息抜き
今この部屋の中では書類に目を通しながら判子を押している。
部屋がノックされ、入るよう促すと入って一礼し、ティーセットが置いてあるワゴンを押してきて紅茶を入れてくれる。
休憩しろとの無言の合図に判子を置きテーブルがすっきりしている方の椅子に座り紅茶をいただく。
「落ち着きましたか、お嬢様」
「うん?何のことだ」
メイドの気遣いの言葉に私は首をかしげる。いつも通りの事務的仕事をしているのに何を落ち着く必要があるのか。
「そんなお嬢様恥ずかしがらなくてもわかってますよ。あんな年若い少年にあんなに熱ぽく見られて興奮が抑えれなかったんじゃないんですか」
中々付き合いの長いメイドが体をくねくねしながらバカなことを言っている。
「サーシャバカなことを言うな相手は子供だぞそんなことで一々ときめきなんかせん」
「そうですか、あぁいうタイプは完全に自分の容姿を完全に武器にして年上の女性を落としてきてる手練れですよ。むしろあれは年上向きの玩具と考えた方がよろしいかと。完全に母性をくすぐられると思いますから」
「確かに母性はくすぐられるがそれでも男とは見れん」
「もう母性はくすぐられてたんですね。でもあそこまで強いんですよ。確かに異世界から召喚された勇者という位置づけですがそれが来てすぐあれほど強いとなるとすぐにお嬢様を抜いていくんじゃないですか。そうなってしまえば女性はあの方に群がってしまわれますよ」
「それがなんだって言うんだ」
「いいですか強い男に惚れるのは女の本能です!それが見た目が幼くてかわいかろうが顔が気持ち悪かろうが種が欲しくなってしまうのが女でしょうが!」
長い付き合いでここまで熱く語っているのを初めてみてちょっと引いてしまう。
「なんかおじさんみたいな発言だな。もっと若いんだから女としての考え方をしてくれ」
「そんなこと言っても婚期何てとっくに過ぎてるんです」
「そういうなそれとも惚れたのか」
私の一言で顔を赤くしているメイドは口早に言う。
「違うんです違うんです惚れたとかじゃなくて何か見てると抱きしめてみたくなるっていうか食べ物を与えたくなるっていうかなんかそいう感じです」
いやもうそれはペットだなと思いながら問うてみる。
「何だ惚れているなら私に遠慮せずにアタックすればいいじゃないか」
「そうもいきません。主人より先に結婚するなど」
「いやそんなこと気にするな」
「気にします。主人が幸せではないのに私が先に幸せになるなんて。それを憐れみながら私が給しする生活。しかも私がイチャイチャしているのを羨ましそうにするお嬢様」
「おい、待て!何でここで一緒に生活してるんだよ」
「当たり前じゃないですか。家賃は当分大丈夫なはずですよ」
「いや私の家は別に貸家じゃないんだが」
「そういえば龍を狩って来たことにもすごいと思わざるを得ません」
「そんなの私だって帰りにちょちょっと倒せる」
「それは知ってます。でも無名の少年が勝ったってところに価値があるんですよ」
「価値ねぇ。まあ私に勝てるようになったらさすがに私も惚れてしまうかな」
そんな談笑をしながら紅茶を飲んで息抜きをする。
今何故か僕のベットで寝る準備を完了しているベットを見る。
前回も思ったが何で僕の部屋で寝るんだろまあ別に構わないとは思っておりますが。
「明日は学校ですね。お友達ができるか楽しみです」
リルさんの村には同年代の子がいなかったので楽しみなようだ。いつもは大人ぽいのが無邪気に振舞うのですごくかわいい。
「離れた」
僕の服を掴みながらちょっと恨めしそうに言うのは雫である。
「まあ学科が違うからね。何かあったら言ってね」
それにこくっと頷いている。あっちでは守ってあげれなかったからこっちでは守ってあげたいものである。
「ボクもユウタ様と一緒になれなくて残念です」
「まあクラスは仕方ないんじゃないかな」
「はい、自分には力がないんだと痛感させられました」
クラスはA、B、C、D、Eクラスがあって戦闘科は強さ順に分けられるらしい。ちなみに僕がAでシーフDである。
その後も話し込んで明日に備えてみんな寝たのであった。




