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孤高の魔法使い  作者: くりーむパン★
フィスタリア
16/30

冒険者って意外と大変

 


 大会がやっと始まった。




 どんな試合が行われるのか、とても楽しみだ…。









 ···この服じゃなければもっとな!















「さあさあさあ!記念すべき、フィスタリア第一回戦がまもなく始まります!!!」






 元気良く、大きな司会の声が聞こえてきた。どうやら観客全ての人達に聞こえているらしい。何か魔法を使っているのだろうか…。






「司会進行役はこの私!」







「ターニャ・ニーニャです!!!」




 わっと歓声があがった。

 多分有名な人なのだろう。


 しかしとても驚いたが、ネコ耳が生えているのだ。

 後で聞くと、父上曰く、幻惑魔法の一種らしい。

 本当に生えている人もいるようだが…。






「本日、来ていただいているのは」






「国王の、ビルグランド・バティスチア様と、」






「今日初のお披露目になる、その息子の」








「ユウ・バティスチア様です」





「めっちゃ可愛いですけど男の子です!」



 などなど、笑顔で僕のことを解説している。

 正直、恥ずかしいから早く終わらせてほしい…。









「えー、世間話はここまでにして」





「第一回戦目の出場者は、」





「A級冒険者の、騎士、エジットと、」





「同じくA級冒険者、魔法使いのラーンです!」





 観客達が、ざわめいている。

 どうやらラーンは、凄腕の火の魔法使いとして、多くの人に知られているらしい。

 ちなみに、二つ名が、豪炎の魔法使いだそうだ。

 いかにも厨二病染みた二つ名だが、この世界では、マシな方に入るらしい。いったいどれほど酷い二つ名があるのだろうか。少し、気になってしまった。




 僕は、この試合で、魔法を見ることが出来るのかもしれないと思い、とても興奮している。




 同時に、見逃してはならないと思い、僕は目線を二人に合わせた。





「では、フィスタリア第一回戦、」





「開始!!」




 その声が聞こえた瞬間、試合は始まった…。





 ♤  ♡  ♧  ♢





 試合開始前、騎士のエジットは、目の前の者がただ者でないことを、長年の経験から感じ取っていた。

 もちろん、豪炎の魔法使いとして有名なのも知っていた。


 そして、間違いなくこの試合はきつくなるだろうと、同時に思っていた。





 だが、その予想はあっさりと覆された…。







 騎士エジットは、先手必勝と思い、開始直後に、身体強化を重ねがけした攻撃を仕掛けた。





 が、しかし、突然出てきた炎のバリアに、あっさり防がれてしまう。



 それをエジットが理解した時には、もう手遅れだった。

 自分の攻撃は、はじめから相手に読まれていたのだ。

 もっと慎重に行動すべきだったのだ。


 その瞬間に、上級火魔法、火炎の地獄(イフリート)で、倒されてしまっていた。


 その間、たったの五秒。





 騎士エジットが倒された時、

 ほんの一瞬だけ何も聞こえないくらいに静かになり、

 その後、盛大に歓声が湧き上がった。

 今度は違う意味で何も聞こえなくなっていた。







 僕が、あまりの試合の速さにただ呆然としていると、


 ずっと隣に立っていたバルが、話しかけてきた。






「冒険者は、職業柄、一瞬のはかり間違いが、命取りになる」




「今回、騎士エジットが負けたのは、相手の実力に対しての、自分の戦法を間違えてしまったからだ」




「ようは、ただ強いだけじゃ勝てないってことだな」




「意外と冒険者は大変なんだぜ、ユウ」




 その言葉を聞いて、僕は、心の底から納得した。


 冒険者には生半可な気持ちではなれないのだろう。

 命懸けの職業なのだから…。


 僕は、心の隅にそのことを置いて、

 次の試合を観戦することにした。





 ♤  ♡  ♧  ♢





「続いて、ニ回戦目の出場者は、」






「あの、疾風の冒険者として有名な、」



「A級冒険者、ルーナと、」





「つい先日、S級冒険者になった」





「酒豪のネビルだ!!!!」






 すると、競技場に

 プラチナブロンドの美しい髪をした女性と、



 ひげをモシャモシャと生やした、四十代半ばの、少し太ったおじさんが出てきた。





 二人とも、少しばかり空気がギスギスしている気がする。








 バルによると、この二人は性格が真反対で、いつも対立しているらしい。




 ···が、今まで戦ってきて、決着がついたことは無いらしい。




 今回の戦いで、初めて決着がつくのだろうか、と


 みんなが気になっているらしいが…。




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