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おかん転生 食堂から異世界の胃袋、鷲掴みます!  作者: 千魚
1 光の洞穴亭 in 原生林区
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「光の洞穴亭」のダジャレ王

「てことでブルーリーさん。ウチの食の安全性についてわかったかい?」


「フィーリ、雑! 最後が雑だよっ」


 キメゼリフでビシッと締めると、ルフが前足で机をタシタシ叩きながらそう笑った。


「ぁあ?」


 つられたようにミョルニーもあんちゃんも、メディーケご夫妻もフフッと笑う。

 眉間に皺寄せて首を捻ってるのは演説の聴衆たるブルーリーさんだけ。


 うん、みんなが笑顔なのはイイことだよ。ここは一つ、頑張っちゃおうかね。どうせなら全員笑わせたいもん。


「んなこと言ってないでさっさとボレ食べて…………ここ掘れ《ボレ》わんわん! ってね。あーはっはっはっ」


「…………」


「…………」


「…………」


「……ぷっ! フィーリ、最高ですよ」


「…………」


 ありゃ、反応いまいち?

 日本の昔話ネタは高度だったかねぇ? ま、そんなこともあるだろうよ。


「……んじゃ…………今日のオルニはなかなかイイ味してオルニ?」


「……………………フィーリ……サムい……」


「おぉ!? ルフ、大丈夫け!?」


 ……………………おや?


 アタシの渾身のダジャレに感動したのだろうか。ミョルニーの声に驚いて振り返れば、ルフが机に突っ伏してカタカタカタカタ震えていた。


「もしや拒絶反応か!?」


 死角から飛び出したブルーリーさんが慌てふためいてルフに駆け寄る。他はさておき、一人だけ顔面蒼白だ。

 まったく失礼しちゃうね。人狼には玉葱中毒だってないんだから。


「んなわけないだろ」


「…………ぃ…………キツいよフィーリ!!」


「ひ!?」


「っぃて!」


 心配して覗き込んだとたん飛び起きたルフに、ブルーリーさんが大きく仰け反る。紙一重で交わせ……なかったようで、ゴツン! と大きな音がした後、細身の学者さんが崩れ落ちた。

 ルフもおでこを抑えてか弱い鳴き声を上げている。


「あぁほら、大丈夫かい二人とも?」


 まったく。余計なことを気にするホブゴブリンと余計なことをする狼だ。


「ご飯中は騒ぐんじゃないよ」


「くぅぅ……フィーリがそれ言う……!?」


 ルフの呻きにあんちゃんがプッと吹き出し、ミョルニーとご夫妻が一緒に笑う。

 どこまでも明るく大きいミョルニーの笑い声が宿中に響き、アタシまでなんだか楽しくなった。ホントに今日もイイ晩だ。


「ほらほら。ルフもブルーリーさんも無事だったんだから、冷める前に食べちまいなよ」


「……念のため、わたしが診ますかな? 治療は各自、ということになりますが」


「だぁいじょぶだって。魔族ってのは頑丈にできてんだろ? メディーケの旦那さんの手を煩わせるほどじゃないよ、きっと。それに十角じっかくには鎮痛効果があるからね、たっぷり食べればすぐに良くなるさ」


「ウフフ、そうね。フィーリのご馳走は万能薬みたいなものだもの。ここにいる限り、アタクシ達の出番はないわ」


「不思議ですよねぇ。わたしもフィーリのご飯を食べて温泉に浸かるようになってから、絶好調なんですよ。乾季はいつも翼のひび割れがひどかったんですけどねぇ」


 万能薬は言いすぎだが、食材には本来持つ効能がある。魔力のある者が触れれば変質して弱まってしまうその効能も、人間が使えばそのまま薬膳料理として効能を増す。


 むしろアタシにとっちゃ、魔族の薬師さんの言うことのが難しいねぇ。自分の魔力との相性で調合がどうとか、効果がどうとか。よくそんな難しいことを考えられるよ。

 自然をそのままいただけばイイだけなのにさ。


 ほら、カレーを食べると疲れーないって言うじゃないか。なぁんてね。あっはっはっはっ!



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