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おかん転生 食堂から異世界の胃袋、鷲掴みます!  作者: 千魚
2 光の洞穴亭 in 王都
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フィーリ、スラムがあると知る 後

「おまえは……なぜそのようなことが気になる?」


「え、だってさ」


 あれこれ気になるままに質問していくと、兄さんが胡乱げにアタシに質問を返して来た。


「んー……なんというか、アタシは自分のことばっかりで世間知らずだったなー、って。それにさ……」


 魔族は十把一絡げで魔族。もちろん魔力差や種族差があるのは知ってたけど、人間みたいな経済格差があると考えたことがなかった。というか、「人間は嫌い、魔族は好き」みたいな。異世界だし魔族だし、なんか……うまく言えないけど、「そーゆーモン」みたいな漠然とした発想の持ち合わせだけ。

 ハァ。アタシ、中身は大人のくせに、都合の悪いところだけ、子どもになりきっていたのかもしれないね。ちょっと考えてみればわかるのにさ。


 ど田舎であるはずの原生林区でも十分な生活ができていたから、アタシ、この国はみんな平和で、生活水準が高いんだと思い込んで疑わなかった。

 でも……言われずともわかるはずのことだ。いくら魔法があったってさ。万能、なんて有り得ない。


 前世のアタシは旦那と一緒に、発展途上国の子どもを支援するNPO団体に登録していた。ウチもそんなに余裕があったわけじゃないから、毎月5千円の寄付をするだけだったけど。それでも、里親サポーターとして登録されてた。

 あの時……アタシ達のサポート対象児とされてたウガンダの幼い少女は、学校に行けることを喜び、絵を描いて送ってくれて……10才になると同時に結婚が決まり支援対象から外れてしまった。なんともいえないショックと無力感を覚えている。

 その後新たなペアリング相手になったフィリピンの男の子は……覚えたばかりの単語を一生懸命手紙に書いて、「病気の母の分も頑張りたい」と教えてくれた。彼の年齢が上がり、サポートを卒業することになった時には、複雑な嬉しさが込み上げたものだ。

 バングラデシュの女の子は……あぁ、アタシ、最初の手紙の返事、書けないままに死んじゃったんだ。アタシ……そういえば、地域の子ども食堂にだって、もう少しウチのことが落ち着いたら、手伝いに行く予定だったのにな……ハァ。


 自分が日本でやっていた程度の支援なんて、地球規模でみれば些細なことだってわかってる。偽善だとか自己満足だとか言われるのも、わかる。

 里親サポーターだとか言いつつ、直接してあげられたことなんて、手紙に返事を書いたことだけ。毎月、たった五千円だけ。相手にしてみれば、手紙を書くのなんて嫌な義務だったのかもしれないし。アタシの力なんて、大したことない。


 でも、不可抗力の格差というものの存在を知ってしまったからには、ね。


「アタシ……自分だけが幸せなの、嫌なんだよ」


 それが、どこだろうが。


 微力でも何もしないよりはイイと思うから。他人を助けたいなんて大袈裟なものでも、他人を哀れむ傲慢でもない。

 生まれたからには誰だって、幸せを欲してる。幸せの形はいろいろだし、押し付ける気はないけど……自分が不幸だということにも気付けず、夢すら持てない子どもや、そうして育った大人がいることが、素直に悲しい。


 アタシは、アタシの心の安寧と幸せのためにも、誰かを幸せにしたいと思っている。


 ……この世界で、アタシにできることは何だろう。

 思い起こせば悔いが残る。志しや信念なんてほどのものじゃないけど、やっぱり、幸せのためにできることがあるなら、何かしたい。

 アタシは今日、この国の救民地の存在を知った。だから。自分のために。


 アタシにできること、探さなきゃ…………!


里親里子支援を行っている団体は実際に複数あります

里子との手紙のやりとりは禁止事項も多いです

可愛い便箋を選び、折り紙を貼り、相手の子に喜んでもらえるよう工夫したことを思い出します


子ども食堂は近年話題になり、地方にも増ました

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