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「日出所〇天子」

 良子の元にもジャコバン派とか赤軍とか色々な組織が訪れた、それも夜中に。


「居ない、しかしまだ布団が温かい」


「どこだ?」


 真っ暗闇の寝室の、天井の角に良子は隠れていた。


「ここだっ、マヌケ共めつ、カゲヌイ~~っ」


 私室の寝室に暗殺者の集団が来ていたが、全員影縫いで動けなくされた。


「フフフ、風下に立ったウヌの負けよ、サラサラ(c白土三平)」


 春花の術を馳走してやり、全員を痺れ薬とか毒薬であの世に。


「革命軍か、甘いな、これしきの事でヤられるとは」


 一旦革命は成功した物の、聖女本人が政府の面倒を見るのを嫌がり、本拠地に籠ってしまいBL本の作成と一次資料の領布に専念すると、次の革命に参加しようとしなかったので、各所から聖女として立つように要請があった。


 ガン無視していると、懐柔しようとしてきた貴族派王族派からの攻勢もあり、手打ちをして「生涯勝手御免」の免状を受け取ると、裏切者として扱われて刺客を放たれた。


 革命軍の方にはネコちゃんで聖獣三匹を貸し出していたので、最初は魔獣に包囲された町一個だけだったのが、連戦連勝で周辺国を撃破。


 ファイアーエンブレムの開始地点か、カブール一都市だけ残って周囲はタリバーンに包囲されている政府軍みたいだったのが、エヴァで三博士の名前を持つコンピュータが相手地域を一掃して勝ったぐらい、一瞬で周辺国を陥落させたのだが、それも気に入らなかったようなので全員処した。一人残らず処した。


 何やら「聖女の存在が国家安全保障上問題があった」らしい。



 元の本国だけが革命政府で、周辺国は王政を認めて運営させ、腐った貴族だけ吊るして来て、少ない善人だけで国家運営させ、本国の方は商人に丸投げした。


「こ、これだけの国家の全てを私達だけで運営?」


「ええ、是非お願いします」


 カクメイ政府はサヨクっぽい、枝野さんとか共産党の志位委員長みたいな、発達でアナウンサーの質問にも一切答えず、単語一個でスイッチ入っちゃって、自分の政治信条だけを垂れ流し始めるアスペ揃い。


 下っ端もスタンフォード大学実験的にギロチンとかファラリスの雄牛とか新しい刑罰を思いついて実行する、頭壊れた奴らしかいなかったので全員処し、商人達に「議会制民主主義」を実行するよう言い渡した。


「でも、私たち如きでは……」


「政治家ってね、所得の九割まで隠せるんですよ」


「やりましょう」


 現金な奴だったので即採用された。



 この世界には聖地まで信者を護衛して行く「テンプル騎士団」が存在しなかったので、銀行制度も存在しなかった。


 銀行制度を説明して、預かった金額の九割を貸し出し、それを証券化して更に九割を貸し出して行く「信用創造」の制度を解説してやり、


「誰かが借金をしたら、そこで初めて通貨が産まれる」


 と解説してやると、商人なので目の色を変えて銀行制度の虜になり、色々と知りたがった。


「さあ、貴方には「銀行制度」を支配する力を差し上げます」


「ああっ?」


 女神像から与えられた信用創造の知識や、現代の金融工学の全てを、目をビカビカビカーと光らせて伝えてやると、商人達は銀行沼に嵌った。


 実際に銀行を経営して、現実に力を行使する権利も与え、両替屋程度だった預け金システムが、銀行システムにジョブチェンジした。


 これでロックフェラー族とかワールドハンドラー的な立場にある人種のように、通貨で金を持つ必要すらなくなり、隠し財産とかそんなもん、ど~~でも良くなった。



 ちょっと国家よりも大きい力を持ちすぎ、各騎士団のように国家から迫害されて、スイスとかスカンジナビア半島とか、ヴァイキングの領域まで逃げて新大陸に渡ったりするかもしれないが、良子の方が国家より強いので安心。


 何故こうしたかというと、革命軍がウザかったのもあるが、貴族の方が余暇が多く、ヲタクですぐに漫画沼にもタカラヅカ沼に嵌り、金とか美術品にしか興味が無かった者もすぐに転向させることもできた。


 悪徳業者や高利貸しの金主は始末したが「人の心を狂わせるガラス」とか「ヤ〇ザキ春のパン祭りでしかもらえない、投げても割れない頑丈な皿」何かを流通させるのにも役立った。



 本則で本職で実行しなければならない一次資料での汚染と、最終的には自然発生的に同人誌を一般人に作らせ、BL禁止になった世界とは違い、BL天国を作らなければならない。


 その「汚染?」を一手に引き受けた良子だが、同好の士も召喚され、今後のBL世界で大輪の花を咲かせなければならない。


 腐っている花だが、それでも咲かさなければならない。


 まずは同志一号、共同本とか合同本を出していた同志カテリーナ(ペンネーム)を召喚。


 魔法カード「死者への手向け」を使い、カード墓場から攻撃力1500以下のカードを復活。


「ここは?」


「ふふ、ここが地獄の一丁目、BL地獄だよ」


「あんたは? 若返ってるけど良子」


 地獄の獄卒とか閻魔大王とか、エンツォフェラーリみたいな顔した良子に迎えられて、死にたての新人のニキラウダみたいな顔して驚いた少女。


 この少女もBL本の単純所持で立件されてしまい、タイホしちゃうぞ、と言う訳で残りの人生を刑務所の中で過ごすことになった気の毒な夢追い人。


 良子のように隠し通し、孤独死プレイを受けずに済んだが、親戚からは縁を切られた。


 先日、良子が夢枕に立って、アメリカンジョークみたいに「いい知らせと悪い知らせがある」と言い出し、いい知らせの方を聞くと「あの世でもBLは盛んで、終末?には集まって同好の士でワイワイやっている」と知らせ「じゃあ、悪い知らせは?」と聞くと「明後日の先発は君だ」と教えてやった。



 すぐに編集部に連行されて、今は一次資料である漫画と少女漫画を領布している最中だと教えられた。


「ククク、もう間も無くBLの萌芽が芽生える、既にベルばらからタカラヅカ沼に堕ちた編集部員も多い、もうすぐ、もうすぐだ」


 やっぱり主人公側のヒロインがやってはイケナイ表情で、ほくそ笑んだ良子。


 同志タワーリチヒカテリーナ(ペンネーム)もドン引き。


「ここでは今まで通り、原稿だけ仕上げていれば、飯も出てくるし風呂もある。洗濯なんかもやって貰えるBL地獄だ」


「ウソ……」


「フフフ、本当だ、何しろ私がそうなるように仕立てた。BL女神像様から与えられたこの平面世界、どのようにしてもBLで汚染して行くのが我らの使命」


 同志タワーリチヒカテリーナ(ペンネーム)も、この世界に入る前にBL女神像から面接があり、腐り果てた人物であると認められて入所。


 ジャニーズ属性まである人物だと見染められて「YOU来ちゃいなよ」と言われて入所。


 所謂「生もの」でも平気で食っちまえる人物として、新戦力として参入。


 何をさせられるかといえば、BLの萌芽が芽生え次第、特濃のフィニッシュブローが放てるように、トッシー×銀さんでも、塔矢×進藤でも、原作絵に匹敵する書き込みができる人物として召喚した。


 尚、証拠物件として押収されていた貴重なBL本の数々は「コピーさせなさいッッ!」とBL女神像と良子に言われてコピー本作成。


 拘置所とか警察の方には「オタカラは頂いたぜ、ルパ~ン三世」的な予告カード?でも置いて盗んで来た。


 BLポルノ所有者だと通報されてしまったアイフォーンとかアイパッド、デスクトップのマックや各種垢BANされたアカウントは再生しないが、新規取得は出来るかも知れない。


 その辺りはBL女神像が下級天使に命じ「ジェバンニが一晩でやってくれました」なので上手くやってくれて、失ったBL本とかも回収。


 もっかい通報されそうだが、数光年先にある異世界で別世界で時代も違う、どれだけアイフォンが通報しようとも無効。


 しかし一次資料は取り続けられるし、解放軍的にBL投稿も可能。



「ぐうううううっ」


 今までの屈辱や苦痛を思い、BL天国に召喚され、これからも活動して行ける幸せを噛み締め、膝を着いて泣いてしまった同志タワーリチヒカテリーナ(ペンネーム)。


「ふっ、泣くのはまだ早い。この世界全てをBLで汚染して、座っていれば新作のBLが入手できるようになるその日まで、涙は取っておけっ」


 タカラヅカ的に大きな芝居をして、バーンとかビャアアアアアンとかグツグツグツ的な擬音も入れて、衣装というか翼を広げて、同志の涙を笑い飛ばしてやった。



 健全な少女漫画誌に、必ず一つ毒を入れるようにしていた良子は「ポーの〇族」を掲載してやった。


 さぞや少女達が発狂して編集部に怒鳴り込んで来るかと思えば、全員「あ、私コッチ側なんだ、性癖がこれなんだ」とスコーンと受け入れられたようで、ほんの数人発狂しただけで済んだ。


 続きを読みたがる連中は「汚染されている」とみなして編集部員入り。ベルばらほどメディアミックスしていないが、タカラヅカバージョンも見せてやって、堕ちるに任せた。


 カラー表紙、カラー掲載などなど、集中連載であおりまくってやったので、あっという間に連載終了してしまったが、綺麗にオチたので大騒動にならずに済んだ。


 但し、この世界には本当にヴァンパイアがいるので、毒牙に掛かりに行って噛まれて、本当にヴァンパイアになる少女が続出してしまい、教会から怒られた。



 次の毒は「日出所〇天子」これは神社と揉めたとか色々言われるが、神社側の圧倒的な政治力により、掲載中止というか連載中止に追い込まれたのでモメる。


 オチもついていない所で急激に連載中止に追い込まれたので「俺達の冒険はこれからだ」も無かったのでドチャクソにモメる。


 日出処〇天子の連載が終了すると、朝一番に王都内の少女達がすぐに駈け込んで来た。


 編集部入り口付近で大騒動になり、事情があって原作はここまでだと説明しても引かない。


 怒りが収まらないのか「責任者を出せ」と喚きたてるので、良子のオフィスにまで聞こえ、責任者として話をしに行った。


「え? 聖女様、いけません」


「あんたが責任者? 何で日出処〇天子だけが連載終了したのっ?」


 怒りが収まらない少女は相手が聖女とも知らないまま食って掛かり、ベルばらや他の人気連載は終了していないのに、一作だけ異色作で不人気だったのか、教会からのお達しで男色、レイプ、兄妹の近親相姦、なんでも有りの不道徳な漫画が終了させられたのか真相を聞きに来ていた。


 良子は過去の自分を見るようで微笑ましくなり、直接話すことにした。


「ここでは何ですので会議室に行きましょう」


 怒り心頭の少女とその取り巻きや付き添いは、会議室で良子を糾弾するつもりで同行した。


「まず、山岸〇子先生の原作はここまでになります、編集部と作者が揉めたとか、厩戸皇子を神と崇めて祭っている寺社から抗議があり、編集者と作者が土下座謝罪させられ、連載が継続できなくなったとも噂されています。新聞記事は間違いだったと掲載されましたが、何もないのにそんな記事が出る訳がありません、出版社よりさらに上、国から圧力が掛かり連載が止められ、数年後に別の作者が寺社推薦のお綺麗で歴史通りの漫画を連載したことはありますが、この物語はここまでなのです」


 最高責任者の説明を聞き、教会だとか国家とか、逆らえない所からの圧力で終了させられたのだと理解させられ、悔し泣きを始めた一同。


「このお話は地球と言う星の日本と言う小さな国で起こった歴史を元に書かれた物です、戦争などの事件は史実通り、キャラクターの行動や考えは事実とは違いますが、これは「歴史物」というジャンルなのです」


「え……?」


 この人数に観測認識されたので、この平面世界の東の果ての方に「日の本」という世界が創造され、ゲーム世界周辺の空白地帯が少々埋まった。


 ストーリーの結末だけでも聞けると思ったリーダーらしき少女は、泣き止んで物語の結末を聞きたがった。


「この後…… 歴史ではどうなったんですか?」


 良子はこの娘を沼の底に叩き落し、自分と同じ道を歩ませるために黒い笑顔で答えた。


 wikiを印刷してやり二人の行く末を語る。


「推古天皇の皇太子で摂政となった厩戸皇子は日本を統治して色々と成し遂げ、20年後ぐらいに亡くなります。刀自古郎女とじこのいらつめは形式上厩戸皇子と結婚し毛人との子を産み山背大兄王となりますが、毛人の子、入鹿に討たれて一族が滅びます。入鹿は一時日本の実質支配者となりますが、中大兄皇子に討ち取られ父の毛人も自害、蘇我氏は滅んだも同然に、それがこの物語の真の終わり」


 歴史の事実を告げられた少女は山岸涼〇調の作画になり、目は少女漫画独特の白目、そこで雷に打たれたように天啓を受け、脳内にエンディングまでのストーリーが妄想として炸裂した。


「厩戸皇子、今度は毛人と同じ力を持った子とっ? 毛人の妹と息子を人質にして毛人とのカンケイを迫ったり、ついに押し切られて結ばれて二人は幸せなキスをしてゴールイン。もしくは無理矢理…… そのカンケイを知ってしまった正妻の息子入鹿はっ…… 毛人と同じ能力を持った息子たちと、厩戸皇子の能力を受け継いだ息子の異能超能力バトル」


 自分の髪の毛を掴んだままガクガクと震え、髪の毛を引き千切りながら早口で続きのストーリーを妄想して語り続ける少女を見て、BL沼に堕ちて藻掻いている過去の自分と同じ姿を見て、近寄って耳元で囁いてやる。


「ええ、その通り、よくできました」


 そこで過去に自分が描いた同人誌を見せてやり、大体同じストーリーが展開されているのを読ませた。


「こ、これは……」


「昔、連載が終わった時に私が書いたものよ」


「貴方が?」


 ダイジェストだが先程娘が呟いた妄想と同じ物語が展開され、毛人はついに厩戸皇子の毒牙に。


 WIKIもインターネットもない時代なので、図書館で調べた歴史なので大して詳しくはないが大筋は歴史通り。


 日出処〇天子によって性癖をグチャグチャに破壊されていた少女は、良子と同じく同人誌を書いて、絵が描けないのなら文章でも良いので完結させなければ、今の妄想を紙に欲望を叩き付けなければ生きて行けなくなったので、BL沼に完全に嵌った。


「こ、こんな事って……」


「ええ、この続きは貴方が書くのよ」


「ひいいいっ」


 白目むいたままグワシの指のポーズをして、ひきつけを起こしたような声を上げて驚いた少女。


「ここでは本当の歴史なんか気にする人は誰もいない、もしヤリたいのなら毛人が厩戸皇子に深々と突き立てて(何を?)命を奪う展開があっても、それが愛の行為で告白でも、王子が笑顔で死ねる結末なら誰も責めはしないわ」


 白目のままガタガタと震え続ける少女は、悪魔の囁きに耐えられずついに陥落した。


「はい……」


「これを書き上げて完結させるには十年、いいえ、一生を掛けて取り組まなければならない。途中で挫けるかもしれない、絵が描けないなら描ける子を連れて来なさい、ストーリーをもっと詰めたいなら話を考える子を集めなさい。これからすぐに貴方たちと同じ子がここに殺到してくるわ、全員集めて会議室で語りなさい、声だけ大きくて自分の意見だけ通す子はいらないわ、鳥肌が立つような悪魔みたいな展開を考える子を採用なさい、詳しい歴史は印刷しておいてあげる」


 付き添いの子は苦情を言わなかったが、目覚めれば絵が描けるかもしれない。込み入ったストーリーを文字にする前に頭の中で整合性を整えて考えられるかもしれない。


 まず4,5人、ガッツリ沼にはめてやった感触に喜んだ良子は、この後にやって来る犠牲者の数を皮算用し、悪魔の微笑で答えた。


「フェフェフェフェフェフェ」


 ベルセルクは編集部やアシスタント、友人の力で完結を目指すが、もし「ガラス〇仮面」が終了しないまま原作者が亡くなった場合、コッチの方式で終了させる。

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