そう都合良く戦って起こるもんかね
「失礼します!」
一人の男が王の間に入ってきた。
「リアラ王国・セイズル国の連合軍が近頃こちらに攻めてくるようです!」
「なんだと!?」
この知らせに反応したのは、黒髪の青年、ルオだ。
「それは本当か!?」
伝令の男の肩をつかみ、いかにも動揺した様子で尋ねる。男は、ルオの気迫に圧倒されながらも返答した。
「は、はい!ハライズからカノン砲200門の支給を受けた連合軍12万がこちらに攻めてくる、との情報が密偵より流れてきました!」
「12万……カノン200………!?」
「おいおい、よっぽど嫌われてんだなぁ」
リザがはっはっ、と笑った。
「笑い事じゃない!どうするんだ!」
「まあ、何とかなんじゃね?」
「ならない!帝国の兵力は10万!先ほどの戦闘で3万が死んだから、残りは7万!勝てるわけがないだろう!」
「まあ、まずは敵の動きを見ましょう」
金髪の男は、パンパンと手を叩き、部屋から出ていった。
「今日はここでご宿泊ください」
城兵の一人に案内され、リザたちは部屋に着いた。とても広く、30人は入れそうだ。
「で、どうすんだ?このままじゃ本当に負けちまうぞ?」
フィオは腕を組んだ。
「何とかなるさ」
「何とかって何すんだよ」
「どうすんだろうなぁ……」
「なんでこんな奴が魔王なんだ……」
「………7万vs12万。この兵力差をどう思う?」
「どう思うって……負けるだろ」
「そう。負ける…………まともにぶつかったらな」
「まともにぶつからなかったら勝てるってことか?」
「まあこの差だと、よっぽどブっ飛んだことしなきゃダメそうだけどな」
「それを今考えている、と」
「そう」
リザはふーっ、と息をついて、床に寝転がった。
「…………なあ、フィオ」
「なんだ?」
「お前一人で、人間何体相手にできる?」
「………敵の武装は?」
「直剣装備の特攻兵」
「…10000が妥当だろ」
「じゃあ、ヒラくんとアズくんは?」
「僕は2000で限界ですよ」
ヒラが頼りなさげに答えた。
同じく、とアズ。
「合わせて14000……俺も10000だとすると…24000。12万から引くと………8万6000?」
「9万6000だ」
フィオが素早く鋭いツッコミをいれた。
「7万vs9万6000なら勝ち目はあるか?」
「まあ、奇襲とか使えば何とかならないこともない」
「うーん」
「なあ、リザ」
「うん?」
「カンネー殲滅戦って知ってるか」
「いんや、知らん」
「今からずっと前に、ハンニバルという奴がな………」
かくかくしかじか。
「というわけだ」
「うん。んで、どういうこと?」
「そこまで説明しなきゃダメか?」
「これを再現してみせろってこと?」
「そうだ」
「でもどうやって」
「いいか?まずはここの歩兵をだな………」
かくかくしかじか。便利な言葉だ。
「なぁ〜るほどぉぅ〜」
「ウザイな」
「でも、騎兵はどうすんだ?」
「アラナス帝国は白兵戦を主としているから、騎兵は2000ほどだろう」
「ダメじゃん」
「そこをお前が埋めるんだよ。わかったな?」
「お、おう………」
まだヒロインが出てきてません。
いや、戦争ものだから仕方ないっちゃあ仕方ないですが………
恐らくヒロインは登場しないと思われます。
そもそも、ヒロインがいなきゃいけないってのがおかしいですよね。最近の小説はなんか必ずヒロインがいて、ヒーローとヒロインが二人で頑張る、みたいなのが多いですけど、ここは戦場なんで、そんなイチャイチャしてる暇はn(ry