と一歩踏み出した時だった。


くぅきゅるるるっるる~~!!


 どこか聞き覚えのある音は不思議とよく響いたのか、ワンコやニャンコ・通行人までが音の発生源に視線を向けた。


 そして、それらの視線に晒された幼女は、真っ赤な顔でお腹を押さえた。

 やがて…ぶわりと涙を溢れさせた幼女は、決壊したように泣き始めた。


「うわああああ~ん!生き恥ですのおおお~っ!!ぴえええぇ~ん!!」

「うわ…あの、えと…」


 いつもは自分が力いっぱい泣き喚く立場なので、逆になるとシュテンはおろおろ慌ててしまった。


「お、おい…お腹が鳴ったくらいで泣くなよ。まあ、確かに音は大きかったけど…」

「っ!?びっぎゃああああぁああぁああん!!」


 心無い失言によって、更に火に油を注いでしまった。


 その後、女の子を泣かした罰として、シュテンはミュルンに拳骨を二つ落された。







          ◇







「まったく…なんで俺が怒られなきゃならないんだよ。ブツブツ…」


 文句を垂れるシュテンのすぐ後ろを、白いドレスの幼女…セレスティアがニコニコと歩いている。さっきまで大泣きしていたが、今は大きなキャンデーをペロペロする事に夢中になっていた。

 そんな二人を後ろからキューブの爺や(エンデオ)が見守るように浮いていた。


 あの後、シュテンに拳骨を二つ落としたミュルンは、セレスティアの口にルシュルゥ特製のペロペロキャンデーを突っ込んで事態を収拾した。

 超一級天然甘味の魅力に夢中になったお嬢様に代わってキューブな爺やが、『お金はないけど魔石はたくさんある。換金できるところがあれば教えて欲しい』とミュルンに相談したのだ。


 そして、当然のように部下に仕事を押し付けてサボっていた上司が、ハンターギルドへの案内役に抜擢されたのだった。

 今も自業自得なアホ上司の金髪頭には、綺麗な二つのタン瘤がぽっこり山を築いている。


 時々、宙に浮くキューブを奪おうと何人ものスリが挑戦しているが、風に揺れる木の葉のように掴みどころがない様子。スライムには不覚をとったが、通常仕様なら歪曲力場(ディストーション・フィールド)は健在のようである。



 やがて、セレスティアのペロペロキャンデーがなくなる頃、一行はハンターギルドに辿り着いた。


「さあ、ここが皇都のハンターギルド本部だぜ。と言っても、俺も入ったことは無いんだけどな」

「え?それって、大丈夫ですの?」

「ダイジョーブだぜい!ハンターってのは意外と腰抜けが多いからな」

「………」『………』


 五歳児が何を分かった風に…ちょっと呆れながら、主従も後に続いてギルド建物に入っていく。


 中に入ると…海千山千の荒くれ達にじろりと睨まれ、セレスティアはびくっと身を竦めた。


 ダンジョン最下層から機械化モンスターを蹴散らしてきたとはいえ、生物的には最弱の部類なのだ。本能的な恐怖を覚えても仕方ない。

 しかし、よっぽど鈍感なのか図太いのか、シュテンは視線の圧に負けることなくズンズン奥へ進んでいく。


「アイツ…まさか”鬼畜童j…”」

「馬鹿っ、言うなっ!やり過ごすんだ!」

「やっぱり、ここにも現れやがったか…」

「おい、情報共有はちゃんと隅々まで済ませてるか?」

「ああ…アレには関わるな、絶対に!ってな」


 何故だろう?セレスティアの不安とは裏腹に、猛獣のような見た目や雰囲気のハンター達がシュテンを見て脅えたり、あからさまに無視し始めたのだ。


 シュテンが人混みの多いところに差し掛かった時、虎頭のハンターの尻尾が偶然シュテンの顔に当たった。


「ぶっ!?……やいこらっ!目の前にこんなもんぶら下げてんじゃねえよ!」

「ふぎぃ!?誰だっ、俺の尻尾を握りやがったのはっ!?」


「あ…あれは流石にヤバイですのっ!」

『ふむ、やはり只のお馬鹿さんだったようですな』


 セレスティアでさえ獣人の尻尾を握ったらマズい事になると予想できるのに、やはりちょっと絵が上手いだけのバ…考えなしだったようだ。


 セレスティアがスカートに手を掛けて戦闘態勢をとったが、爺や(エンデオ)は少し痛いめを見たほうが本人の為と制止した。


 しかし、それを押し退けてセレスティアが助けに入る前に、事態は勝手に明後日の方向に流れていた。


「……こ、これはこれは…お坊ちゃん。獣人の尻尾は無暗に掴むもんじゃないぜぇ。にごぉ…」


 怒髪天に昇っていた虎の獣人が、シュテンを見た途端、怒気を引っ込めて愛想を振り撒いていた。かなり強引に…。


「ふん…握られたくなきゃ、ポケットにでもしまっとけよな」


 ポイッと尻尾を放り、捨て台詞を吐いてまた歩き出す。


 生意気な幼児を見送る虎獣人の怒りの形相を見るに、あの獣人が人格者というわけでもなさそうだ。というより、シュテンに手を出してはならない暗黙の了解がハンターギルド内に出来上がっていると主従は感じていた。


 ”鬼畜童児”厳戒令。

 何と言ってもこの一件における功労者は、ルタンバ王国王都北支部のギルド長ハーゲンである。

 ハンターギルド各支部には、旧冒険者ギルド時代に収集した通信系アーティファクトが秘蔵されている。ソレを使って世界各国のハンターギルドに特S級モンスターと同等の取扱注意人物としてシュテンの情報を発信したのだ。

 お尻を蹴っ飛ばしたハンターの末路に始まり、ギルド建物にすわ世界樹かと思うような秘密基地一号を一晩で設置、マッスルブームの火付け役、混合魔物のスタンピード阻止&S級モンスター”城壁崩し”の討伐、スラム中の闇組織の壊滅、王城を半壊させるテロ行為、名君と謳われた国王を再起不能にし、最後に王宮宝物庫を荒らして悠々と空を飛んで国外逃亡…と天下の英雄や大悪党もかくやという暴れっぷりである。

 いやまあ…主な実行犯は彼の保護者達なのだが、全ての事件の発端はシュテンの悪戯やお遊戯から始まっているのも事実。無自覚な災厄というのが一番タチが悪いのである。


 そこへ最近、祖獣通りで大迫力の巨大壁画を描き上げたのが、例の”鬼畜童児”だと発覚した。皇都のハンターギルド本部が 皇都襲撃スタンピード並みの”鬼畜童児”厳戒令 を発して、ギルド員に緊急講習を実施したのはつい二日前である。

 なんせ鬼畜童児の一味には、家出中の獣皇と皇女も加わっているという未確認情報まであるのだ。いかに命知らずの荒くれハンターでも、”触らぬ神に祟りなし”と全力回避一択にもなる。



 そんな周囲の緊張感にも気付かず、太々しい幼児は受付を見渡して一番若そうな受付嬢の列を選んだ。

 何故か、前にいたハンターが散り散りになっていくので、待ち時間はゼロである。

 高過ぎて顎も乗らないカウンターに手を掛け、シュテンは受付嬢に声をかけた。


「なあなあ、受付の姉ちゃん。アイツがハンター登録したいって言ってんだ。お願いできるか?」

「ええっ!?あの…」

「ハッ…私、セレスティアと申します…ですの!」


 ちょっと反応が遅れたが、スカートをちょんと摘んで何とか皇女の気品を保てた…と思う。

 爺や(エンデオ)は黙ったままで、魔道具のフリをしていた。


 受付嬢はシュテンに脅えながらも、セレスティアをじっと見つめて…


「すみません。そちらの方はハンター登録するにはあまりに幼な過ぎて…」

「おいおい、俺だって登録できたんだぞ。アイツが登録できないわけないだろ?」

「それはあなた方が半ば無理矢理に…」

「ああん!?」

「ひいいぃ~!」


 ほとんど悪質クレーマーである。

 シュテンの間違いは駄々を捏ね易そうな新人を選んだことだ。しかし、新人に裁量権などあるはずもなく、元からマニュアル以上の判断を下す権限などないのだ。

 それに気付かず、シュテンは更に勘違いを加速させる。


「そうか…俺が子供だからワイロを払えないと思ってるんだな?」

「ひっ、人聞きの悪いことを言わないで下さいっ!子供からお金なんて取りませんよ!」

「ふむ、金ではないと?なるほど…」


 絶対勘違いしている幼児はポンと手を打つと、よじよじとカウンターを登り始めた。

 衆人の視線を一点に集めていることにも気付かず、シュテンはカウンターに横になってペロンとお腹を出した。


「俺のポンポン撫でさせてやる。これで登録よろしくな!」

「「「「「ぶふっ!?!」」」」」


 周りのハンターの何人かが吹き出したが、慌てて口を抑えて明後日の方を向く。


 ルゥ兄ぃに可愛さ全肯定されているシュテンは、自分の可愛さを疑っていない。確かにアニメでもリアルでも美少女が持て囃されるが、五歳児なら男女の差はほぼないと思ってる。それに自分の魅力は、ルゥ兄ぃの愛情が詰まったこのぽっちゃり体形であると自負していた。

 これがミュルンになるとちょっと違い、こういう地頭が良いくせにアホな事ばかりするところが”バ可愛い”となる。孤児院のお姉ちゃん達がメロメロだったのも同じ理由だろう。


 そして、この”バ可愛い”は犬耳の新人受付嬢にも直撃していた。

 アホっぽい仔犬にお腹を出されて無視ができるだろうか?しかも、野生の本能がこの白くて丸いポンポンを美味しそうと判断している。美味しそう=バ可愛いである。

 孤児院でも勢いの余ったお姉ちゃんが、何度かガブっとやっていたくらいだ。


なでなで~…ポンポンッ!


「ハッ…!?あ、あれ…いつの間に手が…」

「くっくく…受付の姉ちゃん、ワイロを受け取ったな?」

「あああ…」


 この新人さんは後で先輩に怒られることが、これで決定した。









「ハイ…セレスティア=エルム=ニルヴァウム様。これで登録が終わりました。これで今日から貴女はハンターです。くれぐれも安全を念頭に行動して下さいね」

「はいっ、ですの!」


 やや疲れた表情の犬耳受付嬢に申し訳ないと思いつつも、嬉しさを隠し切れなかった。

 これで魔石の換金も出来るし、宿にも泊まれる。異世界の経済活動に参加できるというのは、才女である彼女には好奇心を大いに満たすものだった。

 見た目こそ五歳児だが、これでも睡眠学習で大人顔負けの知識を保有しているのだ。


 そんな彼女が周囲を確認した後、受付嬢にそっと訊いてみた。


「あの…つかぬことを伺いますが、AI・ロボット・機械生命体などという単語を聞いたことはありますの?」

「…えーあい、ろぼっと、きかいせいめいたい?いえ、全然聞いた事がありません。どこの言語ですか?」

「……ありがとうございます。ちょっと聞きかじった言葉ですの。気にしないでくださいませ」


 礼を言ってそそくさとその場を離れる。

 そして、隅っこでキューブの爺やとひそひそ話を始めた。


「やはり、この国にロボットや機械生命体の概念は無いようですの」

『…ですな。あのシュテン坊ちゃんだけが浮いているようですな。我々のように…』


 セレスティア達が出来てたダンジョンはこの皇都の傭兵やハンターが攻略中だったが、ロボットの事を機械人形と呼んでいたし、人工知能やAIに気が回るほど構造にも詳しくなかった。

 それにいかに近場で機械化モンスターが湧くと言っても、あの壁画のような巨大ロボットや理詰めの必殺技なんて発想が個人(幼児)から生まれるとは考え難い。


「シュテン様について、もっと情報を集める必要がありそうですの」

『まずは…どうしてギルド員が彼に脅えているのかを知るのが手っ取り早いでしょうな』

「まったく…異世界の戦力分析をしなきゃならないのに、余計なイレギュラーが紛れ込んだものですの。あの壁画が只の妄想の産物であることを切に願いますわ」


 そんな主従が後ろ暗い相談をしている中、話題の人物というと…


 女性ハンター達の膝の上を渡り歩きながら、ご飯を食べさせて貰っていた。

 最初は脅えていた獣人女性達だが、珍獣に餌付けをする好奇心に負けたのか我も我もと自分から呼び込むようになっていた。


「あ~ん!うん、おいちぃ♡」


「………ふん、幼稚ですの!」


 あまりにも自由奔放に幼児をやっているシュテンに、ちょっとだけ羨ましくなったセレスティアであった。


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