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竜払い  作者: サカモト


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第三章 はじめての海賊(14)



 海賊たちのほとんどは、爆発する前に海へ飛び込んだ。海に生きる者たちはとうぜん泳げ、近くの島にたどり着けていると思われる。

 爆発から逃げ遅れた海賊たちもいたが、その人たちは、きちんと近くの島まで船で行き、口頭で降りるように伝えていた。

 事実、フリントが用意していた樽の中身には爆薬も仕込まれていたが、大半は小麦だった。爆破すると、樽の外側だけが吹き飛び、粉で覆われる、そういう代物だった。端的にいえば、偽物の爆弾だった。

「予定通りにすんだ」

 海賊たちすべてを船から降ろし終えると、フリントは満足げに甲板を一望する。

「これでわたしを裏切った者たちを全員、船から降ろすことができたぞー」

 ひとり頷きながらいう。そこへリスがいう。

「つーか、あんた以外、海賊おっさんたち全員を船から降ろしたってことは、あんたがひとりが裏切り者って考えた方がはやいんじゃない?」

「これには深いワケがある」フリントはやっかいな問題を片づけ終え、心晴れやかな様子で答えた。が、すぐにいぶしげな表情をして「ん、諸君たちは、聞いてないの?」と、ホーキングの顏を指した。

「なによ………あ、ねえ、もしかしてなにか暗黒部分でもあるの、あの嘘爆弾騒ぎに? つか、ぐるなの?」

「ことを起すためにはこの海域まで来る必要があった」フリントが手で海紹介するようにいった。小さな島々はもう遠くにある。「裏切者たちとはいえ、元はわたしの船の船員たちだ。海には放り捨てたくない、死んでおばけで出られても嫌だし」

「いや、ぐるかって聞いてんだ、あたしは。どこからどこまでが人工物の状況なのさ」

「なーに」ホーキングが白い歯をみせながら笑う。「業務提携ってやつ、教えてないのはおまえさんと、ヨル、あとビット少年だ」

 つまり、ヘルプセルフとセロヒキは知っていた。

 どうりで、あの騒ぎ時、ふたりが勝手に腕力任せにフリントを仕留めにいかないわけだった。きっと、ホーキングは作戦の安全性と、安定性をかんがえてそうした、それは正解だろう。でも、だとして、ヘルプセルフが言った、あの大蛸の発言は、つまり、彼独自の演技だったのか。

「なぜ、あたしたちに事前に教えなかった」

「いやー、つい、酒を飲みながら作戦立ててたら、盛り上がって。そこの囚われ船長と」

 おれは「悪戯だね」と、いった。すると、ホーキングはにやにやした。片目も陰湿な弧を描いて笑い、そして、眼帯すらも笑っているように見える。

「あんたら、いつか酒瓶が鼻に詰まって倒れてそこにあった雑草でもつかみながら頓死するがいい。そして、亡骸を七種類の鳥類についばまれてるがいい、急所から優先的に」

 細かい場面を指定し、なんとか精神的に一矢報いようとする。虚しくないのだろうか。

 けれど、リスが苛立っているせいか、こっちは妙に落ち着いてしまった。結果的にだろうけが、怪我はなかったし、船から他の海賊たちも消えた。そして目的地へもあと一日で着く。

「おまえさんたちに言わなかった理由つーのはあるさ」ホーキングは笑み収めた上でいった。「ちょっと無視できないくらいのやつさ。このフリントを牢屋から助けて、茶番の手助けをする、そこまでするだけの理由はある」

「わたしから彼らに説明した方が?」

 手に片手を添えて問う。紳士ごっこをしているみたいな振舞いだった。ホーキングが「ああ」と答えてうなずくと、フリントは向き直り、ビットを見た。

 とうぜん、不意の視線にビットは驚き、戸惑った。けれど、ここ数日のいろんな出来事を立て続けに体験したせいか、怯えることはなくなっていた。

「諸君たちは、彼の島に現れた白い竜を倒しに行くと聞いた」

 それをこのひとに話したのか。どういう流れで話すことになったのかは気になるところだった。

「その白い竜は人間の言葉をしゃべり、この海を飛んで、少年、きみの島へ渡って来たときいたよ?」

 ビットの説明だとそうだった。竜は人の言葉をしゃべるはずがないし、海を越えて飛んで移動できるほど、長く飛べないはずだった。だが、ビットの島を襲った、そいつは、白い竜は、人間の言葉を使い、飛んで彼の島へ来た。

 うなずき返すビットを見届け、フリントはいった。

「少年、その白い竜は決して海を飛んで渡っていない。白い竜に依頼され、わたしの部下たちが、船できみの島へ運んだんだ」

 フリントの言ったことは、すぐには理解できなかった。だんだん、だった。

「わたしは断った、でも、虚しいかな、この船の部下たちは違った。目がくらんだんだ、白い竜の報酬にね。あの竜は、自分をこの船で運ばせる報酬がわりに、他の竜の亡骸を指し出した。あれなら竜の骨が大量にとれる、売れば大儲けだ」

 竜が竜を、人間に代価として指し出す。

 聞いたことのない話だった。

「それでわたしは牢屋のなかだ」

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