表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

戦争を知らない大統領(死ぬより怖い恐怖です!)

作者: カズ ナガサワ

 ある日のこと。ある人に、一人でいることが楽しいと言われたので、仲間が離れていきました。プーチンはそんな人です。彼の過去や今の生活は闇です。表に出ている事実はつくられた事実。つまり全てが事実ではありません。


 公開されている家族は彼の中年期にとても若い妻を娶り、二人の娘が生まれましたが、妻は若くして他界したということです。恐らく、彼の過去や人間像については、どこかの誰かがこの戦争が落ち着いた頃に、金儲けの為に本を出すでしょう。でも、真実として言えることは、彼は先進国のトップの中で、唯一自分の意思で人を殺害した経験のある人物です。そして、諜報員としてそのための訓練を受け、人を殺してもその事が人として恥じることや、悪行であるとは思わないメンタルを持ってしまったのです。


 戦闘経験のある人間が、敵と遭遇する一線に出て敵を殺害する任務を行うとします。やるかやられるかの緊張の中で、愚かさを身につまされます。だから軍人は人を殺すことが嫌いになり、任務以外では殺さないという信念で、人としての人格を維持しています。しかし、自分が何のリスクも負わずに、自分の保身のために人を殺せると思った時点で、人間としての人格は壊れていきます。戦いの前線で無抵抗な民間人を殺害するのも、自分の保身を確認するような行為です。


 これは、本来は人間として強く禁止されていることが、いとも簡単に出来たときから、自分と同じことをやろうとする架空の誰かを、自分が勝手につくり出すからです。だから、周辺国との勝つに決まっている戦争を選択し、自分を納得させたいのです。従って、その行為には理由は有りません。戦争をやるために理由を後付するからで、状況が変われば理由も変わります。


 よく考えて下さい。ロシアは、世界の主要国の大統領が過去に諜報員として、国際政治の裏側にいたと自ら示せる国なのです。そういう人物が大統領になると何かメリットがあるように捉えています。要は、裏社会にも影響力があると言いたいので、そう示さなければガバナンスが効かないと初めから考えていたのです。



○国民性への理解

 プーチンの闇の背景は、ソ連時代からロシアへと国が変わり、思想が民主主義に傾きかけたとき、ロシアという国の自浄能力まで捨てたことで起こりました。自由と言うものが何をしても拘束もされず、誰もが富と権力を握れるチャンスだと人々は捉えました。これは、ロシアの国民性にとって、最大の危機であり、また逆にチャンスでもありました。


 その国民性は完全に善と悪が一人の人格の中に極端に存在するということで、ある意味、素朴に見えたり、議論好きに見えても、何かでたがが外れてしまうと、一気に悪をむき出しにするのです。ですから、力の強いものには服従するという意識が強く、そのことに疑問を持たない国民性なのです。


 端的に言うと、あれだけ広い国土と地方により気候も文化も異なる国家が、一つの国として存在することが私達にとっては未知です。事実、日本にとっては隣国であっても、どこかヨーロッパの遠方にある国というイメージが強く、北方領土にいるロシア国民も、実は今起きているウクライナやクリミア併合の武力行使は、別の国の出来事に見えているのです。


 ただ、大国ロシアの武力の傘の下にいれば、とりあえず生活はできるし、戦争をやれと言われ、銃火器やミサイルで人を殺すことになっても、その権力に従うことが彼らの生きる道なのです。これは、生存の為の正義として、権力者や多数派が力を示すと、堰を切ったように悪が正義へと切り替わる、自己肯定の心理なのです。


 ほとんどのロシア国民は、上に対して従順な姿勢を示しますが、一旦対等の立場や、上位の武力、権力を持つと、自分有利に事を運びたがります。それは、常に周りの力関係を意識する国民性であり、弱いものを見付けると、それに対して常に上位で在り続けたいと強く意識するのです。


 あまり知られてはいませんが、ロシアにも人種差別はありますし、地方出身者への偏見もあります。ただそれ以上に国内の特定の強大な権力者や組織体に対して、強い警戒心を持つので、差別や偏見という人間の本質を問うような話しは出ないのです。例えば、日本にいるロシア人やロシア系の日本人が、マスコミやスポーツ選手などの表舞台にほとんど出ないのも、その国民性からだと言えます。



○プーチン個人が決めているとは言えない事実

 ある意味で、大統領はその国の顔ですし、権力を集約しているように見えます。しかし、あれだけの国の中を統制するには、彼の配下で水掻きのように働く人間がいます。その人物がほとんど目立たないのも、ロシアとしての戦略であり、内外に対して強いメッセージ性やプーチンのカリスマ性を示しやすくしているのです。


 例えば、プーチンがウクライナ問題に反対する日本に、軍事的圧力をかけるため、日本近海に航空機や軍船を展開させろなど指示を出すことは有りません。日本は先ず軍事的に何もしてこないと分かった上で、あえて目立つようにしているのです。いわゆる、点数稼ぎで軍事的一体感を示すために、ロシア軍の極東指令部がやったと見ていいと考えられます。


 さて、本題のウクライナ問題の水掻きの部分の話しは、ほとんどのマスコミが取り上げていません。ロシア軍には当然、幕僚や統合幕僚、その上の国防副大臣クラスが前線本部に常駐して指揮を行っており、計画通りに進行しているとプーチンに報告しています。そして、シナリオに沿った停戦協議や国際調停での駆け引きに使うべく、民間人を含めた攻撃対象による脅威を、日々の戦果として挙げています。


 ではなぜ、ロシア軍の戦闘情報が我々に知らされないか疑問に思うと思います。ロシア軍にはロシア国内への報道のために、軍内部に広報活動の部署があり、そこから出される情報はロシア国内で知ることができます。当然、前線基地を置くロシアの都市には、様々な情報が飛び交っているはずです。その中には、プーチンと直接会ったことの無い軍人が現地の攻撃対象や、非道な行為、略奪等を指示して、裏の戦利品としているのは、前のクリミア併合の時を見れば明らかです。


 誰しも嫌な戦争ですが、死なずに元気で戻れれば、それだけで富や名誉が得られ、人としての道を外れても良いというロシア軍の歩んだ過去の歴史が見えてきます。

 とても悲しいことですが、国家のために命をかけて戦争に来たんだから、略奪、強姦、傷害くらい構わないだろうと考える軍隊なのです。



○日本は極端な平和主義国家で腰抜けと言う見方

 日本の常識は国際的には非常識です。現実を見れば明らかなとおり、領土問題や拉致被害者救済は時間のかけ過ぎでしょう。この問題の相手国から見れば、日本は極端な平和主義国家であると見られています。また、日本国民はそれが世界で通用すると大多数が思っているので、政治家はリスクを負わずにすみます。事実、偶発的な戦闘行為を除き、相手国と戦争をする意思決定は、権力を一手に握るトップでなければ、いくら憲法を改正しても出来ないというのが現状です。ある程度、シビリアンコントロールが効いてそうに見えますが、実際には戦争を知らないトップが、自分の判断だけでやれないのが実態です。


 では、プーチンが本当に戦争を知っているかと言うと、実際は勝てる相手としかやっていないので、政治のカードに過ぎないと考えていると思います。ところが、日本や旧ソ連から独立した周辺国が、一気に強気に走り、在留ロシア人を人質にしてロシアと戦うような事態になれば、ロシアの対応も変わらざるを得ません。これと同じ状況がNATOへの加盟であり、ロシアから見れば腰抜けが一気に対等の相手に変わり、崩れかけた内政に直接響くので、ウクライナを見せしめ的に叩いておきたかったのです。



○ロシアにとっての想定外

 意外と強気のウクライナと周辺国の出方がロシアにとっての想定外だと見えますが、インドや中国の対応も予期していなかったと思います。戦争が長引くと、いずれ現地の実態は国内に知られ、軍内部から不満があがり、政権維持が難しくなります。経済制裁でも国民の暮らしのダメージが増しますが、石油や天然ガス等による外貨獲得ができなくなり、国として機能しなくなっていきます。既にモスクワの証券取引所は閉鎖が続いており、現地の経済界は危機を感じています。


 他方、極東の軍事バランスや経済圏の問題は、ロシア側にアドバンテージが有るように見えていたと思います。特に、北方領土問題の解決に平和的な考えで対応していた日本が、今回のウクライナの実態を見て、現実には無理だと認識した場合のことは考えていなかったと思います。これを契機に、仮に北海道には米軍を含めた軍事力の増強を行い、更に公海指定されている津軽海峡等を日本が封鎖するとなれば、ウクライナ攻撃が招いた負の結果として取り沙汰されます。



○打開の糸口と今後の対応

 人は信頼関係があって他人と共存共栄ができますが、一旦それが崩れると修復には大変な時間と労力が必要です。特に隣国とは、歴史認識や経済格差によって、必ずしも過去の経緯や国際規範が通用しない場合があります。

 ウクライナについて、今後ロシア軍が駐留するとなった時点で実質ロシア統治となり、国の運営はロシアが行うこととなります。それを、将来的にまたウクライナに戻すことは、これだけ痛め付けた相手が報復しないとロシア考えた場合だけで、ロシア国家が無くならない限りありえません。先ずは、ウクライナは崩壊させられたと見て、打開策を探さなければ、同じことを繰り返します。


 今、日本はロシアにとって近くて遠い国です。モスクワ基点の考え方は見ての通りてます。極東のロシアの軍事力イコールその地域の重要性を意味します。実質、ロシア軍の領海侵犯の数より、ロシア警備艇が日本の漁船の動きを威嚇するケースが多く、両国の指定海域内でのダ捕は見せしめとしてのカードです。


 もし、極東地域にモスクワを超えるような発展や、国際協調が進み過ぎると、モスクワ本家は嫌がりますし、旧ソ連からの独立国も、同じ路線を探るようになるでしょう。

モスクワはロシアの地理的中心で、安全保障上だけ有利ですが、経済圏や気候が特殊で、周辺国との交流が難しいため、都市機能が発展しにくいのです。


 では、何に打開の糸口を求めるかというと、ロシアが日本を弱腰と捉えている間に、中国で行ったような極東への技術移転を進め、日本がロシアから見て、近いと認識させることが必要です。日露平和条約はウクライナを見れば、役に立つ可能性は無いに等しいでしょう。実質的な極東協調が日本にとって必要であり、日本の経済制裁は極東を除くとしたら、モスクワはどう考えるでしょうか。


 ロシア系日本人の存在が、ダイバシティーを加速させ、安全で平和な極東地域となれは、必ず子供たちに受け継がれます。お隣が困っていれば助ける文化は、ロシアにもあるのです。だから、木を見て森を見ずの例えにあるように、ウクライナだけを見て、極東を見ていない日本の対露政策は早く見直さなければならないのです。


〜つづくを信じて〜


             論者 カズ ナガサワ

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ