世界
『なんでそんなに出来ないの?』
『…』
『何か悪いところでもあるの?』
『ううん』
『…じゃあ、なんで学校も行けないの?』
『行きたくなくて…』
『それ理由になってないよね?』
『え?』
『行きたくなくても学校に行ってる子なんてたくさんいるでしょ?みんな行きたくなくても行ってるの』
『…うん。でも、学校、嫌で…』
『なにが嫌なの?』
『………』
『答えられないの?』
『………』
『…はぁ。明日は行きなさいよ』
『わかった…』
『 くん。宿題は?』
『やってないです』
『はぁ。もう2学期になるのに、今まで1度も提出してないよね』
『…はい』
『みんなやってるの』
『はい』
『君だけ特別なの?』
『違います』
『じゃあ、今までやらなかった分、やってきてください』
『明日までですか?』
『はい。まぁ、出来る限りでいいです。頑張りを見せて下さい』
『…はい』
『 。なんだ?その字は』
『え』
『お前11歳だろ?せめて読める字を書けよ』
『……』
『これ、ひらがな練習帳。明日までにやっとけ』
『でも、宿題やらなきゃ…』
『あぁ?そんな字書いてなんの意味があるんだよ。そんなのいいから、こっちやっとけ』
『…はい』
『 。早く起きなさい』
『………』
『起きなさい!』
『…寒いよ』
『寒くてもみんな行ってるの。早く起きなさい』
『…はい』
『ねぇ、まま』
『なに』
『今日、学校行きたくない』
『なんで?』
『先生に怒られたくなくて』
『怒られるってことは、悪いことしたんでしょ?じゃあ、あんたが悪いじゃない。悪いことしたのに、それから逃げようとしてるの?』
『………』
『学校行きなさい』
『はい』
『…なんで泣いてるの?』
『おえっ』
『汚い』
『ごめっ、なさ』
『遅刻するよ。早く行きなさい』
『はっ、い』
『 』
『はい』
『なんで1ページもやってこなかったんだ?』
『あの、その…』
『先生はな? に頑張って欲しかったんだ。1ページでもやってきたら、それでいいにしてやろうと思ってたんだ。汚い字でもいいと思ってたんだ。…それなのになんだ?これは』
『その、パパが、そんなことやらなくていいって』
『はぁ?人のせいにするのか?』
『そうじゃなくて』
『…もういいよ』
『え』
『お前に期待した先生が悪かった。席に戻りなさい』
『…はい』
『 。なんで学校たまにこないの~』
『なんか、行きたくなくて』
『俺も、勉強嫌だから学校嫌い~』
『あの、勉強が嫌なわけじゃなくて』
『え~?』
『 くん! くんと話しちゃダメ!』
『え?』
『あぁ、先生が言ってたやつな』
『そう。触れちゃいけないこともあるんだよ!』
『…………』
『ただいま』
『パパ、おかえり。見て、ぼく頑張った』
『お。ひらがな終わったか』
『うん』
『ママ~今日のご飯はなんだ~?』
『今日はパスタ』
『前もそうじゃなかったか?』
『文句言うなら食べなくていいです』
『……』
『あは』
『今日は、夢を書いてみましょう。授業終わりに集めるので、それまでに書いてくださいね』
『 。何にした?』
『俺はユーチューバー』
『僕はサッカー選手』
『夢が決まったら、なるべく具体的に考えてみてください。たとえば、何歳までになりたい。とかですね』
『……』
『はーい。後ろから紙を集めてください』
『 くん。紙出して』
『ぼくのはいいよ。何も書いてないし』
『そうなの?じゃあ飛ばすね』
『うん』
『もう!なんでそうなるの!』
『靴下裏返しにいれただけだろ?なんでそんなに怒るんだ!』
『だけって言うなら、少しくらいやってくれてもいいじゃない!毎回私が直してる!』
『小さいことでぐちぐちうるさいなぁ!俺は仕事から帰ってきて疲れてるんだよ!ずっと家にいるんだから、それぐらいやってくれよ!』
『はぁ?!なに?!私は家政婦かなんかなの?!』
『そんなこと言ってないだろ!』
『………』
『ママとパパ、離婚することになったの。 は、どっちと暮らしたい?』
『…………』
『正直に言っていいんだぞ?』
『……まま』
『 。ゴミ出ししといて』
『わかった』
『 。進学と就職どっちにした?』
『俺は、就職にした』
『そうか。高校卒業しても、仲良くしてくれよな』
『…そうだね』
『…………』
『1月24日、 市立 高校で、屋上から生徒が飛び降りるという事件がありました。高校に在学している友人に話を聞いたところ、そんな予兆はなかった。とのことです』
本作はフィクションです。
きっと、現実はこんなに辛くないよね?




