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プロローグ
白い、透き通るような白い髪の毛に憧れていた。
白い髪は魔力を多く含むとされている。
魔力が多かったら髪の色が抜けていき白くなる。
色が強さの証明となる。
僕の髪の色は黒。とてもとても暗い。夜の闇よりも暗い黒色だ。
僕には、魔力がない。まったくない。数値で表すと0だ。
この世界では、最弱を意味していた。
だから、悔しい。今まで生きてきた中で一番悔しい。
僕の住んでいる村が真っ赤に燃やされていることが。
村の人が真っ赤な血に倒れていることが。
僕の両親が、兄弟が、殺されてしまっていることが。
何よりも悔しい。僕に力があれば救えたのに。
この村で生き残っているのは僕一人だけだ。
最後に抵抗しよう。最後に意地を見せよう。
僕が持つ固有スキルは戦いで役に立つものではない。
だけど、次は必ず強くなる。この思いを忘れないように。
さあ、行こう。次の人生へ。
最後に見たものは剣を振り下ろす姿の真っ白な騎士だった。