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察しの良いわたくしでございます。

単刀直入で言いましょう。


「リーナ、大事な話があります」


「なんでしゅか、かーしゃま?」


あのあと、私はそのままリーナをつれて自室に戻ったのです。


「あなた、ルイ殿のことが好きなのでしょう?」


「!!」


リーナはびくりと肩を震わせてから、私を見上げてうなずいたのです。やはりと察しのいい私もうなずきました。

部屋に戻りながら私は必死に考えたのです。

ルイ殿は陛下の恋敵。

しかし娘の思い人であるのです。


私は悪役に徹さなければなりませんが、人を不幸にすることは本意ではありません。

ならば、ここを丸く収めるためにはリーナとルイ殿がくっつけてしまえばいいのです!!

これこそが誰も傷つかない筋書ではありませんか?


恥ずかしげにうなずく娘の姿に私は決心しました。


「リーナ、ルイに告白いたしましょう」


「かーしゃま!!」


驚き目を見開いているリーナの前で私は膝まつき、その小さな肩に手を置きました。

私はここでバイブルの教えを伝授することにいたします。


「よくお聞きなさい。恋は戦争なのです。食うか食われるか早い者勝ち。まだ独身のルイ殿がお嬢様方に食われていく姿を指をくわえてみていていいのかしら?当たって砕けてもすがりつき、押して押して押して引いてみればいいのよ!殿方はそうゆうのも弱いのよ」


といっても私は実践したことがないのでよくわからないのですが……


「けど、かーしゃま……リーニャとルイちゃま、お歳が離れてりゅから……」


泣き出しそうなリーナはうつむいてしまった。


「大丈夫、リーナ。歳の差なんて関係ないわ。歳は20歳離れているけど、殿方というものは若い女性を好むと書いてあったから、リーナはぴちぴちの勝組よ。思いのたけをルイに伝えるのよ」


「リーニャはぴちぴち…勝ち組……あっ!」


ここで少しずつ元気が出てきたリーナだったが、またうつむいてしまった。


「けど、ルイちゃまの前だとりーにゃなんにもいえなくなるんだもん!!」


「それは問題ね。あっそうだわ。なら私が代弁してあげるわ。リーナが言いたいことを私に伝えなさい」


「はい、さすがかーしゃま!!」


なんて完璧な計画なんでしょう。

よもや悪役王妃であるわたくしが陛下の恋敵を娘とくっけるとは誰も思うまい。

善は急げ、今すぐルイに手紙を書かなければ!


「さっそくルイをお茶会に誘いましょう!」



その時勉強から帰ってきたヴァルドは、手と手をつなぎ喜んでいる母と妹の姿にいぶかしげに見た。嫌な予感がしたからだ。


「どうされたのですか、母様たち?」


「お疲れ様、ヴァルド~今度あなたにお義兄さまができるわよ」


「そうですか、お兄様ができるんですか。喜ばしいことで……って弟でなく兄ですか!!」


仲の良い両親のことだから新しい兄弟ができたのかと思ったら兄ですか!母様、順序が違います!


「母様、どうか詳しく詳しく教えてください。リーナどういうことだ!」


ヴァルドの必死な問いかけに有頂天な母娘は全く聞こえていないようだった。



ヴァルド「あっ父様」


ジーク「ヴァルドか、勉強は頑張っているか?」


ヴァルド「はい」

(じっと父を見つめている)


ジーク「……なんだ?」


ヴァルド「父様、僕には新しくお兄様ができるようです。けど順序が違うと思うんですよね…まだまだ僕の勉強不足のようです」

(ふっと息を吐いて6歳には思えない表情で去っていくヴァルド)


ジーク「ま、待てヴァルド!どういうことだ。新しい兄ってどういうことだ!!」


まったく振り返ることなくヴァルドは去っていく。やはり彼も王妃の血を引いていることは間違いない。


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