重力と電磁波
ルーンファイターズ
〜魔術と武術のオーケストラ〜
聖夜の明かりをともした、闘技場。
そこで、一夜限りのコロシアムが開かれる。
自らの魔術と武術を、磨くため…披露するため。
この世界の発展を願って、戦士たちは、戦いへと出向くのだった。
切り裂きジャックVS高速のレイラ
張り詰めた空気の中、ゴングがなる。
ジャックは、ナイフを投げ、2・3本、女武道士の眼前へと迫る。
それを、ひらりとよける。
「甘いな、女」
それに気づいたレイラは、ほんの一瞬に勘で避ける。
闘技場の床を貫く、一本のナイフ。それは、10cmの穴を作り上げていた。
「そのナイフ、ただのナイフじゃなさそうね?」
ジャックは、否定する。
レイラは、ナイフを拾い上げ…。そして、ニヤリと笑った。
「タネがばれたわ」
レイラは、ジャックに向かってナイフを高速で投げる。
しかし、無常にもナイフは床に落ちる。
「私のレールガンを叩き落すとしたら、魔術の属性は一つ」
ジャックは、高笑いをし、ご名答とうなずいた。
「そう、俺の魔術は、重力変化…。よく見抜いたな?」
距離をとり、互いに高速の武術を見せる。
レイラは、力強く。ジャックは軽やかに…。
ただ、ナイフが床に散らばるだけ…。
ナイフが数本に達したとき…。
ナイフが意思を持ったように、持ち主のところに刃を向かわせていく。
それが、体を抉り、そして、試合は、終了した。
「貴方のナイフに、電磁波を付けさせてもらった。
何度か拳をまじわえたのは、貴方を標的とする磁場の中心を作るため。
残念だけど、私の拳に触れさせずに倒す方法を思いつくのが得策だったのよ」
ジャックは、血を流しながら…、その答えに満足げの笑みを浮かべた。