14歳になりました
ここから三章になります
唐突ですみません
※追記
二章の最初の前書きにも加えましたが、ご指摘もいただきまして……わたしの力量不足です
ダラダラし過ぎたか!? 辿り着けない!!
と頭の中のあれこれを文に書かないまま慌てて章がえ……という現状があり(◎-◎;)
不足分は閑話等で補っていきたいと考えています
ちなみに、章はフィーリの居場所や立ち位置を表しているつもりです……
また、人間の国や疫病云々は後々関わってきます
人間と関わる前に足場固めがあれこれ必要になることもあり、唐突な印象になってしまいました
うまく匂わす練習、していきたいです<(_ _)>
トントンと軽いノックの音が響いた。
「会長、失礼致します」
遠慮なく開いたドアから顔を覗かせたのは、3年ほど前から経理担当兼秘書としてアタシについてくれている鬼人族の女性、アロだ。あんちゃんの重臣バラクさんの娘で、見た目年齢は二十歳。華奢な二本角の赤鬼さんで、ウェービーなロングヘアがよく似合う。
「その会長っての、止めとくれって言ったじゃないか。名前で呼んどくれ」
アタシはレシピを書き出す手を止めてアロを睨んだ。
数年前までペンを握るにも不便だった手が、今や余裕で一オクターブ押さえられるくらいまで大きくなった。ピアノを弾く技術も、ピアノ自体もないけどさ。
「それは現状無理ですわね。『ホラアナ亭グループ』の会長なのは事実ですし、立場上ワタクシは会長の部下ですもの。あぁそうですわ、もし会長が兼ねてからのワタクシのお願いを叶えてくだされば、立場的にもお名前でお呼びできるかもしれません」
「……だから、それはアタシが決められることじゃないって言ってんだろ?」
「なぜです? ドルゴーン大公のご寵愛を得て、ただの人間風情がこうして商会の会長となり、大公家婚約者まで成り上がったのですもの。ワタクシを第二夫人としてねじ込むことくらい簡単ではありませんか。ワタクシ、そのためにこうして面倒な子守を引き受けましたのに」
「あんた……口がイイのか悪いのかわかんないね……。とりあえず、あんちゃんのことはあんちゃんが決めるよ。バラクさんにも言われたろ? ごり押しすると逃げられるってさ」
「ですからこうして会長から籠絡しようとしているではありませんか。ドルゴーン大公には一切ご迷惑をおかけしておりません」
ツンと顎をそびやかすアロに、アタシは「ハァ」と息をついた。
有能なイイ子なんだけどね。あんちゃんのお嫁さんになりたいって願望が強すぎて面倒くさい。玉の輿願望……シンデレラ症候群ってやつかね? 同族主義の魔族には珍しい、もはや変人レベルの感覚だけど。
「で? 何の用だい?」
いつまでも熱心な売り込みを続けるアロの独り言をぶったぎり、アタシは作業の続きに戻る。脳と手は、前世の簡単レシピを思い出して書き出すことに集中し、耳の蓋だけ開けておいた。
息子らが小さかった時、どうしてもやっちゃわなきゃならない家事をしながら適当に相槌を打っていた時みたいだ。こっちの世界に来て14年。流石にアタシもこの体と暮らしに慣れた。
「まったく、会長は淑女としてなってませんわ。ワタクシが第二夫人になった時にこんな第一夫人では不甲斐なくて涙が出ます。鍛え直さなければなりませんね。
ところで先ほどから熱心に書かれているレシピの件で、コルノさんがお見えです」
ごった煮風の豚汁と卵黄の味噌漬け、スパニッシュオムレツ、野菜の浅漬けのレシピを書き、ケークサレのレシピに入った時、ようやくアロが有益なことを囗にした。……というか、先にソレ言っとくれ!
「行くよ!」
慌てて立ち上がったアタシはアロを引き連れ、バタバタと応接室に向かった。
成長の早い今世の体。既にアタシの享年の頃の身長まで伸びている。魔族に比べりゃ全然だが、以前に比べりゃ運動神経も段違い。走れ走れ!




