奴隷
結構疲れた 軽いとはいえ女の子抱えてずっと走りっぱなしだからな
見た感じ俺と同じ年かなぁ 年下のような気もするが
ばれずになんとか部屋の中までこれたわけだけど
道場の方で木刀の音が聞こえてたから打ち合い稽古でもしてるな
ここまでくる途中でこの子も大分落ち着いたのか泣きやんだみたいだ
「水で冷やしたタオルだ これ傷口にあててな こっちのタオルは汚れでも落とす用に」
「勢いでここまで来たわけだけど迷惑だったか?」
「いえ、大丈夫です ありがとうございました助けてくださって」
「奴隷なんだよな? ああいう暴力ってのは普通にされてるもんなのか」
「はい・・今日はまだ良かったほうです午前中でしたし」
「昨日も飯抜きとか聞いたな 腹減ってるよな?」
「・・・はい3日は何も食べさせてもらっていません ですがこれは奴隷にとって当たり前の事ですから」
「・・少し待ってな何か持ってくる」
ひどい 許さんぞあのクソババア3日も食わさないとか有り得ないだろ
たーんとお食べ すぐ持ってくるからね
台所潜入
じいさんは道場にいるとしてもいつばれるか分からない あのじいさん気配察知も化け物級だからな
最近やっとばれないようになってきた俺もどうかと思うけど
ふふふ 何食べさせてあげようかなぁ
やっぱおいしい物食べてもらいたいよね
色々あるけど時間もないし これだな 冷やし中華 すぐできるしね
じいさんが前の世界にあるような野菜とか普通に持ってるからな
大体はじいさんが飯作るんだけど
最近はよく作らされるようになってきてね 日本にあったような料理を開発してたんだよな
じいさんの家でしか作れないけどな 砂糖とか塩は普通に売られてるんだけど醤油に酢はこっちじゃ
かなりのレア物みたいでな じいさんが故郷から伝わる秘伝の調味料みたい
じいさんが作れるからいいってことで俺は作り方分からんけど
こういう調味料やら具材で前の世界の料理作ってやったら喜ばれてたしね
あの子も喜んでくれるでしょう
醤油と酢と水に砂糖に塩とその他色々混ぜて、たれ完成
こっちの世界にはないので小麦粉で気合で作った麺の上に
卵焼きを刻んだやつ あとはきゅうりにトマトを刻んで前に作り置きしてたチャーシュも刻んでっと
その上に紅しょうが乗っけて たれを掛けてと完成 見た目もすばらしい
3分もかかってないよね カップヌードルもびっくりな速さ 早速持っていこう
ガラララ
「ほい 全部食っていいからな ゆっくりちゃんと噛んで食べるんだぞ」
なんかすごいびっくりしてるな 初めて見る料理なんかなやっぱ
おいしいって言ってくれるかな・・緊張しますわ
「えっと すいませんどうやって食べたらいいのか この2本の棒はどういった物でしょう 手で食べてよいのでしょうか・・ 無作法でごめんなさい ううっ」
あーーー俺の馬鹿ぁ半泣きになってるやないかい
大丈夫 大丈夫やからね 箸が何かを分かって無いって事だよな
フォークとかか 取り行くにしても家には無い
くそじじい 調子こいて わしは和食しか嗜まんから箸のみで良いとか言いやがって
こういうことになるだろが
食わないにしても こっちの世界は洋食なんだから 少しはフォークとかスプーン置いとけよ
どうしよ どうしよ
「これは箸って言うんだが使った事はないんだな」
「はい 見たのも初めてです すいません せっかく用意してくださった料理なのに すごくおいしそう」
くっ可愛い
「では俺が食べさせよう こっちに来て座れ」
ぶっは 俺 何言っちゃってんの変態扱いされて警察呼ばれますわこれ
「はい 分かりました・・・お願いします」
分かっちゃったよ・・・よし 震えるなよ さも当然 当たり前のことしてると
思われないと変態に成り下がるからな がんばれ~
「こうやってな料理を挟んで口に持っていって食べるのだ」
「はい うっ痛い」
あ 口の中切ってるのか
「口の中が切れちゃってて痛いですけどこれすごっくおいしい」
どんどん箸で掬って口元に持っていく
はぁー幸せ~っと顔が緩んじゃってるじゃないか 引き締めて
すごい勢いで食べてしまったな もう食べ終わっちった
もう一回作ってくるからまた食べさせてくれないかな
あれ
なんか彼女 土下座してんだけどなんだろう
「こんなおいしい物を食べさせていただき そして地獄のような場所からお救いくださいました 本当にありがとうございました・・・・・でもこれで帰ろうと思います」
なんですって・・
「これ以上ここに居るとあなた様のご迷惑になります 私の主人は今頃必死で探していることでしょう」
「だからありがとうございました・・・」
深々と頭を下げられる
相当がんばって一大決心して助けたのにここで帰したら 意味がなくなる
それにもう惚れてしまってるんだわ 君に
あんなひどい事をされるような場所に帰すことだけは君に嫌われてもするわけにはいけない
「ではさようなら」
あー行ってしまう・・・行かせたくない 君がどう思ってようと関係ない 俺のそばにいてほしいってだけ これじゃあ子供の我侭だよな でもね
俺は元々ろくでなしなんだよ 帰させないため言ってしまえ
「それは無理だな なんか勘違いしてるようだが
俺はあのババアから君を奪い取ったんだよ もう俺の物ってわけだ」
言ってしまった・・・もうこれしかない
「俺の命令には従ってもらうし 残念だけど君のお願いを聞くつもりもない」
「俺の奴隷ってわけだ ・・・・君の名前はなんだ?」
「畏まりましたご主人様 私の名前はマリエと申します これから誠心誠意御使いしますのでよろしくお願いします」
え?なんて?