禍津神
皆が脱出した廃屋の中俺は刀2本を構えた殺戮紳士と対峙していた。一瞬の判断が命取りになるであろう、俺はまず相手に先制攻撃を掛けることにした。
「明王法孔雀玻璃浄化珠」
俺は無数の小さな玻璃を放った、狙いは違わず怪異に直撃!するかと思われたが奴は二刀流でその全てを弾き飛ばした!
「うおお!マジでか!そんなんありかよ!」
叫びながら焦る俺。
その隙を見逃さずに奴は10m程の距離を2.3歩で一気に間合いを詰め、脇差で俺の眉間に向けて突きを繰り出した!
俺はそれを右にスウェーする形で避けながら左ジャブを放つ!
見事に顔面にヒットし体勢が微妙にづれる。
俺は間髪を入れずに、右のショートアッパーを顎に叩き込んでやった!
奴の体制が崩れ隙が生まれた!
今しかない!!
俺はポケットに残ったすべての玻璃をぶちまける様に放った。
「大判振る舞いだ、全弾持っていけやぁ!!」
浄化効果を持つ玻璃が無数に奴に襲い掛かった。流石にこれは決まったか?
魍魎が浄化す時の煙が晴れていく。だが普通に奴はたっていた・・・。怒り狂ったように刀を振り回しながら走ってくる。
「うっひぃ!」
訳の分からない恥ずかしい悲鳴を上げながら俺は刀をかわしながら少しずつ窓に近づいていく。
これはまずい、今のでまた武器が切れた残されているのは、さっき山岸が投げてよこした10$金貨。 これは駄目だ!まだ力が溜まってない上に20万円もする高価なものだ死んでも使ってたまる物か! 後は翠玉の首輪だがこれは疲れを取ったり傷を癒すものだ、戦闘では使えない。
そもそも俺は戦闘などする事を前提にはしていないのだ。
漫画みたいに破!とかいって倒せたりしない。
あくまでそういう効果のある道具を使ってるだけなのだ!必殺技っぽく言ってる方がカッコいいかなって、いい年して思ってるだけだし。
そんなくだらない事を考えながら窓の近くにたどり着いた。
「俺は只!突き進むのみ!!」
下らない事を言いながらガラスを突き破って外に飛び出しひた走る。
「如来法薬師翠玉治癒術」
「如来法弥勒珊瑚増強術」
俺は珊瑚を粉末にした増強剤を飲み全力疾走する、今の俺に疲れは無い!ガラスで切れた傷も翠玉が徐々に癒していく。
「ふ、見たか!人間は弱い弱いからこそ道具と知恵を使いこなす人の叡智をなめるなよ!」
勝ち誇りながら脱兎のごとく逃げ出す俺。
自分でもどうかと思うがこれなら逃げ切れるだろうと油断していたら後ろから何かが飛んできた! 反射的に顔を反らして避けたが頬から血が流れる、正面の壁に突き刺さった脇差を見て顔から血の気が引いていく。
全力で走る俺だが奴はゆっくりと追いついて来る、動きがおかしい緩慢なのに早い!これは怖い!どうなってんだぁ!
「ひぃ!はぃぃ!」
声にならない悲鳴を上げながら全速力で曲がり角を曲がる。目の前にゴミ箱が、ゴミ箱?この世界にそんなのあったか?激しく転倒しゴミがまき散らかる!その時空が落ちてきた。
そう、冒頭に繋がったのだ。空が落ちてきたように見えたのは突然現世に繋がった為である。
最後に刀を投げたようだが俺には届かなかったようだ。
目の前というか上から覗き込むように玉咲姫こと、ちい様が俺を覗き込んでいる。うむ、このアングルは悪くないな。しかし、どうなったのだ?
「うむ、間に合ったようじゃな、まぁ。先のことは知ってるからしくじる事はないがのぅ。」
「贅沢言えばもうちょい早い方がよかったよ。」
「まぁ、良いではないか戻って作戦会議じゃな」
「作戦ってなんの?」
「奴を倒すためのじゃな」
「なんで?逃げ帰ったんだからほっときゃいいじゃない?」
「来てるからの、こっちに。それともお主は自分が逃げる為に引き寄せた魔王をほっとくのか?」
「まじでかぁ・・・。って、魔王?あれが?」
「殺したものの魍魎を随分ためこんでるからの。ほっとくと現世は幽霊だけじゃな。」
「はぁ、また命がけか・・・。」
「あははは、魔王は殲滅じゃぁ!」
まぁ、こいつにも事情があるのだろうが、なんだろう?あのテンション・・・。俺は頭を抱えながら事務所に戻る事にした。
いつからだったか、我が記憶を失ったのは。
思い出せる一番古い記憶は火事場だったか・・・そういえばここはその火事場とどこか似ている気がする、ただの路地裏だというのに。
燃盛る炎に中、我は既に一振りの刀だった。焼けてしまってはたまらなかったので通りすがりのガキに拾わせた事は覚えている。
そのガキは貧しい農村出身の子供だった。
食い詰め戦に出る事になるところを、囲まれ討たれそうになったので我が手を貸してやったな。
その後は剣豪とか呼ばれておったな。
くく、懐かしいのぅ。
その後の使い手は短気な馬鹿じゃった、我で切腹をしようとしておったな・・・ここからが多少霞が掛かっておるわ。
一度メリケンに運ばれエゲレスで誰かに使われておったな。
何度も何度も無意味な殺戮をした。我は止めたかったが止めようもなかった。
奴は脇差に乗り移り遂には死んだはずなのに彷徨い始めおった。
なんとかせねば。エゲレスはよい、わが国わが民は守られば、見つけるのだ新たな使い手を。
俺は事務所に戻るなり家捜しを始めた、とにかく。戦う為の武器が必要である、まずは引き出しに隠しておいた手のひらだいの水晶を手に取る。後はクラスター水晶といわれる細かい水晶片を一袋持つ。今はこんなのもで精一杯だろう。後は渡部に相談するか。俺はそう決めると階下の渡部の古本屋に降りていった。
「やぁ、随分とやられたもんだねぇ。」
渡部は俺を見るなりニヤついた顔で話しかけてきた。楽しそうで何よりなこってすたね。まぁ、本題に入ってしまおう。
「お前らが戻る前に出だあれ、こっちに来たわ。」
「ふむ、そうか・・・。」
渡部はおもむろにカウンターを押した。すると、下に降りる階段が出てきたのだった。おっと、こんなもんがあったとはな。銃火器でもしまいこんでるのか?
「こいつを使う日がついにきたねぇ。」
「こ、これは道教の道具か?なんでこんなもんが?」
「実はこんな事もあろうかと用意してたんですよね。」
「系統が違うよ!桃木の剣で倒せるのはキョンシーだからね!」
「幽霊だっていけるでしょ!」
「刀と当たったら切れるわ!」
その時扉が開いた。その人物が今回の鍵になるのだがそれは次回の話である。
第5章 禍津神 次回 侵食




