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「気を付け~帰りのSHRを終わります。」
「終わります。」
学校が終わり教室中がワイワイ騒がしくなっていた。鞄の中に教科書を詰め込んでいる少年が#神谷誠__かみやまこと__#だ。
誠は金曜日が終わり明日から休みになることにワクワクしていた。
「おーい!誠!今日帰りご飯食べに行こうぜ!」
大きな声で後ろから呼んでいるのが中居悠だ。
「あ、うん。いいよ。」
「よし決まり!」
「魁と健太も呼ぶぞ?」
「分かった、じゃあ行こうか」
悠は佐藤魁と桜木健太を誘い電車に乗り誠と共に街に繰り出した。
放課後よく食べにくるハンバーガー屋に着くといい匂いが漂ってくる。
「どうしよっかな…じゃあてりやきハンバーガーで!」
「俺はえびフィレオでお願いします!」
「げ、健太くんはなんで同じ会計で注文するんだよ」
「へへへこのあとゲーセンでレースゲームで負けたやつの奢りで行こーぜ」
「お、いいね。僕はチーズバーガーでお願いします。」
「じゃあ俺も!」
「え~、分かったよ…」
全員で会計を一つにしハンバーガーを食べた。お腹もいっぱいになったのでゲームセンターに行き、奢りのゲームの決着をつける。
「じゃあやるよ!」
―――――完敗した。
「よっしゃー俺達はただめしってわけだ!」
「どんまい、神谷。」
「ほんと弱いな~」
散々な言われようだった…
「あはは…もう暗いし帰ろうか…」
電車に乗ってそれぞれの最寄り駅まで乗って帰った。
「じゃあまたね!」
電車から降りて皆に挨拶をし、誠はホームを出る。
「少し寒いかな…」
まだ風は温かいが火照っていた体には少し冷たいみたいだ。
駅からの帰路はほんのりと街灯が道を照らしてくれている。
うわあああああああああ
聴きたくない、耳を塞ぎたくなるような悲鳴だけが聞こえた。
自分の家までへの最短距離の道から聞こえたので嫌だとは思いながらもそっと見るように足を早める。
血の付いた白い車が誠のすぐそばを通る。
急いで車の中を見たがどんな人が乗っているのか分からなかった。
焦りながらも足を進めると目の前で血を流しながら人が倒れているのが見えた。
「っ…」
誠と同じく男が反対側からやってきた。
「おい!!こいつを助けるぞ。手伝え。」
「はい。僕は救急車呼びますのでこの人の手当をお願いします。」
―――――救急車の音が聞こえてくる。誠と男も協力し、なんとか救い出すことができた。
「俺はこのまま帰るからお前もこのことは忘れて安全に帰れよ。」
「ありがとうございます…」
こんな昨日を思い出し誠は病室にいた。