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星影の誓いを君と  作者: りん


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12/21

12. 星のロボットが望むもの




「どうする…?」


アドニス、フローラ、ハイマの3人は、昼食をとりながら真剣な表情で向かい合っていた。


「どうするって言っても、事情を説明して星のかけらをいただくしかないでしょ?」


「でも、大目玉って言ってましたよ?簡単にもらえるものなんですかね…」


「なあフローラ、この前のオーブみたいになんとか複製できたりしないのか?」


「無理よ。星のかけらは…もう、意味わかんないくらい複雑な作りをしてるから。私じゃ再現できない」


「うーん…」


星のかけらがなければ、ウィンの元へ向かっても詠唱は止められない。

しかし、星のかけらが無いと明日のギアハムの祭りに関わる。

世界を救うため協力してくださいと言っても、信じてもらえるとは思えない。


「とりあえず、今日は戦闘練習に力を入れましょう。明日の祭りの後だったら何とかなるんじゃない?」


「確かに…。そうするか」



3人は町のはずれで魔法や剣術の特訓に励んだ。


「やっぱりこの前の戦いみたいな魔法弾は打てないです」


「僕も、ひいおじいさんくらいのスキル習得はまだまだ時間がかかりそう…」


「そろそろ私も炎魔法以外の練習しないと」


のんびりと話しながら伸びをしていると、町の方から何か叫び声のようなものが聞こえてきた。


「…なんだ?」


「発電所の方じゃない?」


「行ってみましょう」



発電所に小走りで向かうと、今朝会ったベルが傷だらけで倒れていた。

腕を押さえ、苦しげにうずくまっている。


「聞こえますか?大丈夫ですか!?」


「うう…た、旅人さん、助けてください…」


「何があったんですか?」


「ロボットたちが、いきなり、襲ってきて…発電所をめちゃくちゃに…」


「分かりました。フレッドさんは今どこにいらっしゃいますか?」


「分からないです」


フローラがベルに駆け寄る。

「私がこの子を安全な場所に運ぶから、2人は発電所に向かって。ハイマ、もし何かあったらアドニスの頬を叩きなさい」


「…フローラ、気を付けて」

アドニスとハイマは、発電所へと走った。



発電所に到着すると、入口は無残に破壊されていた。

警報が鳴り響き、建物のあちこちが崩れている。

「足元よく見てね」


中に入ると、照明はちらつき、砂埃が舞っていた。


「どなたかいらっしゃいますかー?」

声をかけた直後、地面が揺れるような振動が近づいてきた。


「ギギギギギ」

広場で見かけたロボットの一体が、唸り声のような音を立てて襲ってきた。

農業用の鎌をむやみに振り回しながら近づいてくる。


「うおっ!?なんだ!?」

アドニスは咄嗟に剣で攻撃を防ぐ。


「魔物と同じように襲ってくる…?」


「マジか…」

二人は素早く距離を取り、剣を構えた。


「まずは状況把握だ。できるだけ逃げて、フレッドさんを探そう!」


「はい!」


2人は全速力でロボットから逃げた。



「ギギギギギギギギギギギ」


「速いな…」


「ハイマ、こっち!」

鍵が開いている部屋を見つけ、急いで部屋の扉をふさいだ。

扉を叩く音が少しした後、嫌な金属音は遠くに行った。


「ふう…」

たまたま入った場所は、発電所を監視するモニターが沢山設置されていた。

ほとんどの画面は砂嵐になっている。


「アドニスさん、この人じゃないですか?」

ハイマが指さした画面には、砂嵐の中に一瞬だけ映る人物と大きなロボットの姿があった。


「本当だ。ここは何室だ?地図…」

テーブルに置いてあった資料を見ると、地下一階の電力制御室にいるようだった。

2人が避難した監視室は一階、下に行く階段は近くにあるようだった。


「ハイマ、これ見て。ここが今いる場所で、扉出て左に進んで、階段下って道なりに行って大きな扉があるところ、ここにロボットと人がいるはず」


「すぐ行きましょう!」



「ここだな」

地図を見なくても、ロボットが暴れ歩いて行った足跡がついていたおかげですぐにたどり着いた。

扉に触れるが、歪んだ扉はびくともしない。


「おりゃあ!」

アドニスは思い切り扉を蹴るが、扉はピクリとも動かない。


「どうしましょう…」


「…よし。だれかこの中にいますかー!?」


「…ヤメテ」


小さな声とともに、部屋の中から魔法弾がとびだしてきた。

バチバチと電気を帯びた魔法弾は金属製の扉をいとも簡単に吹き飛ばした。


「だれか…あ、あなたは!」


「…旅人さん!」

部屋の中には、フレッドが巨大ロボット、リドルに腰を掴まれていた。


「アドニスさん、どうしますか!?僕らじゃあの魔法弾は耐えられません」


「でも、あの人を救うには今しかない!」


アドニスは両手をリドルに向け、魔法を唱えた。

「クラッグ!」


アドニスの土魔法がリドルの身体に連続して命中する。


「とりあえず、リドルの体勢を崩してあの人を逃がそう」


「分かりました」

ハイマも覚悟を決めてリドルに立ち向かう。


「アサルト!」


ハイマが唱えた魔法は、闇属性の初級魔法。

真っ黒な魔法弾はリドルの目にまっすぐ飛んでいき、顔の前で球が弾けた。

球が弾けた瞬間、リドルの顔は黒い霧に包まれ、視界を奪う。

リドルはフレッドを掴んでいない方の手で霧を払おうとするが、意思を持つように動かない。


「フェオン!」

アドニスは左半身を狙って強風をリドルに飛ばした。

視界がはっきりしないまま体を傾けられたせいで、リドルは強くよろけてしりもちをついた。

バランスを崩したリドルの腕からフレッドが脱出する。


「ハイマ!その方を出口まで案内して!リドルの足止めは僕がする!」


「分かりました、無理しないでください!」


「ああ、リドル…!」

ハイマはフレッドの腕をしっかりとつかみ、先ほどの階段の方へ走っていった。



「…」

アドニスは、一つ気になることがあった。


「リドル。君は、しゃべれるのか?なぜあの人を殺さずにいたんだ?」


「…」


リドルはゆっくりと立ち上がると、人間のようにしっかりとアドニスの方を見た。


「…ホシカゲノフウカンノチカラニヨッテ、イシヲテニイレタ」


「…?星影の、ふうかん?」


「アナタタチハボクノシンゾウヲネラッテイル」


「その、ペンダントのかけらを君から奪ってしまうと、君の意思は消えてしまうのか?」


「シニタクナイシニタクナイシニタクナイシニタクナイ」


「星のかけらなしで君が生きられる方法はある?」


「シニタクナイシニタクナイシニタクナイシニタクナイ」


「リドル、落ち着いて。僕は君を殺したいわけじゃないんだ」


問いかけに答える代わりに、リドルは魔法弾を発射してきた。

アドニスはギリギリのところでかわし、その反動で床に派手に転んだ。



「…はっ!こいつ、なにダラダラ魔物と喋ってんだよ」

転んだ先のがれきで腕を切ったことがトリガーとなり、ゼフィアンは再びリドルとの戦闘を開始した。


「お前に構ってる暇はねえ」

ゼフィアンは軽く腕を振ると、真っ黒に染まった槍が次々とリドルに向かって飛んで行った。

胸にはまる星のかけらを避けるように、両目、両腕、両足を貫き、リドルを壁に磔にする。


「アアア…」

リドルはなんとかもがいているが、ゼフィアンに手も足も出ないようだった。


ゼフィアンはゆっくりリドルに近づき、器用に心臓部分の回路をむき出しにした。


「これか」


「ウアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!」


リドルは最後の力を振り絞って叫び声をあげた。

ゼフィアンは思わず耳をふさぎ、後退した。



「旅人さん!やめてください!」


声が聞こえたほうを向くと、逃げたはずのフレッドが荒い息をついて立っていた。


「リドルは何も悪くない!意思を持つように設計したのは私だ!殺さないでくれ!」


「この期に及んで何言ってんだ?助けてほしそうな顔しといて」


「そ、そんなこと思ってない!リドルは私に助けを求めているんだ!」


「やだね。俺はこのかけらが欲しいの。お前の私情なんて聞いていない」


「あ!フレッドさん!こんなところに!?」

だいぶ遅れてハイマが部屋に帰ってきた。


「おい悪魔。そいつを羽交い絞めにしておけ」


「あ、ゼフィアンさん?どうして羽交い絞めに…?」


その問いには答えず、ゼフィアンは乱暴にリドルの心臓部を殴りつけ、機械の回路をこじ開けた。



「やめてくれえええ!!!」


悲痛な叫びが、発電所全体に響いた。




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