5話♂親友
自分的に、この手のキャラは大好きだ…
店内に入った俺は、そそくさとゲームコーナーへ向かう。
無論、言うまでもない。
新たなゲームを調達するためだ。
本当は真琴のことが気になるのを、現実逃避して一時的に忘れたいからなんだけどね。正直、つい昨日までは彼女のことを憎んでいたのに、彼女に会って話せたことで胸にあった重荷が少し軽くなった気がする。もしかしたら、なんだかんだ言って本当は真琴に会いたかったのかもしれないな。あ〜あ、お互いに未練タラアラだよ(汗)
まあ、それはそれだ。ここは蓉子に任せて、俺はまったりとゲームでも選ぶとするか。
「おや、一宏殿ではないか」
ん?なんか今、背後で俺を呼ぶ声が聞こえたような…
俺は、ゆっくりゆっくりと後ろに振り返る。
「お!瑛じゃん!久しぶり〜!」
紹介しよう!俺の後ろに立っていた人物とは、小学生の頃からの親友の鬼嶋瑛だ!だがしかし、侮ることなかれ!突然だが、コイツは男ではない!大きな瞳にパッチリの二重、黒髪のサラサラショートヘアに、身長は165センチ程。学ランを着ていて俺の同級生なんだが、コイツが男の姿をしているには訳がある。
それは、コイツの家柄にある。
コイツの家は代々道場をしているのだが、生まれてきた三人の子供がすべて女だったのだ。しかし、鬼嶋家では代々男が継ぐことになっている。そのため、一番最後に生まれてきた瑛は、これまでずっと男として育てられてきた。ちなみに、この事実を知っているのは俺だけである。また、なぜ知っているのかは、以下の会話で連想してくれ。
それは、小学生の時に俺んちにお泊まりに来たときだった。
《お風呂場にて》
『なあ、一宏。少し聞きたいことがあるのだが…』
『どうした?』
『なぜ………わたしの股にはお前と同じソレがついておらんのだ?』
『え?ちゃんとついているじゃな……………っぶ!?』
と、まあこんな感じだ。それ以来、コイツは自分を女と理解したものの、『我が一族の誇りにかけて、わたしは漢を通してみせる!』といって漢を貫いている。ある意味、コイツは真の漢と言えるだろう。
おっと、話が長くなりすぎたな。とりあえず、コイツの紹介はこれで終わりにしよう。
「ところで、一宏は一体なにをやっておるのだ?しばらく学校に来ていなかったが…」
ああ、コイツは俺が不登校になった理由は知らなかったんだったな。
「オタクがバレて気まずくなったから、現在不登校中〜」
「嘘。実は知ってる」
うざ!こいつマジでうざいな!?
「うっせぇな。そういうお前こそ、こんな場所でなにやってるんだ?」
コイツはとてもじゃないが、ゲームをやるタイプじゃないはずだが…
「いや、姉の静音に頼まれたげぇむを取りに来たのだ」
ちなみに静音は長女ね。二女は香緒里。
「あ〜ね。何気にあの人ゲーマーだからなぁ」
俺、あの人に対戦ゲームで勝ったこと一度もねぇもん。確か、ゲーセンの連勝記録で100を突破したんだっけな?オマケにゲームだけじゃなくて合気道の達人だし(汗)
「静音姉さんももう少し女らしくなれば、結婚の相手だってすぐに見つかるのだがな…」
ため息を吐き、頭を抱えながら瑛が言った。
「まったくだ」
その意見には俺も同感だな。あの人は顔が良くてボン!キュッ!パッ!なんだから、その気になればすぐに彼氏の一人や二人作れるはずなんだが…はぁ。
「……お前、もう学校には戻らんのか?」
「…まあな。正直、学校に戻っても色んなやつらに白い目で見られるだけだろ?そんなつまんねぇ学校なんか、勘弁なんだよ」
別にオタクとか関係ねぇじゃねぇか。じゃあなにか?男がエッチなマンガ読んだらオタクなのか?マンガを読んだらオタクなのか?アニメを見たらオタクなのか?ゲームをしたらオタクなのか?別にそんなん人の勝手じゃねぇか。他人が干渉してイメージを肯定するんじゃねぇよ。
「……わたしはつまらない」
「ん?どうかしたか?」
「わたしはお前がいない学校などつまらない。生きた心地がしない。わたしはまた、お前とふざけ合いながら学校に行きたい。だから頼む、学校に来てくれ…!」
さて、どうしたものか。ぶっちゃけいま学校に行くのは厳しいんだよなぁ〜(汗)
「……まあ、気が向いたらな」
「そうか……わかった。」
「……悪いな」
まださすがに行く気にはなれないが、コイツの為にも考えてみるか。
「……わたしは、お前を信じているからな」
「……ああ」
こうして、俺は親友と久しぶりに再会したのだった。
その後、俺と瑛はショッピングモールの中を色々と歩きながらお互いの出来事を話した。久しぶりに会った親友は、やっぱり俺の中に強く存在していて、とても安心できた。
評価シテクレタヒト、アナタノコト、アイシテルカラ!
評価よろしくね〜