村長
「とうちゃ~く」
エミナルはそう言いながら荷台から降りる。
「エミナルあまりはしゃがないでね」
僕は軽く注意し降りる。
荷台から出れた開放感から伸びをしあたりを見るとやはりかなり田舎という印象だ。やっぱり王都とは違うんだなあるのは家が並んでるだけで特に何もないように思える。
「ご主人様お疲れですか」
「いいや、エレンこそ疲れてない結局ここまで馬を引いてくれたわけだし」
「いえ私の方は大丈夫です」
そんな会話をしながらミレスの方に顔を向ける。
「それでこれからどうするの」
「ああ、依頼主のここの村長さんに会いに行って確認してくるよ」
「じゃあ僕も行っていいかな」
「ああ、別に構わないよ」
僕はミレスと一緒に村長とあってエレン達には宿とご飯を先に食べてもらうことにして僕らは別々に行動を開始した。
僕は今ミレスと一緒に村長さんの家に来ていた。周りの家とそうかわりはないが周りに比べてちょっと大きい家である。
ミレスがノックをしてキーという音を立てながら扉が開く。出て来たのは六十ぐらいのおじいちゃんである。
「すいませんが依頼を受けに来たものですが」
「おー依頼を受けてくださるのですか。詳しい話をしたいのでどうぞ中に入ってください」
そう言われてミレスが入っていくのでそれに続く。
「おいリルお茶を出してくれ」
そう言って奥の方から声が聞こえてくる。出て来たのは綺麗な女性である服装さえよければ完璧だと思う。
「どうぞ」
そう言ってお茶を僕らの前に置く。
「その方が娘さんですか」
僕は真っ先に気になったことを聞いた。本当は黙って会話を聞くつもりだったんだけどこんなにきれいな人が出てきたら聞いちゃうよね。
「ああ娘だ」
よし、まずは奥さんっていう事はなかったが答える時何だか暗い感じがした。
「やはり何かとてつもない理由があるんですよね。娘をだすぐらいですから」
ミレスそれを聞くか~それを聞くとこれからもらうのが揺らいじゃうかもしれないのに。
「・・・ああそうだ」
ああ思い口開きだしちゃったよ。
「今回依頼で狩って欲しいのは知ってると思うがドラゴンじゃ」
「ええ知ってます。それもマルチの方で張られてましたね」
僕は疑問ができた何マルチってと。
「どうしたの僕」
僕が疑問に思ったのを感じ取ったのかリルさんが聞いてきてくれた。
「えっとねリルさんマルチって何かわかる」
「えっと何なのかな、私この村から出たことないから」
リルさんも困ったと言う感じだ。
「ねえねえミレス君マルチって何」
「あれもしかしてユウタ君冒険者ギルドに行ったことないの」
「行ったことないよだって昨日僕はやっとお城から出れたんだよ」
「あれやっぱユウタ君って貴族かなにかなの」
「いや違うけど」
ああお城から出たって言ったからか。
「お城に住み込みで働いてたんだよそれでやっとお金がたまったから冒険しようってことで出てきたんだよ」
「それでも冒険者ギルドに行くことぐらいあったでしょ」
「いや僕はそういう役割じゃなかったから」
あーと納得されてしまった。
「それでマルチって何なの」
「マルチっていうのはね。普通依頼はその難易度によってランクを付けられてそのランクに近い人が受ける方式なんだけど、マルチは雑用以来なり討伐依頼をそこに貼ることによって全部のランクの人が息抜きとして参加できるところなんだよ」
「なるほどね、でも何か不思議なことがあるの討伐依頼も貼られるならドラゴンの討伐依頼を貼るのだって何らおかしくないでしょ」
「いや、おかしいんだよこれが確かに討伐依頼だけど人一人あげるからドラゴン討伐してっていうのは報酬にしては安ずぎるんだ」
人一人で安いってどんだけ強いんだろドラゴンって。
「それに息抜きでみんなマルチの掲示板を受けに来るんだ。そんな確率が低いのより正規のランクの所にやってもらった方が討伐の確率も上がるし、速い討伐も望めたのかもしれないんだ」
「でも、マルチの掲示板の方に貼る方が安くつくんでしょ」
「いや、そんなことはないんだどっちも同じ値段で貼ってくれるからマルチに貼る必要がないんだよ」
ホントだどうしてだろ確実に強い人に見られた方がいいのに。
僕は疑問の目を前にいるおじいちゃんに向ける。
「それはあれじゃよ報酬の低さかの」
「ああやっぱりそうですか」
僕には疑問だった人一人じゃあ割に合わないのはわかったけどこんなきれいな人なら相応の対価になるんじゃないかな。
「人一人に価値がなくてもリルさんとっても綺麗だから男なら無茶してでも来るんじゃないの」
「ああ、だろうね。でもここに来るまで娘さんがどんな顔しているのかわからないだろ」
・・・ああ、僕はすっかり写真がある世界だったから思いもしなかったけど、そっかわからないのか顔がどんなのか。確かにどんなのかもわからないのに飛び込もうとは思わないかそりゃあ。
「そっちの兄さんの方はわかったと思うが要はマルチの方なら女に困ってる冒険者が無茶してでも来るかなと思って貼ったという事じゃ」
何だかおじいちゃんが暗くなっている気がするさっきとはちょっと違う感じだな。あっそっか。
「おじいちゃんはちょっとがっかりしてるんだねマルチに貼ったのに大人数できてる訳でもない僕たちを見て」
「まあそうじゃな」
「でも失敗したら娘さんをあげなくて済むから複雑なんだね」
「むっ・・・そうじゃな。だがわしは村の長として村にすべきことはしようと思ってる」
「それが娘さんを犠牲にする事でも」
僕はまっすぐにおじいちゃんの目を見ながら言う。
おじいちゃんはすこし間を置き頷く。
「ねえ、リルさん」
「はい、何でしょう」
僕が突然呼びかけてさっきまで下を向いていた顔が上がった。
「リルさんここから出たことがないんだよね」
「はい」
「ここから出ていろんなもの見たくない」
「はい、ですが私には村の娘として」
僕は彼女が言いきる前に口を挟む。
「僕がそのドラゴンを倒して君を僕の所有物としてこの村からでていろんな場所に連れまわすけどいいかな」
「はい?」
「だからねそのドラゴン僕が倒してあげる」
ミレス以外の二人がきょとんッとする。
「僕がドラゴンを倒せば依頼の報酬の彼女をもらう何ら間違ってないですよね」
「ああ、じゃができるのか君のような子供に」
「子供って・・・まあ子供ですけどそれでも行けますよ僕は強いですからね」
「強いと言っても相手はドラゴンなんじゃぞ!」
僕はその言葉に笑顔でこう返す。
「僕一人でも十分なくらいですよ」
そこからは僕が一方的に話す形だ。報酬は僕が受け取るという形の事や、ドラゴンの場所、そしてドラゴンは昔からいて毎年見目美しい女性を生け贄に捧げないと荒らされてしまうらしい。先祖が荒らされて以来そんな噓のようなことが伝統的になってきているらしい。
さあ今度こそはコピー使ってスキル取ってやるからな。
悠蛇はそんなことを心の中で思う位余裕を漂わせていた。




