嘘みたいなワールド
この世界では、魔力や魔法ってのが存在する。
子どもは小さな時に魔力測定を行う。
私のこれは、人に言わせると奇跡の類いなんだそうだ。
この世界の考えは、魔法とは精霊や大地、自然から力を、借りて使役する力。
だから魔法が使えるのは、妖精や精霊やらに認められた存在のみ。
そして、魔力は誰しも大なり小なり持っていて。
それを測定する制度がある。
魔力は日常で必要なものだから、その制度は皆が喜んで受けている。
魔力の大小で仕事も決まる。
魔法は誰しもが使えるものじゃない。代わりに、魔法を込めた魔石を人は作りだし。
魔力でもってその魔石を使って色々なことをする、と言うのがこの世界だ。
だから、魔力は必要不可欠。
魔法使いは自然とすごい高位な存在になった。
小さいうちって、妖精や精霊に認められるなんて、そんなのチートくらいだから、皆魔法が使えるわけないの。普通は。
魔力を普通に測って終わる。
でも、私は違ってた。
魔力測定で明るみに出た、私の癒しの力。
検査官たち、驚いてたの覚えてる。
それは、何かから借りた力じゃないんだと。
むしろ、借りたと言うならば、その相手は神だって。
え、なにそれ、やっぱチートなの?
転生にありがちなチート能力かよ、と一人ごちたのは最近のこと。
前世を思い出してから、誇りのような自慢のようなこの力が、何だか厄介なものにしか見えなくなって。
できるなら、目立たないように暮らしたいと思った。
小さいうちはコントロールもまだまだで、少しの傷の治癒で精一杯。
国の方もそれほど重要視しなかった。
そういう奇跡を起こす存在もいないわけではなかったから。
数年に一度、測定が行われる。
力に、魔力に、変化はないかと。
それが今度の私の20歳の誕生日に、3回目の測定が行われる。
五歳で初めて測定をし、十歳で二度目を。その後、大体の劇的変化はその頃で途絶えるからと、二十歳までなにもなく。
しかし、私は思い出した記憶に、嫌な予感がした。
この身体に、嫌にみなぎる力の気配。
その日に絶対失敗できない。
今までは、認められよう褒められようと、精一杯を出してきたけれど。
それじゃあこの先の安寧はない気がする。
だから、私は、思い出したせいか精神的に成長したことでコントロールできているこの力を、誕生日に絶対さらけ出さないと決めた。
すべては、平凡な将来のため。
嘘みたいなワールド
あなたにさずけたその奇跡
きっと、あなたのちからになるでしょう。
うけいれなさい、愛しい子
いとしいいとしいムーランティ