表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/16

第一章〜第一部始〜

「俺がさ、英雄になったらお前どうする?」

「お前がなれるわけ無いじゃん。なるのは僕だもん」


こんな会話をゼンとしていた。今思うと笑える。英雄になれる人なんてそういない。僕もそれじゃない。それを時が経つにつれ、分かってしまった。


子どもの頃は自分には英雄の才能があるって事を信じて疑わなかった。ゼンもそうだった。僕らは、違う仲間を持ってそれぞれの道を行き、最後の最後の決戦で戦うと決めていた。それまでは、お互いの事を人を伝って知るだけ。なんて二人で考えていた。


あの頃から6年時を経た。ゼンは村を出て、英雄の道を進んだ。14歳の時だった。僕は村に残った。今は父さんの後を次ぐつもりだ。


平凡な毎日を送って、もっと歳をとったらセンナと結婚して、子どもが出来て、子どもが僕の仕事を次ぐ頃になったら、仕事も辞めてのんびり暮らす。


僕は16歳だ。この年頃じゃ、村にとっては貴重な労働力で村の仕事のほとんどには僕が関与している。その中の1つの仕事場で出会ったのがセンナだった。


センナは僕の好みの女の子だった。活発で、男勝りで。それに同い年だった。


僕とセンナは互いを好きになった。今付き合っている。


この村には1つの家に1つずつ剣がある。それはこの村の掟だ。いやこの村だけじゃないのかもしれない。僕はこの村から出たことがない。そりゃあ、狩りに行ったりして少しは出たことはあるけど。それぐらいは村のみんななら誰だってある。


村の外の世界を見るためには村を出なければ行けない。ゼンのように。


そう言えばゼンは今頃何をしているのだろうか。あいつのことだから共鳴する剣を見つけて戦いに明け暮れているんだろうな。


「ミナト、ちょっと鹿でも狩ってきてくれねぇか?」

「分かったよ。父さん」


そう、僕の名前はミナト。子どもの頃は女みたいな名前だってゼンに良くからかわれた。


僕は家の剣を取って、森に行った。


僕は村でじゃ一番足が速い。あのゼンよりも速かった。ちょっとした足の力加減でどんな速さにも調節できた。だからもちろん鹿にだって追いつくことだって出来る。


雄の鹿がいた。今は単独行動をしている。チャンスだ。


僕はそうっと近寄って一気に捕まえた。鹿の足を全部剣で斬り、首元を思いっきり握る。こうすると逃げられない上に窒息してあまり傷ついていない状態で捕まえられる。僕が考えた。


僕よりも大きい影が出てきた。僕が不思議に思って、振り返るとドラゴンがいた。


赤いドラゴン。レッドドラゴだ。


ドラゴンには階級がある。順番にブルードラゴ、イエロードラゴ、レッドドラゴ、シルバードラゴ、ゴールドドラゴ。後になるにつれて階級は上がっていく。つまり強くなっていく。


その五階級の中の3階のドラゴンが今、僕の前にいる。僕が教わったドラゴンの対処法はこうだ。


逃げろ。他のことは考えるな。


僕は教訓に従った。全神経を足に集中させ、逃げた。


「おいおい、せっかく里帰りしてそのお出迎えはねぇだろ?」


その声は逃げることに集中していた僕の耳にしっかりと届いていた。


「久しぶりだな、ミナト」

「いつ帰ったんだよ」


僕は笑っていった。


「ゼン」

口コミお願いしマッスル

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ