シシ・うううう
ある外国人が日本の文化に夢中になって、とうとう日本にやってきた。
彼はとにかく日本の浴衣が大好きで、わざわざ花火大会の日に合わせて来日してきた。
アニメで見た金魚すくいを見つけ、早速ポイを受け取ってチャレンジしてみる。
その間、日本語をどうしても使いたくなり、自前のメモ帳を見ながら屋台のお兄ちゃんに話しかけてみた。
「ニギヤカですね」
「お、兄ちゃん日本語上手いね。まぁ、ここは全国から毎年いろんな人が来るからね」
「oh...シシ・ううううですね!」
ドヤ顔は決まったが、屋台のお兄ちゃんは口を開けてポカンとしている。
「しし? う? すまん、ちょっと聞き取れねぇや」
聞き取ってくれなかったことにショックを受けつつ、もう一度メモ帳を見て確認する。
「シシ・うううう。シ・シ・う・う・う・う」
それでも屋台のお兄ちゃんはどうも理解してくれない様子。
何度か試してみたが通じなかったので、今度は書いて書いて見せてみることに。
『シシ・うううう』
屋台のお兄ちゃんは何がなんだかさっぱり。しかたがないので最終手段。メモ帳をそのまま見せてみる。すると屋台のお兄ちゃんは大きな口を開けて笑い出した。
「なるほど、津々浦々(ツツ・ウラウラ)ね」
「oh...ツツ・ウラウラ。やっぱり日本語難しいです」
がっくり来たその瞬間、持っていたポイが水に浸かってしまい、チャレンジ失敗。
もう一度チャレンジしようとポイを買ったその瞬間。
お釣りを受け取ったつもりだったが、大きな手からこぼれて、銭が下にじゃらじゃら落ちていった。
「oh...カネに注意しないと!」
「いやいやいや、兄ちゃんは、カナに注意した方がいいよ」




