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おかん転生 食堂から異世界の胃袋、鷲掴みます!  作者: 千魚
1 光の洞穴亭 in 原生林区
14/136

看板娘の満腹料理

 ポトフの火を弱め、味を整えた。

 ポトフとグラタン。アタシなんかはこれだけで間違いなくお腹いっぱい。でも、森の中を駆けずり回ったお客達には足りないだろう。


 そんな時はバーベキュー! 別にみんなで焼くわけじゃないから、言い換えればただの串焼き。肉に野菜、あれば魚介も。


 4人の万年食べ盛りの息子達と旦那に義弟、長男の嫁に孫と義父母。11人家族を支えてきたアタシの、いざと言う時の強い味方は……焼き肉のタレ様だった。

 新婚当初、旦那からインフルエンザを貰って死にそうだった時にも肉とモヤシを適当に炒め、焼き肉丼にして事なきを得た思い出は、今でもとっても感慨深い。


 ヤローがタレだくで幸せそうにご飯かっこんでいくのを見て……神だと思ったね、ホント。焼き肉のタレ様、信仰してマス。


 あいにくこの世界には、アタシの敬愛するタレ様は存在しない。魔族にも串焼き文化はあるらしいけど、味付けはシンプルなものがほとんどで、ミョルニーが作るものは塩味だけだ。

 まぁそれも確かに美味しいけどさ、せっかくなら……ご降臨いただけばイイのでありマスっ!

 ……おぉ……中二病ってやつをこじらせ続けてる次男の口調がうつっちまった。


 アタシ特製の焼き肉ダレは、ヤンヤの実とジンジの根をすり下ろし、甘めの果実酒少々を煮立てて味噌の上澄みと混ぜて作る。個人的にはピリ辛のタレが好きだけど、ここでは辛みの扱いは難しい。単純な味付けのものに慣れてるから、みんな、辛いのと苦いのに弱いんだよね……。野生動物かっての。

 まぁ、お客さんから調理法が広まって、世間様の舌が肥えたら大人の味も考えよう。


 ちなみに簡易版タレ様は、粗熱あらねつをとってから、小粒のウキの実と、ウキの実から絞った油を加えて攪拌し、3日おけば出来上がり、だ。当日でも使えなくはないが、まろやかさがねぇ……ダンチなんだよ。

 ガツンと濃厚でほんのりと甘酸っぱいタレ様は、ウキのおかげで匂いもイイ。前もってぶつ切りにしたオルニを漬けておけば、ジンジとヤンヤの力でほろほろ柔らかい肉になる。


 もちろん、焼き肉のタレ様は常備菜。今日みたいな日に大助かりだ。

 今から漬ければ夕飯の頃にはオルニに味が染みて茶色くなるから、そしたら金串に刺して網で焼く。途中でタレを塗り足せば、香りまで美味しい「おかんの焼き鳥フィーリバージョン」の完成だ。

 あ、ついでに残り物の野菜も片っ端から串に刺して焼くとするか。野菜串は焼きあがってからハケでタレを軽く一塗り。これで野菜嫌い対策にもなるから、やっぱりタレ様は万能神だ。


 ありがとう、タレ様! 八百万の神のいる日本に生まれて良かったよ!


 盛り付けは、皿にジンジの葉を敷き詰めて。多めの焼き鳥と野菜串をオシャレっぽく並べればできあがり。

 これで肉体派・肉食魔族も喜ぶだろう。


 パンも十角ジャムも、暇な時に作り溜めたボアレバーのパテも、保存魔法を施した貯蔵庫に備蓄してある。もちろん酒とミルク、果汁ジュースも。


 あんちゃん、すてきな貯蔵庫を作ってくれてありがとうね! 持つべきものは貴重な魔法を使える常連さんだよ! 時空魔法って……何だソリャ!

 ハァ。おっきくなったらアタシ、あんちゃんのお嫁さんになってあげてもいいかもよ? ま、ミョルニーとルフが先に結婚してたらの話だけどね。……頑張んなよ、ルシオラさん。……てか、ルフに可愛い彼女ができる日とか、来るのかねぇ?


次はおつまみ作ります。

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