1話♂コンコン、キツネ
評価していただけたら涙を流して鼻をかみながら土下座しますので、評価お願いすると同時にお住まいの方角を書いていただけると幸いです(土下座
『お兄ちゃんおきて〜!あさだよ〜!』
ガチャン!
「ふはぁ〜」
やはり萌えキャラボイスを目覚ましに起きるのは、最高だな。これのために生きているようなものだ。おっと、挨拶を忘れていたな。おはよう諸君。今日も元気か?そうか、元気ならよかった。俺はというと、見ての通り元気100倍だ。
ただ今の時刻は10月2日の午前10時30分。学校に行くのであれば完全に遅刻だ。廊下に立たされるだろう。無論、俺は不登校であるため関係ない。
コンコン
ん?一体何の音だ?
コンコンコンコン!
さっきより強くなった!?
コンコンコンコンコンコンコンコンバリンッ!
「おい誰だ………て窓割れてんじゃねぇか!?」
俺の見た物は割れたガラスと……キツネ?
「コン!」
いやいや、コン!じゃねぇよ。まずその手でノックできたとしても、その肉球でガラスを割るのは不可能だろう!?まじでキツネか!?
「コゥ〜ン」
ん!?
「お前…怪我してるのか!?」
見ると、キツネの右手?にはワイヤーが食い込んでいて、ドクドクと血が流れていた。
「待ってろ!今直ぐに手当てしてやるから!」
俺はキツネを抱き上げてベッドに寝かせると、手当てをするべく部屋を出ていった。
久しぶりに踏み出した部屋の外。普段は直ぐ隣の部屋がトイレだったから、トイレだけに集中して他の部屋に目もくれなかったが、いざ外に出てみるとあまりの広さに驚いた。いや、おそらく視界が広がっただけかもしれないが、それでもとても新鮮に感じた。
う〜ん、救急箱はどこだったかな…。一階に行けばあるかな?
俺はゆっくりゆっくりと母親に見つからないように一階へ降りると、居間へ向かった。居間に入ると物入れをまさぐり、目的の物を見つけて二階へ向かった………ついでにチーズパンと牛乳も持って行った。
「お〜い?大丈夫か」
「コゥ〜ン」
相変わらず血が流れているが、ちゃんと返事ができて良かった。
さて、どうしようか。まずワイヤーをニッパーで切って、その後消毒してガーゼを当てて包帯を巻けばいいか。
「よし、これで良いか!」
うん、上手く巻けたし良かった良かった。
「お前、腹減ってないか?」
「クゥン?コン!」
「そうか、減ったか。じゃあ、これでも食え。」
俺はチーズパンを細かく千切ってお皿にのせ、牛乳を別のお皿に入れてキツネの近くに置いてあげた。
「ハグッハグッ、モグモグ」
良かった、ちゃんと食べてくれている。
「うまいか?」
「コン!」
「そうか。たくさん食べろよ」
それにしても、どうやって二階まで登ってきたんだ?いや、それいぜんになぜこんな場所にキツネが?
「クキュ〜ン…スー…スー」
まあ、いっか。今はお腹一杯で寝ちまったから、ゆっくりさせてやろう。
人間は最低だ。
なぜ自分とは違うものを蹴落とそうとするのだろう。
言葉で心を傷つけ、暴力で身体を傷つける。
そしてそんな軽々しい行動が、人間だけでなく多くの生き物を傷つけていく。
そして、優越感に浸るんだ。
『俺はコイツよりも上の存在なんだ』って。それは俺だけじゃない。こいつだってそうだ。普通に考えてワイヤーなんか足に絡まるはずがない。誰かが故意に巻き付けたに決まっている。『自分がされて嫌なことはしない』という小学生の頃から言われていることがなぜ分からないのだろうか?考えられない。
だから今の世の中は失業者が増えているんじゃないのか?表では良い顔をしていても、自分が大きくなるためにはとことん誤魔化し、とことんチクる。そりゃあそんな人間関係築くくらいなら仕事なんか辞めるだろう。それは『根性がないから』ではなく『自分が真っ直ぐに生きてきたこと全てが全否定されたから』だと思う。その点、二次元は素晴らしい。自分の全てを受け入れてくれる。
おっと、話が長くなっちゃったな。だめだ、何もしないでいるとどうしても色んなことを考えちまう。そういや、ここ1週間風呂に入ってなかったな。ちょうど良い、風呂にでも入ってくるか。
俺はキツネの頭を撫でると、着替えを持って部屋をあとにした。
《入浴タイム》
※このシーンは未成年の読者様がいるためお見せできません、っつうか作者も気持悪くて書きたくありません。
「ふぅ〜、良い湯だった」
風呂って案外気持良いんだな。これからは毎日入ってみるかな。それにしてもキツネは大丈夫かな?ちゃんと寝ていれば良いんだけど……
ガチャ
「…………失礼しました」
あれ?ここ俺の部屋だよな?っていうか、俺んちだよな?なんで!?なんで俺んちに…
女の子がいるんだよ!?しかもベッドで寝てたし!?
俺はもう一度ドアを開けると、部屋に入っていった。
「そういえば、キツネはどこに行ったんだ?」
確かに俺のベッドにはキツネが寝ていたはずだが?こりゃあ、いよいよ幻覚でも見えるようになっちまったか。
「ふぁ〜……おふぁよう」
少女が目を覚ませたようだ。先程は驚いていて気がつかなかったが、真ん丸な大きい目、腰まである桃色のサラサラな髪、そしてやや控え目ながらもしっかりとある胸!ああ言いますとも!可愛いんですよ!
「あ!おはようございます、一宏さん!」
「あ…ああ、おはよう……で、初めまして」
こうして、俺の非現実的な日々が幕を開けるのであった。