とある人の不運2
「取り乱してしまって申し訳ございませんわ。ちょっとさっきは食べ過ぎてしまったようで」
「本当だぞ、まったく!急に生まれるとか冗談きついぜ」
急にお腹を押さえて痛がるアデルの腰をさすること数分、落ち着いたアデルからただの食べ過ぎだと聞き、俺は心底ほっとした。
「本当ですね。まだ生まれるには早すぎますものね」
「そうそう…えっ?」
アデルの口から出てきたその言葉に不意を突かれた俺は絶句したままアデルを見つめるしかなかった。
俺が持ち得る情報を思い返してみても皇太子妃の懐妊の話はない。
だというのにアデルはいとおしそうにお腹をなでているではないか!
俺には知らされていない情報なのかと疑いつつもアデルに問いかけてみた。
「アデル嬢、そのなんだ懐妊されたのは喜ばしいが、それはどこまで知られていることなんだ?」
アデルはあっと声を出すと自分の口を押えた。
俺は何やら嫌な予感がした。
「もしかしてまだ誰も知らないとか…」
そこまで言うと、アデルは首を振ったのでまぁなにも皇太子妃の懐妊がだれも知らないというのは冗談きつい話だ。
俺もやきがまわったか…
「大丈夫です、侍女は知っています」
「そうだよな、やっぱ安定とかしてからの発表だよな、んっ?」
待ったこの子は今なんといった!
侍女は知っているだと、つまりあとは知らないってことか!!
「もしかしてだが、ジークも知らないとかいう?」
嫌なことにアデルはこっくりとうなずいた。アウトだ、これはダメだ!
「おいおい、ジークだって父親になるんだぞ。しっかり伝えないと、二人の愛の結晶じゃんか?ジークだってさ知りたいと思うぜ。喜ぶぞー!」
必死に情報を開示しようとする俺だがアデルは渋っている。
「だめです。これは知られてはいけないんです。だって殿下にしてみれば望んでもいない子供…好きでもない女の子供なんて邪魔なんです」
俺の耳はおかしくなったんだろうか?
好きでもない女って誰のことだ?
まさかアデル嬢…
ちょっとージーク!お前何してんだよ。溺愛してんじゃないのか?
なんか伝わってないぞ、変な方向に思考行っちゃってるから!
俺が口出すことじゃないけどな…




