酒豪のネビル
m(__)m
いつもよりだいぶ長くなってしまいました。
明日は忙しくて投稿出来ないかもです。
おれの名はネビル、
先日、S級冒険者になったばかりだ。
今は酒豪なんて呼ばれてるが、昔はここまで成り上がるのに、努力だけで頑張ってきた。
♤ ♡ ♧ ♢
おれは、名前もない小さな村に、四男として産まれた。
おれの家は、歴史が長く、古いしきたりに縛られてばかりだった。おれは、そんな家が大嫌いだった。
小さい頃からメイスを使うのが得意だったので、冒険者になって稼いでやる!!と、意気込んで村を飛び出していった。
そしてたどり着いたのが、この国、バティスチア王国だ。
初めて、冒険者ギルドに行ったとき、ガタイのいい人ばかりで、とても驚いていたのをよく憶えている。
だが、冒険者の生活は、村の生活よりも数倍大変で、何度も辞めようと思っていた。
そんな時だった、
今回の対戦相手、ルーナに出会ったのは…。
その日、おれは魔物討伐の依頼を受けていた。
いつもどおり、倒した後に出てきた魔石を集め、ギルドに達成報告をして来ようと思っていたやさきだった。
悲鳴が聞こえてきた。
おれは、何かあったのだろうかと思い、急いで声の聞こえる方へ行った。
そこには、一人の女の子と、A級指定の魔物、ワイバーンがいた。
ワイバーンは、主に、ダンジョンの奥や、山の頂上周辺にいることが多い。ここのような、ランクの低い森にいるのは、奇跡と言っていいほど、珍しいことだった。
おれは、助けなければならないと思い、ワイバーンの弱点、頭をめがけて愛用のメイスを、渾身の力を込めて振り落とした。
最終的に一撃で倒すことができ、女の子も助かった。
おれは、その時まだB級冒険者だったが、この出来事がきっかけで、A級冒険者にあがることが出来た。
この女の子は、助けたあの日から、会う度にお礼を言ってくれる。
…が、しかし、この女の子がルーナという訳ではない。
♤ ♡ ♧ ♢
おれは、女の子を助けた後、ワイバーンが出たことの報告を兼ねて、ギルドへ行った。
ギルドの受付で、ある女の子が涙を流しながら何かを訴えていた。
「私の友達が、森に行ったっきり帰って来ないんです!」
「何か知りませんか?」
「少しの事でいいんです!」
それを見た女の子が、
「あ、あれは私の友達です!」
「無事だよって伝えてきます!」
そう言って、さっきの女の子の所まで走っていった。
「えっ、リン?リンなの?」
「今まで何処にいたの?探したんだよ」
と、安心したような笑顔を浮かべて言った。
「ごめんねルーナちゃん」
「実は、森でワイバーンに襲われちゃって…」
「だ、大丈夫だったの?」
「うん!全然大丈夫」
「この人が、一撃で倒してくれたんだ!」
「そんなの?ありがとうございました。えっと…」
「ああ、おれの名前はネビルだ」
「分かりました。本当にありがとうございました、ネビルさん」
そう言われて、おれは少し照れくさくなった。
「そういえばリン、」
「本当に無傷だったんだね?」
「ホント、ホント!」
「そっかぁ、良かったぁ」
「私もネビルさんみたいに強くなって、リンを守れるようにならないと」
「えっ、ルーナちゃんが私を守ってくれるの?ありがとう」
「そんなぁ、だって友達だもん」
そんなこんなで、二人と別れた時、一瞬ルーナに睨まれた気がしたが、気のせいだろう。
その時はそう思っていたが、実際は違った。
実のところ、ルーナは無類のリン好きだった訳だ。
まぁ、そこからどんどん関係が荒れていったのだが…。
でも、ルーナ達と会話をしているのはとても楽しかった。
このような日常がなくなるのが怖かった。
それが、おれの冒険者を辞めなかった理由だ。
そして、今、目の前にルーナがいる。
正直、この試合で負けたら、引退しようかと思っている。
いい頃合いだと思うからだ。
そう考え、正面を向いた時、
ちょうど、試合開始のテープが切って落とされた…。
♤ ♡ ♧ ♢
試合開始そうそう、早速場内に、無数の竜巻が発生し、ネビルを襲った。
おそらく、ルーナが風の中級魔法を使ったのだろう。
ネビルはそれを、大きな体躯で軽々と避け、ルーナに中級土魔法の火山弾を仕掛けた。
たくさんの尖った拳サイズの石が、ルーナを襲った。ルーナはそれを回避する為、風魔法で追い払った。
が、しかし、数個を受けてしまったようだ。
「やっぱり手加減はしてくれないんですね」
荒い呼吸をしながらルーナが言った。
それにネビルが応える。
「そりゃあ、こういう性分なんでね」
…その会話の後、すぐさま戦闘が再開された。
ネビルが、思いっきりメイスを地面に振り落としたのだ。
あっという間に、場内全体の足場が悪くなってしまった。それほどの威力があったのだ。
だがルーナはお構いなしに、両手にナイフを持ち、ネビルを攻撃する。
ネビルはそれをメイスで受け止める。
そんな攻防戦が、長いこと続いていた時、突如、ネビルの行動によって幕が落とされた。
「これじゃあ埒があかねぇ、」
「自分の最大の技をぶつけ合って、立っていたほうが勝ちにしねぇか」
ルーナもそう思っていたのか、すぐに、承諾した。
「分かりました」
そう言って、二人は場内の端と端に移動した。
「「じゃあ、いくぞ(ます)!」」
そう、観客全てに声が響いた瞬間、
白い光に場内全体が包まれた…。
全員、何がおこったのか理解できていなかったが、
最後に立っていたのは、ネビルだった。
世界が割れるかと思うほどの歓声が、響きわたった。
♤ ♡ ♧ ♢
ルーナは、最後の一撃、自分の最大限の魔力を込めて、今自分が撃てる最大の魔法、上級風魔法、疾風の演舞を放った。
一方ネビルは、同じく、上級土魔法、地精の巨人を使った。
あの時、凄まじい妖精の突風と、巨人の拳がぶつかりあったのだ。
が、しかし、このことは当人達しか知らない…。
♤ ♡ ♧ ♢
この試合を見て、とても圧倒された。
これでS級なら、SS級の冒険者はどれほど強いのだろう。僕も強くなれるだろうか。
来年の、三才の誕生日に神殿に行くのがとっても楽しみだ。そこで、自分の適性属性がわかるらしい。
いったいこの大会、誰が優勝するんだろう…。