悪魔の囁き
商人の屋敷に着いてまずやる事と言えば、良子は自分の魔法や女神の力を使って、どのような産品でも量産できることを教えておかなければならない。
まず食料。戦略物資である食料品を良子は無限に供給することさえできる。
魔力を使う手間や食料生産に掛かりっきりになるのが嫌なら、女神に頼めば数億トンの麦やトウモロコシを粉に精製した後の袋の形で任意の場所で受け取ることもできる。
世界創造を五分で済ませる女神が味方に付いているので、100均で売っている便利グッズであろうが、強化チタンやタングステンの剣、金属よりも丈夫で軽い強化ポリマー製の鎧、砦や城砦都市が必要なら一夜のうちに建築して貰え、国王や大臣を転向させて陥落させるための寵童や稚児が欲しければ、女神に頼んで趣味や嗜好バッチリで直球ど真ん中の子をプリントアウトして貰え、どんな物でも手に入る。
冷蔵庫や野菜入れに入っていたジャガイモ、トマト、トウモロコシ。リンゴ、桃、苺といった異世界物の定番アイテムを、アイテムボックス内で無限に増殖させることもできるし、実際に植えてみて増やすこともできる。
女神との事前の約束で、パソコンスマホで通販画面を開いて注文すれば、受け取り場所を指定して、どこでも、どれだけ大量でも受け取れる。
例えば女神の力で相手国を大飢饉に陥らせてから、無限の穀物を高値で売ることもできるし、向こうの農業を安価過ぎる穀物で完全に破壊してから、不作だと言い訳して麦の供給をモラトリアム宣言後に遮断することもできる。
甘味や各種香辛料の味を覚えさせてから、歯向かった奴らだけ供給を断つことも簡単にできる。
あらゆる医薬品も作れるし、味方にだけ牛痘を済ませてから敵側にだけ天然痘ウィルスをばらまく悪魔の所業も行え、阿片的物質を大量生産して相手国でばらまき、働ける者も戦争できる者も存在しなくなってから国王に「麻薬が欲しければ国を譲渡する書類にサインを」と言って合法的?に支配することもできる。
もし男達が戦争をしたければ、魔法で動く四号戦車を作ってマジノ要塞を迂回してブリッツクリークでも可能。
大砲や機関銃が禁止なら、魔法を装填してある武器で鉛や銅で成形した砲弾を撃てば良い。
「メイドさん? 商人の皆さんにお話があります。商売上の取引のお話ですので、出来るだけ沢山の方にお集まりいただきたいと思います、宜しいでしょうか?」
良子は悪魔の笑顔をしてからメイドに告げ、攻略対象でもある商人や仲間たちを呼び、もう一点流通させなければならない品をバーター取引で抱き合わせ販売するつもりで会見した。
会議室
「聖女様、商売上のお取引をご所望とお伺いしましたが、どのような商品をご希望ですか?」
商会の主人が現れ、何も持っていない良子に売る物があるとは思わず問い掛けた。
「ええ、女神さまの恩寵により、私はどんな物でも出すことが出来ます」
まずマジックボックスでインベントリを開いてやり、商人達が興味を示しそうな物を並べて行った。
「無限に出せる麦の袋。異世界の食べ物や酒、真珠やルビーやダイヤモンドなどの宝石。塩や胡椒や砂糖と言ったあらゆる香辛料。様々な病気に効く抗生物質や医薬品。魔力が籠った魔剣聖剣。あらゆる攻撃を防げる盾や鎧……」
言葉通り何でも出て来るアイテムボックスを見て驚き絶句する商人達、すぐに目利きの者が呼ばれ、宝石や武具を鑑定して行った。
魔剣聖剣はレベルが低い頃に使う物だが、全部コンプリートされていたので王国や商人に配れるほどある。
「このジャガイモという穀物、麦が育たない寒冷地でも土の中で簡単に育ち、もう飢餓に悩まなくて済みます。もし塩が必要ならいくらでも」
北朝鮮とかドイツのような米も麦も育たない寒冷地でも育つジャガイモやサツマイモと言った芋類。
アイルランドでジャガイモの病気が流行って他の国に出稼ぎに出る羽目になったが、それさえ防げばどうにでもなる。
女神の力なら完成品をプリントアウトできるので生産には困らないが、試しに育ててみて土地に定着させるのに苦労して見たり、飢饉の時に大量に採れて感動話に仕立てることもできる。
後半出て来る無敵艦隊を所有する海洋国家なんかも、海を干上がらせて塩を取り、陸上では自立できない船を横倒しにして倒壊させ穴を開けてやる事も可能。
ほぼ無敵状態なので最初から支配しておけば良いのだが、ここはゲーム世界として作られ、プレイヤーが両陣営で楽しむ場所なので、魔国側の魔王や敵国の王が多く課金すれば勝つことも可能。
「このように大きな真珠、大粒のルビーにダイヤモンド、国宝にもありませんぞ」
真珠など所詮貝が出すカルシウムの塊なので、型に入れて転がしてやればBB弾並みに量産可能。
ルビーなども現在では「るつぼ」の中で小粒の物を大量に入れて溶かし、不純物を取り出したり、金やプラチナで出来た装飾品を芯に入れて冷やせば、どのような形でも巨大な物でも製造可能。
ダイヤモンドも実際はただの炭素の圧縮品で、中国では既に黄色く染めていない人工ダイヤがいくらでも作られている。デビアス様に怒られるが昔の玉壁の方が遥かに高価な存在。
「こちらではまだ宝石のガラス、ギヤマンの食器もありますよ、錆びない銀食器にカトラリー」
色々と着色された人を狂わせる形状をした食器や、ヤ〇ザキ春のパン祭りでしか貰えないような落としても投げても割れない、やたら頑丈すぎる食器。ステンレス製の定番の品物。
良子はヤマ〇キ春のパン祭りで貰った絶対に割れないガラスのコップに強い酒を注ぎ、チェイサーにはカ〇ジが泣きながら飲むキンキンに冷えてやがるビールも注いで、ポテチやチーズや生ハムのつまみも出した。
「まあお酒でも頂きながら話しましょうか? こちらは酒精が強いので味わってから飲んで、胃の中が荒れないように水や薄い酒を追い掛けるように飲んでお腹の中で薄めます」
「い、頂きます」
ウィスキーなども利き酒が出来る人物も驚く出来で、買う権利に当選した人物が転売すると倍ほど儲けられる作品。
一本数十万円する13年物のワインでも、スパークリングワインじゃない本物のシャンパンでも、ネット販売した瞬間に売り切れる日本酒でも、一缶1ドル以下で売られている缶ビールでも何でもあった。
「全部売って下さいっ、今まで私達はアルコールが入っているだけの泥水を飲んでいた」
中世のワイン樽にはハエが混入していて出汁も出ていて天使の取り分だけ減り、飲む時は歯で濾してハエを吐き出しながら飲み、ジエチレングリコールが混入されて味覚を調整されたり、鉛のコップで飲むと旨味や円やかさが上がるので鉛毒に晒されながら飲み、冷えてない不味いエールを飲んで過ごす異世界。
他のメンバーはチューハイとビール系飲料の発泡酒と高級酒の区別が出来なかったが、まず酒の販売を統括している人物が陥落した。
良子はその表情を見て悪魔の顔で笑ったが、その心根に気付いたのは家令のオジサマだけで、この人物は聖女では無く悪鬼羅刹の類だと気付いたが、その場では何も言えず後になって主人に告げ口してみたが信じて貰えず、何を目的にこんなことをしているのか理解できなかった。
「宝石だけでなく、この素晴らしい武具の数々、全て国宝級だ」
武具の担当者も陥落。良子的には金貨など女神にいくらでもプリントアウトしてもらえるので金を儲ける必要も無く、どんな美男子でも欲しければプリントアウトしてもらえる。
ここをBLパラダイスに変えて、BLポルノ画像の単純所持で刑務所に放り込まれて泣いて暮らしているような他の腐女子で同好の士も召喚。地下秘密基地で新作を執筆してもらえば良いので、地位も名誉も不要だった。
腐っているとバレると聖女としての名誉は下がるとも言う。
「こんな物も用意しております、こちらは商品を購入した方への無料配布、もしくは包装紙などにご利用ください」
ここで本来の理由である、旧作の漫画本を出した。
腐女子を作って二次創作をさせるには、まずは一次資料である漫画でこの世をフォーマットしてしまい、その後に雨後の筍のように生えて来る二次創作を収穫すれば良い。
著作権的には完全にアウトなのだが、一応無料配布で領布である。
著作権協会は数光年先の別次元で並行世界の異世界にまで集金に来ないかもしれないが、J〇SRACとNHKの集金にだけは注意しなければならない。
ホラー話のように深夜にJA〇RACが訪れて、JASR〇Cが権利を持つ著作権作品を使用した門で集金され、家が壊れるような振動が起こった時、祖母の教え通りに泣きながら数百年前のクラッシックしか使用していないと話すと振動が収まり、JASRA〇関係者が帰って行くような前例もあるので気を付けなければならない。
無償配布の代わりに、100巻以上パタ〇ロを描いて発行したにも関わらず、何故か今困窮している魔夜〇央先生が潤うように、再放送できない作品の代わりに「飛んでサイ〇マ」をGACKTさん主演で映画化したり、ファンとの会合で飲み代に困るほどになった湖川〇謙先生が、ヤマト関連で揉めて以降やたら著作権に厳しい松本零〇先生のメーテルとかを書いてヤフオクで売って糊口をしのいでいる状況を改善したり、異世界にNNN経由で送金する手段も考えた。
最初は漫画の神様、手塚治虫全集のような害が少ない物から領布を始め、次第に毒が強い麻薬を配布する。
本来、戦後発表された赤本と呼ばれる貸本から開始しなければならないのだが、玉石混合の古い物は国会図書館にすら献本されず、保存されていないので資料が無いため諦め、浸食力が強い物から開始する。
江戸時代、日本製の陶器が破損しないように歌麿の浮世絵が版画された紙で包まれて輸出され「このイカれた絵と色彩は何だ?」となってフランス辺りでジャポニズムが起こったように、まずは1ページで完結する読み物で世界を汚染して行く。
最初は「来るべ〇世界」の人外ヒロインに萌えさせたり、ウランちゃんのパンチラ程度発情する人物もいて、次にリボンの騎〇のような男として育てられた男装の麗人とか、ジェンダーや性癖をグチャグチャに破壊する作品を領布して、ベルばらやポー〇一族で止めを刺してメスガキ共を発狂させる。
その後は自由自在で、相手が女性でなくとも男同氏の怪しいカンケイを見れば自動的に誤解し曲解する。
この世にはバキを見てBL作品だと思い込んで、その妄想や創作内容が採用されてドラマ化されてテレビ放送され、脳内会議や脳内発表を公式見解だとして実際に放送する頭が壊れてしまった気の毒な人が沢山存在する。
執事で家令のオジサマも、これが悪鬼羅刹の本当の目的なのだと悟ったが、主人や各部署の責任者は、悪魔が出した品々に夢中になっていて気付かない。
オジサマも悪魔が出した目的を検分するため、初期の手塚作品を手に取ってしまった。
「こ、これは……」
もうフィリピンでボルテスファイブが放送されたように、手塚作品の虜になり、オジサマも新しい麻薬に陥落した。
来るべ〇世界程度で陥落する人物は、ブラック〇ャックとか読ませると、ドクターキリコの行動を正当化して弁護したり、泣きながら他のファンと侃々諤々で討議する気の毒な人に転向する。
日米安全保障条約に反対して学生運動とかもしたり、政府に完全に負けて東大闘争で警察の暴力に屈した状態でも、「我々は明日のジョーだ」とか言い出して意味不明の勝利宣言をする人物も量産される。
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