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女子高生のコスプレ

「起立、礼」


「さようなら」


 少年少女の貴重な時間を、無遠慮に奪う学校が終わった。今日は金曜日だ。教室の中には遊びの約束をする声が飛び交っている。


 (まだ、入学してから一週間なのにな)


俺はクラスの人達のコミュニケーション能力に感心しながら、帰りの準備を進めていた。そんなときふいに肩を叩かれた。


「奏斗行こうぜ」

 声を掛けてきたのは幼馴染の高橋結人だった。端的に言うと、こいつはイケメンだ。目鼻立ちがしっかりしており、天然パーマで癖が出ている髪は一定の秩序を持って動きを出している。それに高橋は勉強もできるのだ。先週にあった我が高牧高校の入学式では、新入生代表挨拶もしていた。つまり入試一位のただの天才だ。


「どこに? 誰と?」

「カラオケとかボーリングだってよ」

「行かない」

「つれないなー」


(そんなこといわれてもな・・・・・・)


 よく知りもしない人と行っても何を話せばいいのか分からない。それに僕は大人数で騒ぐより、静かに過ごす方が好きなのだ。誰と行くのか答えなかったのはコイツの策略だ。もう引っかかるものか。


「じゃあな」

 僕はそういって席を立った。

「またな」

 そういった高橋は頭を振っていた。説得するのが不可能だと知っている高橋は、粘着することなく僕を解放した。


 僕が通っている髙牧高校は、家から徒歩二十分といった距離だ。学力がそこそこあり、家から近いのを理由に僕は進学を決めた。


 学校から十分ほど歩いただろうか。公園が見えてきた。遊具などはなく、東屋が1つと木のベンチが2つだけの公園だ。


 そして東屋から見て、右側のベンチが僕の定位置だった。学校が終わると毎日ここに通い、時間を潰している。時間の潰し方は色々あり、友人と談笑したり、読書、それに勉強だ。スマホはあまり使わないようにしていた。友人も毎日来れるわけではないので、読書か勉強がほとんどを占めていた。


 今日は本を読もうとカバンから、本に手を掛けたとき砂を蹴る音が聞こえた。僕は音の聞こえた方に目を向けた。すると、そこには女性が立っていた。


 いや女性というのは間違いだった。たしかに彼女は高牧高校指定の制服に身を包んでいたのだ。女性ではなく少女だった彼女。しかし大人の女性と勘違いしてしまうような顔が、制服の上にあった。


 かっこいい。そんな言葉を顔で体現していた。大人びた顔に沿った、肩の少し下まで伸びた髪は宝石のように煌びやかに輝いていた。そんな顔と制服のアンバランスな対比は、大人が女子高生のコスプレをしているように見えた。


彼女は僕に目を向けることなく、反対側にある東屋から見て左側のベンチに座った。























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