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子供と黒

作者: 厨房

こんな話は面白くない。

始まりは小学4年生の夏だったと思う。その日は家族と共に夕食を食べに行った。

家に帰って来たのは22時ごろだったと思う。

車から降りると駐車場の奥に黒い人が立っているのだ。

何かしている訳でもなく立っている。

黒い服を着ている訳ではなく、文字通り黒い。

例えるなら、見た目は子供頭脳は大人な探偵ものに出てくる犯人だ。

家に着くまで車で寝てしまっていた僕は見間違いだと思い、気にしなかった。

しかしその2日後、親のいない夜にふとジュースが飲みたくなった僕は

家から約5分のところにあるコンビニへ行った。

財布と家の鍵、ゲームコインを貯めるため電源をつけた3DSを持って外に出ると、

また黒い人が立っていた。今回も何かしているようには見えない。

当時幽霊やUMAといったオカルトにはまっていた僕は持っていた3DSで写真を撮ろうとした。

もちろん友達に自慢するためだ。

この時、3DSを向けて初めて気がついた。少しずつ、

本当に少しずつだがこちらに近づいてきている。

体が動いている様子はない、ただ距離が近くなっているのだ。

まぁそんなことは気にせず写真を撮ってコンビニへ向かったのだが。

コンビニで500mlのジュースを買い、帰路に着く。

ここで黒が近づいていたのを思い出した。

玄関の前まで黒が近づいていた場合、必然的にその横を通らなければならない。

そんな恐怖を感じながら、いざ近づくと黒は影も形も無かった。

元々影みたいなもんだけど。

どこに行ったのかその時の僕は考えてもいなっかった。

ただいなくなった、そのことに安堵していた。

そんな自分を今でも恨んでいる。

玄関の中に入る。その瞬間

やけに静かな室内。

どこからかポタポタと液体の滴る音がする。

誰もいないはずのリビングから気配がする。

額を冷や汗が流れる。

何が起こっているのか分からなかった僕は自然とリビングへ歩を進めた。

一歩、一歩とリビングに近づくにつれて体が重く感じていく。

ドアに手をかける。自然と音を立てないようにドアノブを回す。

『キッ』そんな小さな軋む音が静かな室内に響く。

恐る恐るリビングへ足を踏み入れる。

リビングに入った瞬間全ての嫌な空気が晴れた。

気配は消え、先ほどの静けさが嘘のように救急車の近づく音が聞こえた。

リビングには小さな黒い水たまりができていただけだった。

結局数日にわたって起こった不可解な出来事はこんな形で収束した。

未だにこの家から引っ越してはいない。

これ以外何も起こっていないから当たり前だけど。

ただ、未だに黒い水たまりができることはある。

こんな、くだらない話でした。

読了感謝

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