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虫陀トンネルにいる神さま

ある世界の緑さんと子供のカミサマ。

 パッとトンネルが明るくなった。あれだけ冷や水に浸されていた摩訶不思議な空間はありふれた高速道路になる。

 だが極端に車通りのない、やけに静かなもので…どこのトンネルなのかも曖昧だ。

「…お姉ちゃん。何者?人じゃなくて化け物?」

 子供の声がして、視線をさ迷わせる。

「私は人ですよ」

「だって普通じゃないよ。今までそんな人いなかったもん」

「まあ…場当たり的な行動をしましたから」

 案内人の助言もあったが、一般人よりかは化け物慣れしている方だ。

「お姉ちゃんはずっとここに居てくれるの?」

「いいえ。帰らなければなりません」

「ダメ。帰さないよーだ」

 まるっきり人間の子供みたいで気味が悪い。人が化け物になったとしても、この規模になるのは相当な力が必要だ。

 隣りにいる案内人のように、何億光年の年月と血肉をすすらなければ。

「逆に貴方は何ですか」

「僕はここに理由があってね。閉じ込められてるの。村の人が風蛇(ふうだ)さまって呼んでた」

「ならば神さま、ですか」

「違うよ!僕は普通の男の子だよ!」

(…はあ、埒が明かないな)

 内心毒づきながらも風蛇さまの出方を探る。自分を返したくないのは先程の遺体らで分かっている。

「ねえ、お姉ちゃん。僕とお話してよ。遊んでよ。友達になって」

「…ううむ」

 案内人を見やると、奴はヤレヤレというジェスチャーをした。

「そうですね。風蛇さまが返す気になるまではここにいましょう」

 仕方ない。神の気まぐれを人がどうこうする力は無いのだから。

「いいよ!!我慢大会だね?じゃあ、始めるよっ」

 それきり風蛇なる子供の声はしなくなった。

(案内人。風蛇とかいう神は聞いた事があるか)

「うーん。聞いた事はアリマセンね。ただ、どうやらワタシとは似て非なる順序でヒトの心を得たヨウデェス」

(はあ)

「ワタシはアナタをベースにして、人ならざる者にナッタ。アチラは人ならざる者をベースにして子供の情報が上書きサレタ。そんなモンです」

(なるほど、と言えばいいのか)

 風蛇には実際、存在していた人間の子供が上書きされ、ああして無邪気に人を吸い寄せているのか。

 厄介だ。

 本人はそれを自覚していないのだ。

「上書きされればもう別物。ワタシがアナタとは別人ノヨウニ。風蛇という神はもう村から求めれテイタ神じゃないです」

 長ったらしいトンネルの向こうは伺えない。この貫かれた山の神が、風蛇だったのだろうか。

(忘れられた神、とかだったらさらにめんどうだ)




 避難所と思わしき重たい扉を開けると、白骨化した遺体が横たわっていた。服装からして男性だろうか。

 リュックサックにはノートと地図が入っていた。そうして免許証やらも財布にしまわれている。初老男性。手帳には自身の紹介がある。大学教授らしく、この土地を調べにきた。

「なんというか、これは…罠か?」

「イヤ、これは偶然デース」

 シワシワの地図を広げ、荷巳巳村(かじしむら)とマーカーで丸をされている場所と、風羽山(ふうばやま)を貫くかなりの距離がある虫陀(ちゅうだ)トンネルが蛍光ペンでなぞられている。どこの地方かは定かでない。

 だが、不自然なほどトンネルが蛇行していた。ヘビ。言い得て妙だ。

「風羽山の神が風蛇だった、と」

 大学教授のリュックサックにしまわれていたノートには道ほども記されていた。

 関東の鉄道を頼りにある駅からタクシーで荷巳巳村へやってきた。首都から少し離れた場所にある、山奥のトンネル。ある事情で封鎖されているという。

「こんな…わざわざ危険な場所へやってくるとは」

「まあ、ソンナモノですよ!」

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