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シュテン童神  作者: 追川矢拓
第二章
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とある女傭兵の受難

#マゼンダ視点



 あたいの名前はアゼンタ。獅子の獣人だ。

 故郷は隣国である獣皇国だが、許嫁の次期族長をボコボコにして出奔した馬鹿な女だ。

 いや、幼馴染のアイツは男としても戦士としても上等な奴だったけど、タイプじゃないというかアタイの性癖が最大の問題だったわけで…。それでも大幅に譲歩して「アタイと戦って勝ったら好きにしな!」って約束で戦って……まあ、現在に至るわけさ。


 そっからも、この邪悪な性癖との戦いは続いたね。

 何せホビットの美少年(合法ショタ)とかドワーフの美少女(合法ロリ)なんかに口説かれたら一瞬で溺れる自信があるだけに、まずは己を律する精神力が必要だった。ショタコンとかロリコンとか言われるのは仕方ないが、獅子のプライドにかけて犯罪者になるのだけは勘弁だからな!

 この国に渡って傭兵登録して、ソロでひたすらストイックに戦って…己を鍛え続けた。二年ほどでAランクまで昇り詰め、あたいは鋼の精神を手に入れた。己の邪念を抑え込み、少年少女の前でも平常心を保てるようになったと思う。古に遺る名言”イエス・ロリータ・ノー・タッチ”を心に刻んでいるのだ。母性のみの純粋な気持ちで可愛い子を愛でられれば、それだけで幸せだ。

 以前は鼻息荒く近付いて、泣かれたり逃げられたりしたからなぁ…ぐすん。



 そして、つい先刻……そんなあたいの前に祝福が訪れた。

 清らかで可愛い妖精さんたちが傭兵ギルドに入って来たのだ!

 あくまでもあたいの性的対象は十歳前後だ。今回の妖精さんたちは五歳以下の幼児であり、アタイにとっては間違っても邪念の生えない崇拝対象だ。ああ…尊い♡

 視界に捉えた瞬間、母性本能がどぱどぱ溢れ出てきて全員を抱きしめたくなった。アタイのような汚物が妖精さんに触れちゃ駄目だけどな!


 しかし、そんな妖精さんたちに絡むバカが現れた。

 一般常識でさえ…幼子とは遠くから崇めるべき宝であり、決して触れてはならない神秘だっていうのにっ!


 ふくふくとしたわんぱくそうな男児がパチンコで先制攻撃したのは驚いたが、ドワーフ幼女の追撃も実に見事だった。

 今になってやっと前に出てきた護衛は能無しだ。ちゃんと仕事しろっ!


 あたいが乱入したのはほとんど無意識だったし、当然の行動だった。

 心情的にはバカの首を刎ねたかったけど、僅かな理性が働いて踏み止まった。妖精さんたちを怖がらせるわけにはいかないもんな!


「………えっと…うぅ…」


 バカをぶん殴った後、妖精さんたちとお話がしたくて、声を掛けられるのを待っているあたいがいる。今のあたいは物欲しそうな顔をしていないだろうか?小麦色の総髪にロングソードを両腰に佩いた筋肉質の大女なんて怖いよね?スラムの浮浪児でもあたいの顔を見たら、モンスターに出遭った時みたいに泣いて逃げてくし…。


 だけど、他の子と違ってあのわんぱく坊やだけは、あたいの顔を真正面から見返してきた。

 そして、怪訝そうに近寄ってきて、鼻をくんくんさせてあたいの周りを嗅ぎだした。


「え?えっ?……あ…あのぅ…?」

「ふむ……なんか狩れそう…」

「んえ?」


 ど…どういう意味?


 わんぱく坊やは一端自分の陣営に戻ると、他の子たちとコショコショ内緒話を始めた。


 そして、あたいに向けて不敵な笑みを浮かべて腕を振り上げる。


「さあ、狩りの時間ぞ。我が無敵の軍団よ、かかるのだぁーッ!!」

「「「「「「ヒャッハーッ!!!」」」」」」


 えっ、なんだよっ!?

 妖精さんたちが一斉に駆けて来て、あたいに抱き着いてきたんだけどッ!?

 これ、何の御褒美ですかっ!?


 やわらかくてお肌プニプニで体温が高くて、か弱い力で健気にぎゅっと足にしがみつかれて…もうあたいに萌え死ねと?

 あああ…喜んで死にますとも!神様、ありがとうございますっ!!


 幼児たちに捕まって動けないアタイの背中から、わんぱく坊やが肩までよじ登ってくる。

 これもまた…萌えるぅ♡


「んしょ、っこらしょ。姉ちゃんでっかいなあ…。やっぱ狩り甲斐があるぜい!」

「はぇ?…あの……狩り…とは?」

「ふふん、俺が~姉ちゃんを~…獲物として狩っちゃうって意味だぞ♡」

「ど、どど…どうやって!?そして、なんでぇ~っ!?」

「えぇ~、わっかんねえのぉ?こんなにイジめてオーラぷんぷんさせてんのにぃ?……まあいいや。嫌だったら抵抗してもいいんだぞ。痛くして泣かせるつもりだからな!野生も幼児の格付けも、マウントの取り合いはマジ非情なんだぜい!」

「んえっ!?ちょっ!あたい、わけ分かんないよぉ…」


 抵抗するのは簡単なのだが、何故かそんな気は起きない。”泣かす”と言われて、逆にドキドキ昂揚している自分に混乱していた。


「んじゃ、お望み通り屈服させてやるじぇい!!」


がっぶぅぅ!!


「ッ!?イダダダダァアアアアアアーッ!?!?」


 繊細な神経の通っている耳を噛まれて、あたいは激痛に叫びをあげる。

 ある意味、獣人の弱点と言えなくもない箇所だ。幼児とはいえガジガジと力一杯齧られたら、そりゃ”殺戮女帝”だって涙がちょちょ切れもする。

 ただし、人によっては…アタイの情けない悲鳴の中に、必死で抑え込んだ艶を感じ取った者もいるかもしれない。そう、激しい痛みが恥ずかしい性癖を通して快感に変換されているのだ。ああ…今まで満たされなかった餓えが満ちていく感覚…。

 まさか、こんな子に眠っていた被虐性癖(たぶん幼年専用)を発掘されるなんて…。


 本能を揺さぶる痛みと精神的ショックと激しい羞恥心の中、アタイはこの小さな捕食者に号泣しながら完全降伏したのだった。

 人前で嬉ションしてしまう前に獅子のプライドを完全廃棄できたのは…不幸中の幸いだった。

 ほ、本当に危なかったんだよぉ…。


 この日、アタイは”下僕二号”という立場と、新たな”M性癖(幼年専用)”を獲得したのだった。


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