『私』は何色ですか
もし、皆さんに『色』があるとしたら。
自分は何色だと思いますか?
きっと、人それぞれでしょう。
好きな色、イメージカラー、似合う色。
だけどそれって、本当に貴方の『色』ですか?
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私には、色がありません。
肌色も、着ている服の色も、髪の色も。
だって私、幽霊なんです。
居ても誰も気付いてくれないし、在宅の仕事だし、基本的にはネットの世界から出ることなんてありません。
だから私は幽霊なんです。
ただ、一人を除いては。
「一葉は可愛いよ。本当に」
「よく言うよね。親も誰も私に構いやしないのに」
「十年来の付き合いにもなれば、君の良さなんて沢山知ってるよ」
「はいはい。惚気はそこまで」
この人は大和さんです。
学生時代からの付き合いで、唯一私のことを認識していると言っても過言では無い相手なんです。
そして、私の彼氏でもあります。
「どうしてこんな私に構ってくれるのか分からない」
昔、そうやって聞いたことがあります。
そうしたら彼は、なんとこう返しました。
「君は昔とてもつらそうだったけど、今は明るい青色って感じなんだ。助けてあげたいと思っていたら、自分が助けられてしまった」
「……ふっ。何それ」
そんなこんなで、ずっと私のそばにいてくれているのです。
そういう彼は明るい朱色で、きっとみんなを笑顔にする力があるでしょう。
私にはもったいない人です。
「僕は君と一緒にいたいと思ってるんだけど、もしかして嫌だったりする?」
「そんなわけないでしょ。嫌って言っても離すつもりないから」
彼は私を、私は彼を。
お互い大事にしているのです。
この関係を崩さないためにも、青色の私でいようと思えるのです。