第八章 生まれた場所以外のために(2)
畑の復旧は、ビッドが陣頭指揮をとった。小さな頃から両親の仕事の手伝いをしているため、なにをすべきかよく知っていた。しばらく畑は人の手が入らず、荒れ果てていたが、放埓に生えた雑草の除去を踏め、数日の作業で、元の畑の状態には戻すことができた。島には生き残った種芋も多くあり、まずは環境に強い芋から植えた。
島にはやがて冬が来る。まだまだ数か月先だが、備えは必須だった。いまはまだ、朝と夜が肌寒い程度らしく、そのうちに日中も寒くなるという。
やることはいくらでもあった。過ぎてゆく日々へ、作業を投じる。
いつからはじめたのかは憶えてない、とにかく、いつの間にか、ヘルプセルフは、ふたたび、おれに一日一回、稽古をつけるようになっていた。彼曰く、彼も腕が鈍るのを避けたいという意図があってのことだった。
おれも、あの偶然、成功した竜への一撃を、偶然から卒業させたい気持ちが強かった。
ヘルプセルフの稽古が終わると、今度はセロヒキが稽古をつけにやってきた。こっちは、セロヒキが竜と戦い方を知りたがったので、おれが教えるかたちになった。もちろん、おれが教えられることは少なかった。竜との戦い方ならヘルプセルフから教わった方がいいと伝えたが、そのヘルプセルフから「人に教えることが勉強になる、自分が何を知っているかの確認にもなる」と、もっともなことを言われ、おれが教えることになった。
ただ、その代わり、セロヒキからは、対、人間、の戦い方を教わりはじめた。人間との戦いなら、セロヒキの方が圧倒的に上だった。
竜払いは、多少は、対人の戦闘能力も持ってしかるべきである。どこの誰か言い出したかは定かではないけど、そのあるべき論の確保に、セロヒキとの稽古はかなり助けになった。
あたりまえだが、稽古は島の復興作業の合間にしか行なわない。片づけなければならないものはたくさんあった。
最近になると、他のこどもたちより少し年齢が上のアンが、小さなこどもたちの面倒をみるようになった。片づけた村の跡地に、こどもたちと花を植えて回っていた。ほどなくして、村のいたるところで、きれいな花が生えているようになった。




