4話♂大どんでん返し!?
いきなりの急展開に、かなり波紋を呼ぶかもしれません!しかし、そんなことなど考えずに楽しくよんじゃって下さい!
しばらく蓉子と歩いていると、ビルやショッピングモールがたくさんならんでいる通りに出た。この通りは車はもちろん、人通りもおおいため、はぐれたりすると直ぐに迷子になってしまう。
まあそんなわけで、今は蓉子と手を繋ぎながらあるいているわけだが。
「ねぇ、一宏さん」
不意に、なにやら元気な表情で蓉子が話しかけてきた。しかし、握ったてはブンブン振られていて元気いっぱいである。
「ん?どうした?」
「なんか私たち、さっきからいろんな人の注目のまとになってますね〜!」
「?そうか?まあ、別にきにすることもないだろう」
「一宏さんがカッコイイからですね!」
「んなわけあるかアホ」
大方、蓉子に見とれた男が鼻の下を伸ばしていたに違いない。よって、俺にはなんの関係もないわけだ。
クイッ、クイッ
ん?なんか今、誰かに袖を引っ張られたような……
「一宏さん、どうかしました?」
蓉子がキョトンとした顔で覗き込んできた。
「いや、なんでもない。早く行こうか」
「はい!」
再び歩き出す。
クイックイッ
ん!?またかよ!……はぁ、一体誰が引っ張ってるんだ?
俺はゆっくりと後ろに振り返る。
「!?……なんでてめぇがいやがるんだ!?」
そこにはとんでもない光景が広がっていた。
「フフン♪久しぶり、一宏くん♪」
それはかつて俺を裏切り、人間不信に陥らせた女、真琴だった。
「気安く一宏くんなんて呼ぶんじゃねぇよ。こっちはてめぇに捨てられてから最悪な毎日辿ってんだ、ムシズがはしる」
そう言いながら、俺は地面に唾を吐いた。蓉子はオロオロとしたかんじで俺の腕を握りしめた。
「あら、ずいぶん冷たいこと言うじゃない。一年ぶりに会ったんだから、もっと気の効いたこと言えないの?」
なに言ってるんだこのくそ女?俺を捨てたくせに調子の良いことばっか言いやがって。
「調子に乗んなよ?俺はもうあんたなんか好きじゃない。消えてくれ」
「イヤよ!ようやくアナタを見つけたんだもの、もう絶対に逃がさないわ」
……クソッ!ざけんじゃねぇよ、ムナクソ悪ぃ。
ふと、蓉子を見る。蓉子は俺と真琴の会話を、静かに聞いているみたいで、真琴のことを見つめていた。
「一宏さん」
不意に、蓉子が話しかけてくる。
「あぁ?なんだ?」
「私は、少しこの女性とお話します。なので、一宏さんはそこのショッピングモールに先に行っててください」
蓉子が話ながらショッピングモールを指をさす。そこは県内でも一番でかい場所で、店の名前はイ○ン。
「……わかったよ」
正直、真琴の出現について考えたいことがあったから、一人にさせてもらえるのはかなりありがたい。
俺は真琴の存在を無視するようにして、ショッピングモールへ入っていった。
《蓉子視点》
一宏さんを見送った私は、彼女の正面に立った。
「とりあえず、そこの喫茶店にでも入りませんか?」
私は、すぐとなりにあったアンティーク風の喫茶店を指さした。
「……うん、別にいいわよ」
良かった、ここで拒否されたら正直気まずくてしかたなかったよ(汗)
店内は比較的落ち着いた感じのお店で、テーブルや椅子もとても可愛らしい感じ。機会があったら、一宏さんと来たいな。
「それで、話ってなに?」
ああ、そうだった、そうだった。
「えっとですね。とりあえず自己紹介でもしましょう。私は陽炎蓉子っていいます」
「私は篠崎真琴、ヨロシクね。……いきなりなんだけど、アナタって一宏くんのカノジョ?」
っ!?ええっ!?
「違う違う!!そんなんじゃないってば!!……わたしは、ある組織から一宏さんの元に派遣されて来たんです」
びっくりした〜!?いきなり彼女とか言い出すんだもん……
真琴さんはそんな私を吹き出しながら笑ったあと、『組織』という言葉を聞いて不思議そうな顔をした。
「組織?なぁに、それ?」
「オタク&引きこもり構成委員会です!」
それを聞いた真琴さんは絶句した。
「え?あいつオタクで引きこもりだったの?」
あれ?
「真琴さんは知らなかったんですか?」
「知らないよ!だって、私と付き合っていたときに彼の部屋に行ったけど、彼の部屋には机とテーブルとベッドしかなかったもん!一応本棚もあったけど、ほとんどが小説とか参考書だったし!」
ウソ!?そんなのありえないよ!?
「でも、今日私が部屋に入ったときは確かにオタクの世界が広がっていました!本棚はマンガ本がビッシリと並べてありましたし、パソコンもありました!おまけにエッチなゲームとかも沢山散乱していて、真琴さんの知っている一宏さんとは思えません!」
お互いに目を丸くして見合わせる。…あれ、そういえば一宏さんがなにか大切なことを言っていたような……
「……私のせいだ」
「え!?」
表情の暗くなる真琴さん。
「……彼、私にさっき言ってたよね。『あんたのせいだ』って。きっと、私が二股をかけて彼をフッたからよ」
……なるほど、だからかれはあんなに辛そうな顔をしていたんですか。これでようやく大切なことを思い出せました。
「……なぜあなたは、彼を裏切るような真似を?」
「……実は…」
ここからの話は、こんな感じだった。
真琴さんは一宏さんとお互いに好き合っていたのだが、恋人として前進出来ないでいたことに寂しさを感じていた。
そして、そんなときにたまたま現れた昔の元カレに優しい言葉をかけられて、もう一度やり直したいと思ってしまった。そして、そんな会話をしていた二人にたまたま居合わせてしまった一宏が、自分が捨てられたのだと確信した。そして、最終的にその元カレにも暴力を奮われ、あのときに一宏をフッてしまったのを後悔してきたのだという。
「……そうだったんですか」
それは、お互いがお互いを思いすぎてしまっがゆえの過ちだったのかもしれない。大切に思いすぎたがゆえになかなか恋人として先に進めなかった一宏さん、一宏さんが大好きだったがゆえに心に空いた穴を埋めようとした真琴さん。
「わたし…いったいどうしたらいいんだろぅ…うっ…うう…」
とうとう泣き始めてしまった真琴さん。
「…大丈夫ですよ、真琴さん♪」
「え?」
「大丈夫です♪私が助けてあげますよ!真琴さんのことも、一宏さんのことも♪……だから、もう泣かないでください」
私はそう言うと、ハンカチを真琴さんに渡した。しかし、再び涙を溢れさせてしまった。
「うっ…ひっく…ありがとう…ありがとう」
私、少し無理しちゃいました。本当は私も一宏さんのことが大好きなんです。罠にハマって怪我をしていた私を、汚がりもせずに助けてくれた一宏さん。彼は…ううん、真琴さんが知っている彼は、私が知らないほど優しい人なのかもしれない。
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