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9話♂ワロスの意味が知りたくて…

ワロスってなんて意味?

 さあ、待ちに待った放課後だ。昼食後は周りの視線が痛かったから5・6時間目の授業は見事なまでの睡眠で乗り越えてみせた。思わず自分をほめてしまいたくなる。


「一宏、帰るぞ」


「冴木くん、帰ろ♪」


 俺の机の横には既に瑛と亜希が待っていた。


「ああ、そうするか。それと亜希。俺は名字を知らないから亜希って呼ぶから、お前も一宏って呼んでくれ」


「うん、わかったよ一宏くん♪」


「おう」


 バックに一通り荷物を詰め終わった俺は、椅子から立ち上がり席を後にする。いや、しようと思った。しようと思ったんだが見知らぬ男に右肩を捕まれたのだ。


「……待てよ冴木」


 またお前か田中くん。いい加減にしてくれよ…


「さっきから何回も言ってるだろ田中!俺はお前と金魚の話をするつもりはねぇんだよ!」


「だから田中じゃねぇつってんだろてめぇ!!さっきも真琴の話で用があるって言ったばっかだろうが!!」


「なにぃ!?お前田中じゃなかったのか!?」


「いまさら!?俺は田中じゃなくて兼本だ!!」


「惜しい……」


「惜しくねぇ!!かすってもいねぇよ!!」


「あ〜あ〜逆ギレですかそうですか〜…ボソボソ…だりぃ〜…ボソボソ」


「逆ギレでもねぇし!?ってか今、ちっちぇえ声でなんか言っただろ!?」


「ボソボソ言いました」


「あ〜もううっさい!!……とりあえず、俺たちとちょっと校舎裏まで付き合えや」


 え〜。ったくだりぃ〜なぁ。これから帰って昨日買ったゲームやろうと思ったのによぉ。


 瑛と亜希を見る。二人とも真剣な顔で俺を見ていた。お前ら…ボケも真剣に見ていたのか?


「まあな」


 ああ、瑛は親友だから心が読めるのか。


「わりぃ、ちょっと校門辺りで待っててくれるか?」


「……わかった。気をつけろよ」



「おうよ」


 まあ、こいつら3人くらいならケンカしても秒殺できるから余裕だけどな。







「なあ兼本」


「なんだ?」


「……校舎裏のはずなのに西部劇のような舞台のセットなのはなぜだ?」


「それは……ただの演出じゃね?」


「……そうか」


 いつの間にか一対一になっている俺と兼本。他の二人は帰ってしまったようだ。


「なんでほかの奴等を帰しちまったんだ?」


「…彼女とデートだとさ」


 こいつ、実はかなり可哀想いやつなんじゃないのか?それともただのバカか?


「さあ、どこからでもかかってこいよ」


 そう言ってファイティングポーズをとる兼本。


「……いいのか?手加減は出来んぞ?」


 俺は中国憲法の構えをとる。

実は俺は、鬼嶋道場で10年間中国憲法を習っていたため、普通の高校生にはまず負けはしない。……まあ、ここは悪魔でも『普通の高校生には』だけどな。鬼嶋姉妹ははもっと強いぞ〜!なんてったって3歳の頃から稽古してるからな!俺は5歳の頃から始めてここ2年くらい行ってないから今瑛と手合わせしたらボロ負けだな。


「それじゃあ……行くぜ!」


 そして戦いのゴングが鳴り響いた。


 バシ、ドゴ、ゴガ、ズキュン、ダガン!



 結果はあっさりとついた。恐らくK‐1の判定でも全て3対0で判定勝ちだろう。戦いとは酷いものだ…。


「ま…待てよ…」


 俺の足首をつかむ兼本。


「なんだ?」


「お前に……最後の…頼みがある」


 いや、別にお前は死んだりしないから最後にはならないと思うが?…まあいい、聞いてやろう。


「なんだ?」


「鬼嶋に……瑛に伝えておいてくれねぇか?お前を愛していると……」


「ああ、分かった!瑛にだな……え!?瑛!?真琴じゃねぇの!?」


 なんだよそれ!?俺はてっきり真琴に伝えるのかと思ってたぞ!?いや、まあ別に性別に置いてもクリアしているから伝えても大丈夫だとは思うが、あまりにも予想GUYな展開だな!?


「なぁに、惚れたのは今日の昼休みだ。あんなに元気な瑛は、俺は初めてみたよ」


「……いや、アイツ男だけどお前は本当に良いのか!?」


 女と知っていても一応聞く俺。


「なぁに…惚れた弱味ってやつさ。安心しろ。愛は時間や性別じゃねぇ。大切なのは心だ!」


 そう言って兼本は立ち上げると、誇らしげに校舎裏を去っていった。


「……帰ろ」


 俺もホコリを叩いてさっさと瑛達んところにいかないとな。無駄に待たせちまっただろうし。




「お!ようやく来たか」


 一番最初に俺に気付いた瑛が手を振る。俺も手を振り替えして皆の元へと走っていく。

「悪い悪い。待たせちまったな」


「遅いですよ一宏さん〜!?」


「そうだそうだぁ〜!?」


 膨れ面になる蓉子と真琴。


「ごめんな(汗)なんだか兼本とかいうやつに絡まれちゃってさぁ〜」


 そう言いながら二人の頭をよしよしと撫でる。なんだか本当に嬉しそうだな。


「兼本って隆之助のこと?」


 真琴が目を閉じて和みながら聞いてきた。蓉子はずっと尻尾をフリフリしている。


「まあな」


「……あいつなんか言ってた?」


 う〜ん、どうなんだろ?まあ、ここは瑛の話は伏せて置いてやるか。


「いや……特に何も無かったな。一発KOにしてやったし」


「さすが♪よし!誉めてつかわす!」


 今度は真琴になでなでされてしまった。


「あ!真琴さんだけずるいです!私にもやらせてください!」


 ついでになでなでしてくる蓉子。なんか……照れるな。


 今日はなんだかんだ言って楽しかったな。これなら毎日学校にいっても余裕だぜ♪

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