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美少年合唱隊

 昨晩、酔った勢いで巨大化して貴族街の壁を踏み潰し、王城の門に「五秒で出て来い」キックをご馳走して崩落させ、城を守る兵を巨大な化け物への恐怖感とか大音量で士気とか心をベキ折って大半逃亡させ、領主を捕まえて市民に引き渡して市民革命を成功させてしまった。


 これは攻略対象が多くいる王国で王都に喧嘩を売ってしまったも同じで、じきに王は配下の貴族たちに兵を集めさせてこの街に侵攻してくる。


「失敗した、失敗した、失敗した、失敗した、失敗した、失敗した、失敗した、失敗した……」


 時間遡上に成功したどこかのバイト戦士が頭を打って記憶を失い、任務を果たせないまま老婆になって記憶を取り戻したように、何度も失敗したと繰り返す。


 酒で記憶失うまで飲んだ覚えもないのだが、高級すぎるウィスキーとかテキーラで数杯「ウェ~イ」とか言いながら乾杯したのががまずかったのかも知れない。


 今となっては金髪で頭脳派の王子様も、弟の武闘派俺様王子も、線が細いイケメンの魔法師団団長も、作中で三十路越えの聖女の半分の年齢しかない騎士団の元気系坊や達とか、大人でマッチョな団長も、王の友人で知の巨人で国のご指南役である図書館の司書のオジサマも全員敵。


 中盤以降に出て来る攻略人物のように、国ごと支配してから屈服させたり、一騎打ちで倒してから懐く相手では無く、この国もこの世界も何も知らない聖女に優しく接してくれて、日常モードで親密度や好感度を上げる相手なのだが、出合う前に破局した。


 王子二人にとっては叔父で親戚を市民に処刑させた魔女で悪魔、魔法師団とか騎士団員とか団長となると直接の敵、別の意味での攻略対象になった。


 王都攻略後に図書館を燃やしたりしなければオジサマとの関係だけ回復しそうだが、この街と同じく市民が蜂起したりすると、食えもしない本の数々は焚書で図書館ごと燃やされてしまう。


 この街と同じで市民に王を託すと即座に絞首刑とか断頭台だとか、もっと苦しめる拷問を加えてから獄死させる結果になるので、親友であるオジサマの好感度が下がってしまい、以後上がることはない。


 王子とか貴族も全員絞首刑にされるか、若い男なら市民たちにレイプされてから売春宿送りか、力尽きたり自決したりしそうで救う事さえ難しい。


 リセットして前のセーブポイントからやり直すか、ゲームのオープニングから開始したかったがそれも無理だった。


 五分で世界を創造できるのだから、この程度のミスは見逃して貰い、最初からやり直させて欲しかった。


「女神様、どうかお救いを」


『良いのです、良子よ、攻略対象など力尽くで屈服させてやりなさい』


 案外脳筋でマッチョだった女神に驚かされるが「こっちのルートの方が面白い」とか「本当の人類を迎えた時にだけ許される、亜人共を殺し合わせて消滅させる抹殺ルートが楽しみ」と思っているのには気付かなかった。


 攻略対象以外はどこかの平面世界から丸ごとコピーして持って来たそうだが、平民とか農民は碌な暮らしをしていなかったようで、重税から反乱寸前の所を巨大な聖女がスイッチを入れてしまった。



 商人の屋敷もある平民街中心にある市民憩いの広場では、捕まった貴族と家族一同と一緒に、使用人の良家の子女まで集められ、罪状を長々と読み上げて焦らしに焦らした後で絞首刑になり、下級上級問わず貴族が一人吊るされると大盛り上がりで市民の歓声が上がっていた。


「以上の罪状により、男爵家次男の処刑を執行するっ」


 首に縄を巻かれたアラフォーぐらいの男が吊り上げられ、長い間ジタバタと暴れてから動かなくなった。


「「「「「「「「「「おお~~~~っ!!」」」」」」」」」」


 絞首台から降ろしてから復活する奴もいたので、槍で突いて止めも差す。


「また一人吊るしたっ、思い知ったか貴族共っ」


 市民の怒号と絶叫は、良子がいる商人の家まで遠雷のように聞こえて来た。


 貴族街で働いていた下級貴族の使用人がいればとりあえずレイプ、若い執事もメイドもボロ雑巾にされてから、もし生きていたら取り調べ、有力な商人など平民の中から行儀見習いに出されていた上級国民様も同じで、余程下級の洗濯婦や掃除婦でなければ許されなかった。



 そして有り余る食糧で炊き出しをしている、商人の屋敷にもが集まっていた。


 麦だけでは足りないので、完成品の「良子おばあちゃんの野菜ゴロゴロビーフシチュー」が寸胴のまま大量に出され、錆びないスプーンと決して割れないパン祭り仕様の大皿とともに配布。


 中身入りの寸胴でも、空になった寸胴も欲しければ持ち帰り可。


「聞けっ、諸君っ、我々は反政府活動をしてきた地下組織だっ!」


 炊き出しの噂を聞き、集まって列に並んでいる市民に向かって壇上から演説をする。


 牢屋から解放された奴らも、拷問を受けて体調が悪いまま市民広場で貴族を吊るす活動を続け、ここに飯を食いに来たついでにアジってオルグっていた。


「聖女により革命は成ったっ、しかしっ、街を取り戻そうとする国王の軍隊が明日にもやって来るだろうっ、市民よ武器を取れっ、立ち上がれ民衆よっ!」


「「「「「「「おお~~!」」」」」」」


 市民に上下は無いので聖女でも敬称無し、ジャコバン派だか革命派はパヨクで左巻きの人物が多いので、その辺りも非常に五月蠅かった。


 誰でも壇上で発言できるわけではないが、言いたいことがある者は反政府組織の者に話したい内容を告げてから上がる。


「俺の三番目の子は去年死んだっ、風邪が流行ってたのに粥も食わせてやれなかったからだっ、飯が食えるのは三日に一度っ、税だと言って麦は全部持って行かれるっ、俺達が食えるのは雑穀と芋だけっ、こんな生活で生きて行けるはずがないっ!」


「王国を倒せっ、国王も吊るせっ!」


「いいぞっ、俺も戦うっ」


 周囲にいるサクラも声を出して煽る、壇上で叫びたい者はサクラを入れないでも、苦しかった生活を勝手に吐露してくれる。


「俺の最初の女房は首を吊って死んだっ、初夜権で領主に連れて行かれ、子供を孕まされたからだっ、俺には触られるのも嫌がってたのに悪阻が来て、領主の子が腹にいると分かったから死んだっ」


 子供の頃から美人でチヤホヤされて、イキって周囲を馬鹿にし続けた仕返しに、近所の主婦とか顔見知りの女や友人にゲラゲラ笑われて指差されて蔑まれ、子供達が家の前で何かの替え歌で合唱して笑い者にしたり、親に言いつけられた通りの歌詞を歌ってやると発狂した女が出て来て、逃げ遅れた子供が捕まって何人かが手足をへし折られ、顔も二目と見れない化け物になった。


 女は子供にも親達にも思い知らせてやると、捕まえに来た兵士にもレイプされ、事後で油断している所を三人とも刺し殺し、次は無いと思い首を吊った。


 女神もここまでの地獄を作るつもりはないが、人間同士で支配していると自然におぞましい煉獄が作られる。


 これが人間の本性なので女神も天使も直接変えることは許されていない。


 魔族やヴァンパイヤやエルフにでも支配された後で、近所のSSみたいに従順で善良な奴隷人間だけを選んで生かし、サッキュバスやインキュバスでサディストやクズを断種して行くと、思わぬ天国で箱庭が作られるので以降は魔族支配が推奨されている。



 IQも高い支配階級が支配すると科学技術や文明も発達して良い事ばかりのはずだが、この平面世界では核兵器が開発されて人類が死滅するのは絶対の禁止事項。


 魔法以外の動力は禁止で、鳥や竜でも150メートル以上上空の飛行禁止のオ〇ガスな世界。


 人間は飛行禁止で、地上にシグマバリヤーが張られて宇宙には出られないガル〇オンな世界。


「聖女よっ、悪しき貴族共を皆殺しにしてくれっ!」


 そこで、モタモタしている良子を見かねた女神が、こんな所にいるはずがない美少年合唱団をプリントアウトして、聖女をたたえる歌を壇上で合唱し始めた。


「「「「「「「「「「愛に満ち溢れた聖女よ、善良な人々を安息の地に導き給え」」」」」」」」」」


 そこでショタ属性持ちの良子は大好物の匂いや音に気付いて、ダッシュで庭に向かいスマホを用意してREC開始。


 実際のカストラートみたいに去勢されていて、少年の美声が声変わりで失われないように処置済みなのは残念だったが、「男の娘」の才能は有りそうなので注視した。


 やがて数曲歌い終わり、壇上を降りてきた少年が跪いて聖女に懇願した。


「どうか貴族支配を終わらせて下さい」


「王の圧政からの解放を」


 美少年のお願いなら断れない良子はこの時点で堕ちていたが、最年少の五歳ぐらいの子供が合掌して、ウルウルした上目遣いでお願いして来た。


「せいじょさま、たすけて」


 良子の脳内で「ガチン」と音を立てて変な性癖のスイッチが入り、きっとこの美少年たちは王城や貴族たちの茶会や舞踏会で歌わされた後、薄い本みたいに汚らしいホモジジイに持ち帰りされ、ヤヲイ〇を穿られたりイボみたいなチ〇〇ンをイジクリ回されてイタズラされ放題で、竿役のデブでハゲで汚らしくて臭いジジイに種付けプレスで思う存分汚されるのだと思い至り、すぐに王城に攻め込むことにした。


「ワカリマシタ」


 幼児の上目遣いと「たすけて」ビームで脳髄を焼かれた良子は、ロボットみたいな返事をしてすぐに立ち上がって瞬着。


「オマエラ、王都まで着いて来い」


 振り向いた良子は、進撃のミカサみたいにヒロインがやってはイケナイ系統の表情と目付きになっていて、両眼を見開いたままで片方の頬を上げて口元もゆがめ、頬が持ち上がった分だけ目が閉じられる、絵に描いたようなガンつけで睨んでいた。


「「「ニェッ!」」」


 三匹の聖獣のうち二匹は、部屋を汚したりフィギアやガンプラを壊した時の呼ばれ方、「オマエラ」と呼ばれたのでイカの耳になって毛穴が逆立って驚いた。


 この状態で歯向かうと「猫ふんじゃった攻撃」「五秒で出て来いキック」をご馳走になったり、部屋の中を逃げ回らないように二階の窓から投げ落とされて数日間飯抜きの締め出しを食らうか、手足の爪を全部切り落とされてから風呂に入れられて念入りに洗濯入浴、という処刑で拷問を食らうので一切逆らわないようにして、黒猫の大佐も怯えながら周囲に従った。


 スマホを出して王都までのナビを開始する。この世界にもGPS衛星があるらしく、画面に最短距離の地図が出された。


「行くぞ、駆け足っ」


 城門を超えるまで猫で聖獣は虎サイズに巨大化、どっかの勇者王みたいな姿勢で走る金ぴかの聖女に走って同行。


 それ以降は牛久大仏に倣って100メートル越えになって走り続け、馬車で一日の距離にある王都まで五分で到着した。



「あ~、王都の諸君、見ての通りの聖女と聖獣三匹だ」


 大音量を聞かされて、城砦の門に近い住人は耳を塞いで悶絶した。


 自衛隊の装備の中にも、非殺傷兵器の音圧兵器と言うものがある。向こうから攻撃されない限り、ソマリアの海賊にすら銃を向けてはならない自衛隊ならではのノンリーサルウェポンなのだが、音を収束されて当てられた制圧対象は耳を塞いで丸まってしまい、どんな勇者でも聖戦ジハード聖戦士ムジャヒディンであろうとも、体中の穴から水分を垂れ流すだけの負け犬に変えられる兵器。


「昨日、街を囲んでいた魔獣を全部倒した後、私を捕らえに来た領主の兵士を制圧し、領主に謝罪に来るよう言ったが来ないので直接迎えに行った」


 お使いに出した兵士が表で説明している間も待てず、猫に言いつけても不発、気が短い本性を出して城門を蹴りまくって「五秒で出て来い」とやったが、逃げ続けていたので地下通路から発掘したのは、酔っていたので余り覚えていない。


「貴族門を踏み潰して城門を蹴り壊し、地下通路から領主を引き出したのだが、安全保障上問題がある、聖女を騙る馬鹿者を捕らえて毒殺するなり、拷問してレイプしてから殺すよう命じたと自白した」


 心を読んだだけだが、まあ自白したのと同じ。


「領主一家の身柄を市民に託すと、領主は今までの所業から八つ裂きにされて、一家全員広場に連れて行かれて全員高い所に吊るされた。今も貴族たちは広場で吊るされ続けている」


 聖女と思われる化け物と、聖獣と思われる巨獣に囲まれ、死刑宣告を受けた王族貴族。


 逃げてきた兵士の報告と同じく、近くの街と同じく貴族全員処刑されるのか、投降すれば命だけでも救われるのか、その違いだけがこれから宣言される。


「一般兵士や騎士団、魔法師団には生き残れる選択肢を与える。王族貴族を全員捕らえて広場に連れ出せ、調査の結果、罪の無い者は入牢で済まし、私腹を肥やして民を虐げた者は処刑され、権力を行使して有り得ない所業を犯した者は市民に八つ裂きにされる」


 王や王妃、王子や姫たちには、まず自裁用の毒杯が用意された。


「自決するのは許されない、全員自ら犯した罪の清算をしてから死ね。自決に関わった者も凄まじい拷問の末、九族まで連座で処刑される」


 国家を救い、世界を統治してハッテンさせる予言は間違いで、王族貴族を排除してから新国家が繁栄する。


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